発見!今週のキラリ☆

« 2014年1月 | 発見!今週のキラリ☆ トップへ | 2014年3月 »

2014年2月 アーカイブ

vol.175 「謎だらけの世界へ」 by李寧


2月のテーマ:謎

今回は中国語と日本語の対訳でお送りします。

【中国語】
回到那謎一樣的世界

为什么鸟儿会飞?我什么我不能飞?我是从什么地方来的?大人们怎么不用上学,我问什么要每天上学?我想10个人里边会有9.999个人曾经问过自己父母类似的问题吧!
我们都经历过童年, 小时候的自己总是对未知的事情充满了好奇心。总是想解开一个又一个未知的谜团、总是想快点长大。我曾经很向往大人们的世界,总是在心里盘算着"我要这样或者我要那样的计划。"随着谜团被一个一个解开,我们渐渐的长大。终于走进了大人的世界,那些曾经的谜团变成了普通的不能再普通事情。

于是,我们又开始怀念童年, 开始缅怀过去。三两好友聚首时、或是小学同学的聚会,我们都会说道一下小时候自己做的傻事。终于发现人的一生最快乐的时光正是自己的童年时代。
如果可能的话,我想一直像小时候一样一直生活在一个充满迷的世界。
不过现实还是要面对地。就把谜团一样的童年时代作为"调味料"小心收藏,觉得生活无趣的时候拿出来调一调吧!

【日本語】
「謎だらけの世界へ」

なんで鳥は飛べるの? なんで私は飛べないの? 私はどこからきたの? なぜ大人たちは学校に行かなくていいの? なんで私は毎日学校にいかなければならないの? 10人のうち9.999人は、親にこのような質問をしましたよね?

小さなとき目に映った世界は謎だらけでした! 早く大人になりたい。憧れの大人の世界に足を踏み入れたい。私もそんなふうに心の中で「大人になったらこうしたい、ああしたい」と考えていました。でも知らず知らずの間にかつてのなぞは一つまた一つと解かれて、自分もようやく大人になりました。誰かから、「日本では50歳にならないと大人とはいわない」と聞いたことがありますが本当でしょうかね! もし本当なら今でも大人とはいえないかもしれないです(笑)。

大人になってから子供のころのことを顧みると、あの時が一番楽しかったなと思います。同窓会などでは、現在の話より幼いころの話が圧倒的に多いです。いついつ、どんなバカなまねをしていたかとか。可能であればずっと子供のままでいたいですね! 何も考えなくてもいい、何も分からなくてもいい、謎だらけの世界でずっと生活したい。

でも現実は、家庭にも仕事にも真剣に向き合わなければいけません。だから、あの謎だらけの時代は現実の調味料として取っておくことにしましょう。そして生活に味がない時には、その調味料を少し入れてみることにします。


vol.176「一生理解できないかもしれないモノに対する恐れと謎と憧れと」 by浅川奈美


3月のテーマ:謎

この世の中にある、多くのことに対して私は素人であり、いくつかの分野においては完全に無知であるということを、痛感する日々。なかでもこと理系分野のものに関しての音痴具合は甚だしい。「生まれつき自分にはその素養がないから」というか「耐性がないから近づいたらきっと蕁麻疹かなにかが出ちゃうよ」みたいな固定観念にとらわれ、背を向け続けた学問。数学である。

ご存知、数学には明晰な答えが常にある。
例えば、このコラムを読まれるどのぐらいの方がわかるだろうか?【0.9999......】と、小数点以下に無限に9が続く数と、【1】はどちらが大きいか?

0.9999...... < 1  【不正解】
0.9999...... = 1  【正解】

中学あたりで出てくる循環小数。私は自分の直観とは全く違うこの答えをなかなか受け止められなかった。ちゃんと授業も出ていたのに、答えを導く過程も何とか理解できていたのに、でも消化できない。学力を評価するにあたり、全く遊びのない採点方法で振り落とされるのが数学。本当はあいつと仲良くなりたかったのに...。この学問において自分が落伍者になってきたのを気づき始めたころ、「できない=嫌い」という感情はいとも簡単にそして巨大に私の中で膨くれ上がった。その後はいうまでもない。微塵の迷いもなく文系に進んだ。微分・積分も関数も、定理も証明も素数も"任意のX"とやらともおさらばの人生を過ごし今に至る。

それなのに...。数学嫌いなのに数学を無視できない。「仲間にいーれーて」って言えないまま、もうずっと何年も柱の陰からじっと憧れのまなざしを投げかけている(ちょっと怖い)。なんだ、この乙女心は。その理由を検証してみる。


理由①:リーマン予想(Riemann Hypothesis)
ドイツの数学者ベルンハルト・リーマンによって1859年11月提唱された、ゼータ関数の零点の分布に関する予想である。ミレニアム懸賞問題(millennium prize problems)のひとつ。解明に100万ドルの懸賞金がかけられている数学の問題だ。

言うまでもないがこの私がリーマン予想に取り組んでいるというわけではない。私が魅せられてしまうのは、150年もの間、天才と呼ばれる数学者たちの挑戦をもってしても、未だ謎のままであるという事実。そしてこの問題に取りつかれてしまった数学者の中には、精神を病んでしまう人もいるという過酷な世界だということ。さらに今、現代社会における情報セキュリティは巨大素数を使った暗号技術によるものであり、もしリーマン予想の解決によって素因数分解の画期的な方法と活用が見つかれば、身の回りの当たり前が一気に崩壊するということ。国家機密から個人情報、あらゆるものがセキュリティフリーになってしまうのだ。なんか、すごくね?なのだ。でもリーマン予想がどれだけの謎で、解明されるまで天才とスパコンをもってしてもどれぐらい大変で大体あとどれぐらいかかるのか、みたいなことがさっぱりわからん。だからこそ、なんかすごくミステリーで魅惑でサスペンスで、私はただ外野でソワソワし続けているだけなのである。


理由②:たけしのコマ大数学科
ビートたけし、現役東大生の女子2人、コマ大数学研究会(頭脳ではなく体を使って解明する担当)の3組が、毎回1問ずつ出題されるさまざまな数学の問題に挑むTV番組だ(現在は放送終了)。
「もし違う道を選ぶなら、数学の研究者になりたかった」という、理系出身のビートたけしが見事に数学の難問を解いていく様がかっこよくて、本当によく見ていた。でも私の数学的能力は一向に上がらずいつまでたってもアプローチ方法はダンカン率いるコマ大学数学研究会チームであった。

映画監督としても知られるビートたけし(北野武)だが、映画の撮り方について因数分解を取り入れて語るのを読んだことがある。「不思議の国のアリス」の作者、ルイス・キャロルも数学者であったし、多くの作家が数学に造詣が深い。論理的思考。これなのか?これが私にはないのか?


理由③:数学を知らない人は、本当の深い自然の美しさをとらえることは難しい。
アメリカの物理学者、リチャード・P・ファインマンの言葉だが...。
な、なんてことを言うのだ!数学を「美しい学問」と言い切る人たちの放つ驚くほど高いプライドと、それを理解できないものに対する嘲笑をも含んでいそうな自信。数学嫌い差別だ!なんて吠えてみるものの、その山に登ったことのない私には見たことのない景色が広がっているのだろう。ファイマンさん。私の目に映る世界とあなたが見ていた世界はどんな風に違うのだろう。

今からでも目指してもいいですか?リケジョ。

まずは累計16万部を超えるライトノベル「浜村渚の計算ノート」からはじめるとするか。シリーズの著者、青柳碧人氏が語っていたことに激しく感動したので。

「僕は小説を書くかたわら、塾で中学生に勉強を教えています。あるとき生徒から"数学を勉強して何の役に立つの?"と聞かれたんです。"いい大学に進学できるから"と答えるのは簡単ですが、そんな言葉で生徒をねじ伏せたくはありません。そこで自分なりの答えを出そうと思い、数学が排除された世界を舞台にこの物語を書きました」
((『ダ・ヴィンチ』8月号「文庫ダ・ヴィンチ 一般文芸×ライトノベル キャラ立ち小説が今面白い!!」より))