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Mr.DOBASHI no テキサス映画通信

”Houston, we have a problem!(14)

Dobashi Shuichiro 土橋 秀一郎


Backnumber

6月4日にトニー賞の授賞式をテレビで観ました。司会はロージー・オドネルとネイサン・レイン。各作品賞候補作のハイライト・シーンを実演するので、大変得した気分になります。しかもプレゼンターとしてアル・パチーノ、パトリック・スチュアート、マシュー・ブロデリック、ケネス・ブラナー、更にノミニーのマンディ・パティンキン("The Wild Party")、クリストファー・ウォーケン("James Joyce's The Dead")など映画でもおなじみの顔ぶれも揃っていて飽きさせません。今年の作品賞は「Contact」が受賞。好きな女の子をダンスに誘えないシャイな男の話なのですが、ハイライトシーンを観てすっかり気に入ってしまいました。ロバート・パーマーの「Simply Irresistible」をバックに憧れの女性が自分の目の前で他の男と踊るシーンなのですが、その斬新なダンスといい、この選曲の妙といい、これが洗練というものでしょうか。NYへ行く機会があったら、ぜひ観ておきたいですね。

さて、2000サマームービーはまだまだ序盤戦。今のところ勝ち組が前回紹介した「Gladiator」、「Dinosaur」、それに「M:I-2」。負け組が「Battlefield Earth」と「Gone In 60 Seconds」。今回は取りあえず5本を紹介だ。

1. 「Battlefield Earth」 C-

(主演:ジョン・トラボルタ、バリー・ペッパー、ウォレスト・ウィテカー)
今時珍しいくらいつまらないSF映画。ジョン・トラボルタが西暦3000年の地球を支配するサイクロス星人の親玉、その右腕がウォレスト・ウィテカー。物語は地球人の最後の生き残りグループが、サイクロスの奴隷になりながらもサバイバルを賭けて逆襲する話なのだが、とにかく全編を通して救いようが無く退屈。地球人側のリーダーに扮するバリー・ペッパーも全く魅力が無く、他のキャラクターの描き方もゼロに等しい。
身長2メートル、「スター・トレック」のクリンゴン星人のようなメークのトラボルタの馬鹿馬鹿しさは、ほとんど「ウォーターワールド」で耳に魚のヒレをつけてしまったケビン・コスナーに匹敵する。さすがに特撮は良く出来ているが、いまどきのSFで特撮が悪い作品などお目にかかれないので、余計お粗末な脚本が目につく。今年のラズベリー賞(ワースト映画)の最有力候補で、昨年受賞の「ワイルド・ワイルド・ウエスト」を遥かに凌ぐ出来栄え。唯一の収穫はカメオ出演したトラボルタ夫人のケリー・プレストン。サイクロスのメークをしていたが、エイリアン顔でも彼女は充分美しかったぞ。
(オフィシャルサイト:http://battlefieldearth.warnerbros.com/

2. 「Dinosaur」 B

(声の出演:ジュリアナ・マルグリーズ他)
親から離れて猿(のような動物)に育てられた恐竜が、全滅の恐怖にさらされながらも仲間と出会い、やがてリーダーとして成長して行くまでを描く。この作品、ディズニーにしては物語にいつものような深みが無い。恐竜も最近ちょっと食傷気味。しかし最新のCG技術に実写を合成した恐竜たちの表情と動きは圧倒的な迫力で、一体どうやったらこんな映像が作れるのだろうかと素朴な疑問がわく。とにかく90分間子供たちと一緒に楽しめて、文句をつける理由は見当たらない。
(オフィシャルサイト:http://www.dinosaur.go.com/

3. 「Mission:Impossible‐2」 A-

(主演:トム・クルーズ、サンディ・ニュートン、ダグレイ・スコット)
言うまでもなくこの夏最大の話題作。まずこの作品、良くも悪くもジョン・ウースタイルだ。オリジナルの特徴であった心理的トリックや仕掛けの面白さを意識的に排除し、壮絶なアクションと主人公イーサン・ハント(トム・クルーズ)のロマンスを前面に押し出した。今やあの「スパイ大作戦」を彷彿させるのは、無残に編曲された名匠ラロ・シフリンのテーマソングだけだ。トム・クルーズは「男たちの挽歌」のチョウ・ユンファや、「ブロークン・アロー」のクリスチャン・スレイター同様に2丁拳銃を操り、ジョン・ウー得意のスローモーションが連発される。意外にもクルーズが映画の中で銃を撃つのはこれが初めてとか。脚本に新規さはない。ストーリーは先が読める。物語の核となる殺人ウィルスの恐怖感は観客に伝わってこない。何回か出てくる変装も容易に見破れる。その上ヒロインのサンディ・ニュートンは登場シーンこそその美しさにドキッとさせられるが、魅力が先細りする。ジョン・ウーは基本的に女性の撮り方、描き方が下手だ。この監督の限界を見た気がする。つまり作品的には成功しているとは言い難い。だがしかし、それでもこの映画は面白い!なぜか?これがトム・クルーズの凄さだ。この男が登場すると、目が離せない。本作を見るとあらためてトム・クルーズが名実ともにハリウッドの頂点に君臨していることが分かる。絶対的スターとしての魅力、品格、演技力、これら全てを兼ね揃えている。しかも劇中のロック・クライミングシーンはほとんど本人がスタントなしで実演している。かつての「アカデミー賞にノミネートされたアイドル」は影を潜め、今や「ハードなアクションもこなすアカデミー賞ノミニー」に変貌を遂げた。われわれは現在のトム・クルーズから、20年後のハリウッド・レジェンドを垣間見ることができるのだ。
(オフィシャルサイト:http://www.missionimpossible.com/

4. 「Michael Jordan to the Max」 B

今年のNBAファイナル、LA・レイカーズとインディアナ・ペイサーズの激闘をTVで観ながらこの原稿を書いている。頭痛がしているのだが、面白くて止められない(勿論書く方でなく、観るほうが、の話)。
で、これは「史上最高のアスリート」、マイケル・ジョーダンの軌跡を描く45分間のアイマックス・ムービー。厳密に言えば映画ではないし、アイマックスにした効果は感じられないが、改めてマイケル・ジョーダンの凄さが分かる。ジョーダン引退後もNBAにスーパースターは数多く存在するが、そのカリスマ性、テクニック、精神力、どれを取っても他の追随を許さない。かつて日本のバスケットボール人口を倍増させた超人気コミック「スラムダンク」の流川楓が、マイケル・ジョーダンをモデルにしていることもはっきり分かる(驚くべき事に、流川のスーパープレイを、ジョーダンは全て実演している)。数々の記録を塗り変えた後、現役最後のシュートでシカゴ・ブルズをNBAファイナルの連続優勝へ導き、みずからも連続MVPを取ってしまった男。われわれはマイケル・ジョーダンに対して深い畏敬の念を抱きつつ、一方でプロ野球へ挑戦して挫折した彼の姿を見て、正直少しほっとするのだ。
(オフィシャルサイト:http://www.mjtothemax.com/mj.html

5. 「Gone in 60 Seconds」 C+

(主演:ニコラス・ケイジ、アンジェリーナ・ジョリー、ロバート・デュバル)
これには正直がっかり。実に40分間のカーチェイスを見せてくれた74年の同名映画のリメイクで、製作・主演はあの傑作アクション「ザ・ロック」と同じジェリー・ブラッカイマーとニコラス・ケイジとくれば、期待は最高潮に達する。しかし全編を通して見るべきものはほとんど無い。ニコラス・ケイジは弟の命と引き換えに、24時間に50台の高級車を盗む元プロの自動車強盗に扮するが、死と隣り合わせのカウントダウンの緊迫感は全く感じられない。LA市警と67年型シェルビー・コブラ・マスタングGT500が繰り広げるカーチェイスにも斬新さはないし、盗みのテクニックも出来の悪いジェイムズ・ボンド映画のようだ。人物描写は浅く、唯一ロバート・デュバルだけが作品にリアリティを与えている。結果的にはニコラス・ケイジの生殺しだ。一応3週目の「M:I-2」を押さえて興行収入トップに立ったが、2週間もつとは思えない。もともとどう転んでも文芸作品にはなりえないストーリーなのだから、R指定を恐れずカーチェイスとセックス満載のエンターテインメントに徹底して欲しかった。
(オフィシャルサイト:http://www.goneinsixtyseconds.com/

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今回はパート2として、最近購入して気に入っている映画・TV関係の書籍を2冊紹介しましょう。

1.「The Complete Directory to Prime Time Network and Cable TV Shows1946-Present」

(Ballantine社、$24.95
)これは実に感動的な本。何と5500以上のアメリカのTV番組が載っていて、脇に置いて時々ぱらぱらとページを繰るだけで幸せな気分にしてくれる。例えば「Ally McBeal」を引くと以下の通り。

Ally McBeal (Legal Comedy/Drama)
First Telecast : September 8, 1997
Last Telecast : -
Broadcast History : Sep. 1997-, Fox Mon 9:00-10:00
Cast : Ally McBeal … Calista Flockhart
Georgia Thomas … Courtney Thorne-Smith
Richard Fish … Greg Germann(以下略)

この後「Theme」としてストーリーやひと通りの解説がつく。 しかし圧巻なのは巻末の付録:
1)1946−1998のPrime Time(7:00〜11:00pm)の各局の曜日別の番組表
2)1948−1998のエミー賞の受賞リスト
3)1950−1998の視聴率ベスト30(因みに1998年5月のベスト5は"Seinfeld"、"ER"、"Velonica's Closet"、"Friends"、"Monday Night Football")
4)長寿番組リスト(現時点のトップは45シーズン目の"The Tonight Show"、2位"Walt Disney"、3位 "60 Minutes")
5)テレビ番組オールタイム・トップ100(1位"60 Minutes"、2位"Gunsmoke"、3位"The Red Skelton Show"。 "Cheers"が11位、"Seinfeld"が28位)
6)人気TVシリーズ復刻版リスト
7)Spin-offリスト(人気番組の登場人物が別の番組で主役となること。例えばケルシー・グラマーの"Frasier"は"Cheers"からspin‐offした)
8)TVシリーズ化映画リスト(例えば"FX:The Series"は「F/X」から、"Stargate SG-1"は「スターゲイト」から)

等々全部で11のAppendixが付く。勿論索引も完璧。唯一の欠点は写真が一枚も使われていないことだが、内容の充実度はちょっと他に類を見ない。

2. 「The Dictionary of Film Quotations」

(Crown Trade社、$24.00)
これは映画の名セリフ集。1000本の映画から6000の名セリフが紹介されていて、読み始めるとやめられない。お気に入りを2つ紹介します(久しぶりに日本語訳も試みてみましたが、いかが)。
最初は1955年の感動作「マーティ」("Marty")から。アーネスト・ボーグナイン扮する34才の独身男マーティは心優しい男だが、太った体といかつい顔つきのせいで結婚相手がいない。そのマーティがダンスに行けと言う母親に向かってつぶやく。

"Sooner or later, there comes a point in a man's life when he's got to face some facts. And one fact I got to face is that whatever it is that women like, I ain't got it. I chased after enough women in my life. I went to enough dances. I got hurt enough. Idon't want to get hurt no more."

「きっとこれが俺の人生なんだ、やっと分かったよ。俺と結婚してくれるような女性はどこにもいない。もう無駄な努力はしない。ダンスもね。これ以上傷つきたくないんだ」

この作品、心温まるハッピーエンドが待っている。

もう1本はご存知「ダーティ・ハリー」(1971)から。発砲回数ダントツのサンフランシスコ市警の刑事ハリー・キャラハンが市長に言うセリフ。

"When an adult male is chasing a female with intent to commit rape, I shoot the bastard. That's my policy."

「女を追っかけている強姦野郎には黙って引き金を引く。それが俺のやり方でね」

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6月はまだまだ「Shaft」、「The Patoriot」、「Me, Myself & Irene」、「The Perfect Storm」が控えている。お楽しみはこれからだ。