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Mr.DOBASHI no テキサス映画通信

”Houston, we have a problem!(13)

Dobashi Shuichiro 土橋 秀一郎


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例年全米のサマームービーは5月末のMemorial Day からスタートしますが、今年はリドリー・スコット監督の大作「Gladiator」が5月4日に公開される事から、実質的にサマーシーズンは既に始まっています。しかも8月末までに公開予定の作品は何と137本。これから4ヶ月の長丁場、気合いを入れて行かねば。

今回紹介する新作はその「Gladiator」を含めた7本。「Gladiator」は大変な傑作ですが、サマーシーズン直前に公開された「Frequency」と「Keeping the Faith」もAランクの作品。これがアメリカ映画の底力でしょうか。

1. 「Keeping the Faith」 A-

(主演:エドワード・ノートン、ベン・スティラー、ジェナ・エルフマン)
思わずにっこりの傑作ロマンティック・コメディの誕生だ。神父のエドワード・ノートンとラビのベン・スティラー(「メリーに首ったけ」)は小学校以来の親友。2人の住むマンハッタンに、幼なじみのジェナ・エルフマン(TVコメディ「Dharma &Greg」で人気)が戻って来た。彼女は昔と変わらず、2人にとって「人生で一番クールな女性」のままだ。ジェナ・エルフマンはスクリーンの中で輝いていて、おかげでノートンとスティラーは恋愛・友情・信仰の板ばさみにのたうちまわる。このシチュエーションはやたら面白い。しかも凄いのは、信仰を笑いのネタに使うのではなく、極めて真面目に取り扱っていること。監督はなんとエドワード・ノートン。この人の演技の上手さは若手ではダントツ(「真実の行方」、「アメリカンヒストリーX」で2度アカデミー賞ノミネート)。本作でも芸達者なベン・スティラーを格下に見せてしまう。ミロス・フォアマンやウォーレン・ベイティに励まされてメガホンを取ったそうだが、まさか監督としてここまでやるとは。とにかく理屈抜きで面白かった。
(オフィシャルサイト:http://studio.go.com/movies/keepingthefaith)

2. 「 Where the Money Is」 B

(主演:ポール・ニューマン、リンダ・フィオレンティーノ)
キャロル(リンダ・フィオレンティーノ)の働く介護施設に銀行強盗ヘンリー(P・ニューマン)が入って来た。ヘンリーは服役中に脳卒中の発作を起こして全身不随。だが、キャロルはヘンリーが実は不随を装っていることを見抜いて、ヘンリーに一獲千金の計画を持ち掛ける。前半は死人同然のヘンリーと、あの手この手でそれを見破ろうとするキャロルのやり取りで笑わせ、後半は一転して現金輸送車襲撃が活写される。現在75歳のポール・ニューマンの使い方が上手い。リンダ・フィオレンティーノは頭がよくてセクシーなキャロルを好演。だが、惜しむらくは脚本。せっかくスマートなストーリーを設定し、スマートなキャラクター2人を作り上げたのに、物語の結末が余りにも安易。この手の話はハッピーエンディングに終わるか、全てが水泡に帰すかはどうでもいい。どう成功するか、あるいは何故失敗するか、いかに観客に納得させるかがポイント。本作はこの点で外してしまった。
それにしてもポール・ニューマンは今だにファースト・エディやクールハンド・ルーク、それにブッチ・キャシディの面影が厳然と残っている。この人ほど格好良く 歳を取っている男を私は他に知らない。
(オフィシャルサイト:http://www.wherethemoneyismovie.com/)

3. 「U-571」 B+

(主演:マシュー・マコノヒー、ビル・パクストン、ハーベイ・カイテル)
2週連続で全米ボックスオフィス第一位に入った久々の本格戦争映画。それも第2次世界大戦の「潜水艦」もの。このカテゴリーにはウォルフガング・ピーターゼン監督の「Uボート」という傑作があるが、本作も健闘している。大西洋沖で動けなくなったドイツ軍のUボート「U-571」。そこにあるエニグマ(ナチスの情報暗号化装置)を奪取するために、連合軍は偽装した潜水艦を送り込む。その艦長が「ツイスター」のビル・パクストン、副官が「評決の時」、「コンタクト」のマシュ・マコノヒー、航海長がハーベイ・カイテル(!)。特別チームは守備よくエニグマを手に入れるが、自艦を失い、その時艦長も死亡。彼等は生き残りを賭けてU-571で脱出する。それを追うドイツ軍の対潜戦艦「デストロイヤー」。しかも艦長に代わってU-571の指揮を執るマシュー・マコノヒーは、「判断力不足」で艦長への昇格が見送られたばかりだった。
戦艦対潜水艦の攻防に特に新規さはない。だが、本作の最大の魅力はそのオールドファッションさだ。それを最新の映像・音響技術が一層引き立てる。ハーベイ・カイテル(アクセントは「カ」でなく「テ」にある)はいつも通り渋いし、マシュー・マコノヒーも実戦で成長して行く副官を好演。映画終了後は年配の観客から大きな拍手が…。
(オフィシャルサイト: http://www.u-571.com/)

4. 「American Psycho」 B

(主演:クリスチャン・ベイル、ウイレム・デフォー、リース・ウェザースプーン)
レオナルド・ディカプリオの降板等で製作前に大きな話題となったスタイリッシュ・ホラーが、遂にベールを脱いだ。80年代。ハーバード出身、ウォールストリートのヤッピーなシリアル・キラー、パトリック・ベイトマンに扮するのは、クリスチャン・ベイル。マンハッタンの高級アパートで、ヒューイ・ルイスの「Fore!」を聞きながら手斧で友人を切り刻むベイトマンの姿は見事に絵になった。クリスチャン・ベイルのベイトマンは、ディカプリオよりずっといい。
だが本作は血も凍るショッカーでもなく、かといってホラー映画のパロディでもない。80年代ヤッピーのサタイア(風刺劇)なので、エンターテインメントとしては期待したほど面白くはない。その上、過激なセックス描写で当初はNC-17(17才以下入場禁止)の指定を受け、再編集された。知らずに観に行くと赤面する事になる。
(オフィシャルサイト:http://www.americanpsycho.com/)

5. 「28 Days」 C

(主演:サンドラ・ブロック、スティーブ・ブセミ)
最近サンドラ・ブロックには裏切られることが多いが、これもほとんど観るべきところはない。アルコールで事件を起こしたサンドラ・ブロックは、刑務所の代わりにリハビリセンターへ送られる(そこで過ごす4週間が題名になっている)。ブロックは自分に問題があることに気づき、更正を目指すが、そのプロセスが退屈ではどうしようもない。他の患者たちの描き分けも不十分だし、センター長のスティーブ・ブセミも何のために使ったのか理解に苦しむ。これではどこを観ろと言うのか。「Forcesof Nature」の時も言ったが、サンドラ・ブロックのあの輝きはどこへ行ってしまったのだろう?「スピード」と「あなたが寝ている間に」の大成功後、製作に口を出し、作品を自由に選ぶまで力を持つようになったが、最近の作品は魅力を失う一方だ。当分は期待できそうもない。ため息。
(オフィシャルサイト:http://www.sony.com/28days)

6. 「Freqency」 A-

(主演:デニス・クエイド、ジェイムズ・カヴィーゼル、アンドレ・ブラウアー)
これは超おすすめ。前評判が高く、予告が良かったので初日に観に行ったが、期待通りの仕上がり。
36才の刑事ジョン(ジェイムズ・カヴィーゼル)が、消防士だった父親フランク(デニス・クエイド)のアマチュア無線機に応えたところ、何と相手は30年前に死んだはずのフランク本人。しかもフランクは1969年の同じ場所から、同じ無線機を使って話しかけて来たのだった!
ストーリーはまず父親と息子の無線機を通しての感動的な再会(?)が描かれる。しかしそれもつかの間。とにかくジョンは30年前の明日に迫った父の死を、何とか阻止しなければならない。さらに後半は、「過去を変えると現在・未来までが変わってしまう」という「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でも使われていたテーマをメインに、スリルが加速して行く。テーマ自体に新規さはないが、脚本のあちこちに頭のいい小道具が効果的に散りばめられている。例えばこの作品のポイントの一つは、2人がどうやって今起こっている不思議な現象を信じるようになるかだ。これは1969年のある有名な出来事を効果的に使って無難にクリアした。
とにかくあっという間の117分間。しかも父親役のデニス・クエイドが滅法いい。こんないい俳優だったっけってくらいいい。娯楽作としては文句なしなので、SFにうるさい輩もタイムパラドックスやパラレルワールドがどうのこうのとプロット上の御託は並べないで素直に楽しむこと。
(オフィシャルサイト:http://www.frequencymovie.com/)

7. 「Gladiator」 A

(主演:ラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックス、コニー・ニールセン)
これは凄かった。本当に凄い。古代ローマを舞台にした大スペクタクル巨編で、「ブレード・ランナー」のファンには悪いが、紛れもなくリドリー・スコット監督の最高傑作。公開3日間で3千万ドルを稼ぎ出した。
ローマ皇帝(リチャード・ハリス)の寵愛を受ける将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)。彼の唯一の希望は家族の待つ家に帰ること。だが共和制を望む皇帝を良しとしない息子のコモダス(ホアキン・フェニックス)は、マキシマスの家族を皆殺しにし、マキシマスは奴隷戦士に身を落とす。残された復讐の道は奴隷戦士として勝ち抜き、Gladiatorとしてローマンコロシアムで帝国戦士と戦うこと。そこには皇帝の座を継いだコモダスがいるのだ。
冒頭の大合戦シーンと、CGを使った壮大なローマンコロシアムは観る者を魅了し、カリスマを持つ真の英雄マキシマスになり切ったラッセル・クロウの迫真の演技に圧倒される。絢爛豪華な舞台に負けない力強いドラマ性は、150分の物語を最後まで引っ張り、その切ないラストシーンは胸を打つ。
自らの足を映画館に運び、極上の時間を満喫する。「Gladiator」はそんな映画だ。
(オフィシャルサイト:http://gladiator-thefilm.com/)

さて、今回のおまけは2000年サマームービーの期待作・話題作を20本。「M:I-2」の対抗馬は「Gladiator」か、「The Patoriots」か。この夏は徹底的にアクション映画を楽しむのだ!

≪5月≫

1) 「Gladiator」
ローマ帝国を舞台にしたリドリー・スコット監督のスペクタクル巨編。主演は「TheInsider」のラッセル・クロウ。今回紹介済み。
2) 「Battlefield Earth」
西暦3000年の地球を支配するエイリアンと人類との戦いを描くSFアクション。ジョン・トラボルタがエイリアンの親玉に扮する。
3) 「Dinosaur」
ディズニーがCGと実写の合成で贈る、サルに育てられた恐竜の物語。
4) 「Mission:Impossible-2」
説明不要、この夏ナンバーワン・ヒット確実のアクション巨編。主演はトム・クルーズ、アンソニー・ホプキンス、監督はジョン・ウー。

≪6月≫

5) 「Gone in 60 Seconds」
自動車強盗の華麗なテクニックとカーチェイス満載のアクション。’74年の同名映画のリメイクで、主演はニコラス・ケイジとアンジェリーナ・ジョリー。
6) 「Shaft」
これも’71年の同名映画のリメイク。タイトル・ロールの私立探偵シャフトに扮するのはサミュエル・L・ジャクソン。
7) 「Me,Myself and Irene」
「メリーに首ったけ」の監督が放つコメディ。ジム・キャリーが二重人格の警官を演じる。
8) 「The Adventure of Rocky and Bullwinkle」
60年代の人気アニメーションを実写との合成で描くコメディ。主演はロバート・デ・ニーロ、「Seinfeld」のジェイソン・アレキサンダー、レネ・ルッソ。
9) 「The Patoriots」
メル・ギブソン主演、独立戦争が舞台のアクション・ドラマ。監督は「インディペンデンス・デイ」のローランド・エメリッヒ、脚本は「プライベート・ライアン」のロバート・ロダット。
10) 「The Perfect Storm」
「Uボート」、「エアフォース・ワン」のウォルフガング・ピーターゼン監督による海が舞台の超大作。歴史的な暴風雨に翻弄されるのは、ジョージ・クルーニーとマーク・ウォルバーグ。

≪7月≫

11) 「X-Men」
マーベル・コミックの人気シリーズの映画化。正義の味方「超人類X-Men」に扮するのはパトリック・スチュワート、ハリー・ベリーなど。
12) 「What Lies Beneath」
ハリソン・フォード、ミシェル・ファイファー共演のスリラー。監督は「フォレスト・ガンプ」のロバート・ゼメキス。
13) 「Thomas and the Magic Railroad」
子供に人気の「機関車トーマス」を、実写とダイナメーション合成で映像化。主演はアレック・ボールドウィンとピーター・フォンダ。
14) 「I Was Made to Love Her」
人気コメディアンのクリス・ロック主演。天国の予定外の時間に死んだ黒人(クリス・ロック)が、誤って白人として生き返るコメディ。

≪8月≫

15) 「Space Cowboys」
クリント・イーストウッド、トミー・リー・ジョーンズ共演。退役した彼等は旧式の人工衛星の処理の為に宇宙へ飛び立つ。監督もイーストウッド。
16) 「Imposter」
「Mission to Mars」のゲイリー・シニーズ、マデリーン・ストウ共演のSFスリラー。原作はフィリップ・K・ディック。
17) 「The Cell」
これもSFスリラー。シリアル・キラーの精神に入り込む科学者に「Out of Sight」のジェニファー・ロペス。
18) 「The Replacements」
選手のストライキでNFLのプレイオフに借り出される臨時コーチにジーン・ハックマン。プロ経験の無いキアヌ・リーブスがチームを引っ張る。
19) 「Texas Rangers」
1800年代、元祖テキサス・レンジャーを演じるのは人気TV番組「Dawson's Creek」のジェイムズ・バン・ダー・ビークと「The Practice」のディラン・マクダーモット。
20) 「The Legend of Begger Vance」
ロバート・レッドフォード監督の新作。ゴルフと人生を教える不思議なキャディに「メン・イン・ブラック」のウィル・スミス。共演はマット・デイモンとチャーリズ・セロン。