映像翻訳|海外のテレビ番組や映画の映像翻訳を仕事にするための学校です。多くの修了生、受講生がドラマ、アニメーション、ドキュメンタリー番組など多方面で活躍しています。

Mr.DOBASHI no テキサス映画通信

”Houston, we have a problem!(10)

Dobashi Shuichiro 土橋 秀一郎


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1月9日に「The 26th People's Choice Awards」の授賞式の模様が放映されました。この賞には、映画・TV・音楽の様々なジャンルがあり、一般のファンが電話とインターネットで直接投票するという方式です。権威があるわけではなく、最もミーハーな賞ですが、全米の10代から30代の普通の人たちの好みがストレートに表れている賞なので、ここではTVドラマ部門を中心に概要を紹介します。海外旅行や出張でアメリカに来たら、思い出してチャンネルを合わせてみてはどうでしょう。

(TV部門)
作品賞(ドラマ):「ER」
主演男優(ドラマ):ビル・キャンベル(「Once and Again」)
主演女優(ドラマ):ジェニファー・ラブ・ヒューイット(「Life of Time」)
作品賞(コメディ):「Friends」
主演男優(コメディ):ドリュー・ケイリー(「The Drew Carey Show」)
主演女優(コメディ):キャリスタ・フロックハート(「Ally McBeal」)

日本でもおなじみの「ER」は、「Law & Order」、「The Practice」という2つの優れた「法廷もの」を押さえての受賞。ピークを超えたとは言えまだまだ根強い人気があります。ジョージ・クルーニーもまた戻って来るようです。もともとアメリカでは「病院もの」と「法廷もの」には歴史があり、現在でもTV番組の大きな潮流となっています。
「病院もの」では他に「Chicago Hope」、「City of Angels」など見ごたえ十分な作品があります。「Chicago Hope」はスタートこそ「ER」に差をつけられたものの、今では内容的には互角でしょう。でも私ならこのカテゴリーでは躊躇なく「Law & Order」を推します。警察の捜査と検察の立証を巧みに組み合わせた社会派ドラマで、ベテランのジェリー・オーバック、サム・ウォータースンの主演2人が訴える正義には説得力があり共感を覚えるからです。

「Once and Again」は昨秋からスタートした大人向けの恋愛ドラマ。セラ・ウォードとビル・キャンベルが、離婚を経験して恋愛に臆病になりながらも、互いに惹かれあっていく30代後半の男女を演じています。この2人の主人公は大変魅力的で、すぐに人気番組になりました。恥ずかしながら私も欠かさず録画しています。

ジェニファー・ラブ・ヒューイットはもともとはシンガー、映画では「ラスト・サマー」が有名。セラ・ウォードではなくこの人が選ばれるというのは、「People'sChoice Awards」ならでは。まあ、可愛いからいいでしょう。

「Friends」、「Ally McBeal」は日本でも放映していますが(「Friends」はWOWOW、「Ally〜」はNHK)、とにかくこちらの脚本家達の才能には舌を巻きます。特に「Ally McBeal」の製作者兼脚本家デヴィッド・E・ケリーは「The Practice」も手がけていて、昨年のエミー賞では作品賞(ドラマ・コメディ)を独占。しかも奥さんはあのミシェル・ファイファー。私も含めてほとんどの男はこの人が嫌いです。

ドリュー・ケイリーはラスベガス出身のコメディアン。太ったオタクがそのまま大人になったような冴えない容貌ですが、その身のこなしは軽く、しかも才能が四角い頭の中にぎっしりと詰まっています。

「Ally McBeal」のタイトル・ロールを演じるキャリスタ・フロックハートは2枚目半のオーリー・ヘップバーンのようで可愛いですね。「法廷もののコメディ」というユニークな作品に実にマッチしています。このジャンルのモンスター番組だった「Seinfeld」、ヘレン・ハントが魅力的だった「Mad About You」が終了した現在、「Friends」と「AllyMcBeal」の牙城は当分崩れそうにもありません。

その他の部門の受賞は以下の通り。
(映画部門)
作品賞(ドラマ):「The Sixth Sense」
主演俳優賞(ドラマ):ブルース・ウィリス
作品賞(コメディ):「Big Daddy」
主演俳優賞(コメディ):アダム・サンドラー
People's Favorite(男優):ハリソン・フォード
People's Favorite(女優):ジュリア・ロバーツ

アダム・サンドラーの人気は日本では考えられないくらいの凄さです。実際「Saturday Night Live」の再放送でサンドラーがどなり出すと、滅法面白いです。ただし私には何を言っているのか分からなくなりますが。

(音楽部門)
最優秀バンド:バックストリート・ボーイズ
最優秀男性ミュージシャン:リッキー・マーティン
最優秀女性ミュージシャン:シャナイア・トゥェイン


シャナイア・トゥェインは大人気のカントリー・シンガーですが、日本では紹介されているのでしょうか? レブロンのCMにも出ていますが、最近の私のお気に入りです。

ということで、ここからいつもの映画評のコーナーなのだ。
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1. 「Hurricane」 9点

(主演:デンゼル・ワシントン)

「I didn't commit the crime, the crime was comitted against me」
「Hate put me in prison, and loves gonna burst me out」

この後半のセリフは聞き取りがちょっと怪しいのだが、この映画にはいいセリフが多かった(こういうセリフは字幕や吹き替えの練習にピッタリでしょう)。
「Hurricane」とは、殺人の濡れ衣を着せられて15年間刑務所で戦った実在のプロボクサー、ルーベン・”ハリケーン”・カーターのことで、ストーリーは全て実話。圧倒的な存在感で”ハリケーン”を演じるデンゼル・ワシントンは彼のキャリアで最高の演技で、オスカーレースは「American Beauty」のケビン・スペイシーとの一騎打 ちか。映画終了後は場内拍手の嵐、感動しました。
監督は「夜の大捜査線」のノーマン・ジェイスン。同作で南部の典型的な保安官を演じてオスカーをさらったロッド・スタイガーが、本作では裁判官として”ハリケーン”・カーターの再審を裁く。いきなキャスティングだった。
というわけで、本作は”must‐see movie”。
(オフィシャルサイト: http://www.the-hurricane.com/

2. 「Galaxy Quest」 8点

(主演:ティム・アレン、シガニー・ウィーバー、アラン・リックマン)
これはSFコメディの佳作。「嘘」という概念を持たない異星人が、地球の人気SF番組「Galaxy Quest」(ほとんど「スター・トレック」そのまま)を見てその出演者を誘拐し、敵対する宇宙人と戦わせようとする。クルーの艦長にティム・アレン(自分の役柄に自信を失っている)、ミスター・スポックもどきがアラン・リックマン(もともとやる気がなく、しかもティム・アレンが嫌い)、不必要にお色気を撒き散らす紅一点がシガニー・ウィーバー(役柄を選べるほど売れていない)。
全編ほとんどおかしいが、中でもティム・アレンを誘拐する異星人の言動が妙におかしく(しかも一人は千代の富士そっくり)、アラン・リックマン(「ダイ・ハード」のテロリストのボス)のふてくされ顔がおかしく、画面が変わるたびに肌の露出度が上がるシガニー・ウィーバーがおかしい。
主演のティム・アレンは日本ではあまり知られていないが、アメリカのテレビ界では大物中の大物で「Home Improvement」というコメディが有名。意外にも本人は大のマニアで、前からこの手の映画を作りたかったとのこと。日本で公開されるといいね。
(オフィシャルサイト: http://movies.go.com/playit/index.html

3. 「Play It to the Bone」 6点

(主演:ウッディ・ハレルソン、アントニオ・バンデラス、ロリータ・ダビドビッチ)
「さよならゲーム」(野球)、「White Men Can't Jump」(バスケットボール)、「ティン・カップ」(ゴルフ)など、スポーツ映画で定評のあるロン・シェルトンが、今回はボクシングを題材に。
急きょラスベガスでマイク・タイソンの前座として戦うことになったウッデイ・ハレルソンとアントニオ・バンデラスは親友同士。この2人にハレルソンの元恋人、バンデラスの現恋人のロリータ・ダビドビッチが加わり、前半は彼等3人がラスベガスに行くまでのバディ・ムービー調。後半は一転してこれでもかと言うほどのハレルソンとバンデラスの流血ファイティング・シーン。残念ながら前半は退屈だし、後半はやりすぎの演出で臨場感に欠ける。全体的に消化不良で終わってしまった感じ。イベント・プロモーターを演じたトム・サイズモアだけが印象に残った。
ケビン・コスナー、ロッド・スチュアートらが観客としてカメオ出演している。
(オフィシャルサイト: http://movies.go.com/playit/index.html

4. 「Eye of the Beholder」 5点

(主演:ユアン・マグレガー、アシュレイ・ジャド)
「SW:エピソード1」の若きオビワン・ケノービことユアン・マグレガーと、昨年「Double Jeopardy」がスマッシュヒットとなったアシュレイ・ジャド共演のヒッチコック調スリラー。Eyeと呼ばれる私立探偵(ユアン・マグレガー)は、仕事である女性(アシュレイ・ジャド)を見張るうちに彼女のとんでもない秘密を知る。Eyeは監視ビデオを通して彼女に恋するようになり、やがて影のように女を尾行し守護者となる…。こう言うと面白そうで、実際映像も凝っているのだが、初めの30分で観客が驚くことが全て起こってしまい、その後は何の仕掛けもない。その上サスペンスに乏しく、何より結末が分かりにくい。いやそれだけでなくこの結末は映画全体を駄目にしてしまった。アシュレイ・ジャドのフルヌードも効果なし。実力のある2人の共演なので期待が大きかった分失望も大きかった。 凡作。
(オフィシャルサイト: http://www.eyeofthebeholder-movie.com/

今回は4本でおしまい。
ところで最近ゴールデン・グローブ賞のTVドラマ部門で三冠(作品、主演男優、主演女優)に輝いた「The Sopranos」という番組が見たくて、HBOというケーブルチャンネルを追加。この作品は比較的低ランクのマフィアの家族をリアルに描いた大人気番組で、おいおい紹介していく予定。 また2月15日にはいよいよアカデミー賞ノミネートが発表される(授賞式は3月26日)。

次回は「オスカー大胆予想」でもやろうかな。