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2000年サマームービーは折り返し点を回ったところですが、この夏最大の異変は6月最後の週に起きました。ジョージ・クルーニー&マーク・ウォルバーグの「ThePerfect Storm」が、メル・ギブソンの「The Patoriot」に大差をつけてボックスオフィスの第1位に入ったのです。実際「The Perfect Storm」の面白さは尋常ではなく、活写されるハリケーンの迫力は観客のど肝を抜きます。一方の「The Patoriot」も決して悪い出来ではないのですが、2時間40分の長さとR指定がハンディになったようです。以下は6月30日〜7月2日のウィークエンドの全米興業収入です。
第1位 「The Perfect Storm」
$41.7/41.7million(今週/累計)(公開第1週)
第2位 「The Patoriot」
$21.7/31.0million(今週/累計)(公開第1週)
第3位 「Chicken Run」
$12.8/41.1million(今週/累計)(公開第2週)
第4位 「Me, Myself & Irene」
$12.0/49.0million(今週/累計)(公開第 2週)
第5位 「The Adventure of Rocky and Bullwinkle」
$6.6/6.6million(今週/累計)(公開第1週)
第6位 「Shaft」
$6.5/53.2million(今週/累計)(公開第 3週)
第7位 「Big Mama's House」
$5.5/94.7million(今週/累計)(公開第5週)
第8位 「Gone in 60 Seconds」
$5.0/78.6million(今週/累計)(公開第4週)
第9位 「Mission:Impossible-2」
$4.8/196.9million(今週/累計)(公開第6週)
第10位 「Gladiator」
$2.4/169.7million(今週/累計)(公開第9週)
今回のレビューはこの上位6作品+1だ!
1. 「Shaft」 B+
(出演: サミュエル・L・ジャクスン、ヴァネッサ・ウィリアムス、クリスチャン・ベイル)
71年の「黒いジャガー」が、サミュエル・L・ジャクスン扮するジョン・シャフトを得て甦った。ハードなアクションが全盛の現在、「ダーティー・ハリー」張りのスタイル重視のポリス・アクションが嬉しい。ジャクスンはアルマーニのレザージャケットを着て、軽口をたたきながらタフガイぶりを徹底的にアピールする。クレジット・タイトルにかぶさるアイザック・ヘイズのテーマソングは29年の歳月を経ても最高にカッコ良く、この曲を聞くだけでもこの映画を観る価値がある。ただ残念なのはストーリー。有罪を逃れた白人優越主義者の殺人犯ウェイド(「American Psycho」のクリスチャン・ベイルが憎々しげに好演)を、シャフトがポリスバッジを捨てて追い詰めるという基本ストーリーは悪くない。だがウェイドと手を組むヒスパニックのギャングたちのコミックリリーフぶりが強烈すぎた。おかげで後半は焦点がぼけてし
まい、物語が散漫になる。ちょっと残念だ。サミュエル・L・ジャクスンはシャフトの甥という設定で、元祖シャフトのリチャード・ラウンドトゥリーも出演しているのが楽しい。このシリーズは是非続けて欲しいものだが、いかんせん私の英語力では彼等の会話に歯が立たないのが悔しいぞ。
(オフィシャルサイト:http://www.shaft-themovie.com/)
※お詫びと訂正:以前「Shaft」は71年「シャフト旋風」のリメークと書きましたが、私の記憶違いでした。71年度版の邦題は「黒いジャガー」、「シャフト旋風」は正しくは72年の続編「黒いジャガー/シャフト旋風」(原題「Shaft's Big Score!」)です。お詫びするとともに訂正させていただきます。
1. 「Shaft」 B+
(出演: サミュエル・L・ジャクスン、ヴァネッサ・ウィリアムス、クリスチャン・ベイル)
71年の「黒いジャガー」が、サミュエル・L・ジャクスン扮するジョン・シャフトを得て甦った。ハードなアクションが全盛の現在、「ダーティー・ハリー」張りのスタイル重視のポリス・アクションが嬉しい。ジャクスンはアルマーニのレザージャケットを着て、軽口をたたきながらタフガイぶりを徹底的にアピールする。クレジット・タイトルにかぶさるアイザック・ヘイズのテーマソングは29年の歳月を経ても最高にカッコ良く、この曲を聞くだけでもこの映画を観る価値がある。ただ残念なのはストーリー。有罪を逃れた白人優越主義者の殺人犯ウェイド(「American Psycho」のクリスチャン・ベイルが憎々しげに好演)を、シャフトがポリスバッジを捨てて追い詰めるという基本ストーリーは悪くない。だがウェイドと手を組むヒスパニックのギャングたちのコミックリリーフぶりが強烈すぎた。おかげで後半は焦点がぼけてし
まい、物語が散漫になる。ちょっと残念だ。サミュエル・L・ジャクスンはシャフトの甥という設定で、元祖シャフトのリチャード・ラウンドトゥリーも出演しているのが楽しい。このシリーズは是非続けて欲しいものだが、いかんせん私の英語力では彼等の会話に歯が立たないのが悔しいぞ。
(オフィシャルサイト:http://www.shaft-themovie.com/)
2. 「Road Trip」 B+
(出演: ブレッキン・マイヤー、ショーン・ウィリアム・スコット、トム・グリーン)
この作品、出演者で名前を知っているのはMTVコメディアンのトム・グリーンぐらい。でもこういう品の無い青春映画は割と好きだし、雑誌等で「アニマル・ハウス」と比較されたりしているので、あまり期待しないで観に行った。結構いけました。NYの大学生ジョッシュ(ブレッキン・マイヤー)は、ある晩酔った勢いでパーティーで知り合った女の子とセックスし、それをビデオカメラで撮影する。で、そのビデオをテキサスに住むガールフレンドへのビデオレターと間違えて送ってしまった!金の無いジョッシュと友人3人が大あわてでビデオを取り返すために、車でNYからテキサスへ向かうまでの珍道中を描く。主人公の4人は嫌味がなくそれぞれのキャラクターもきちんと描かれている。下品なユーモアも不快でなくヒットする。しかも立派な自立ストーリーにもなっていて、ハッピーエンドのまとめ方も上手い(この手の作品はハッピーエンドでなければならない)。こういう学生生活を送りたかったなと思わせる映画で、思わぬ収穫だった。ビデオで観るのにいいでしょう。
(オフィシャルサイト:http://www.roadtrip-itsgood.com/)
3. 「Me, Myself & Irene」 B
(出演: ジム・キャリー、レニー・ゼルウィガー)
「メリーに首ったけ」のファレリー兄弟が監督、ジム・キャリー主演とくれば傑作コメディーになりそうなものだが、そうならないのが映画の面白いところだ。結論としては「メリー」の面白さには遠く及ばない。特に幾つかの下品なギャグがことごとくタイミングを外したのが痛い。「メリー」のあの有名なキャメロン・ディアスのヘアージェルのギャグを思い出してほしい。あれこそタイミングの勝利で、品が無くても抱腹絶倒の面白さになった。それくらいギャグの「間」というのは難しい。それでもこの映画、ジム・キャリーの才能でなんとか持っている。長年妻や一般市民に馬鹿にされ続けて溜まったストレスがついに爆発した時、弱虫警官チャーリー(ジム・キャリー)に、ハンクというタフな別の人格が生まれる。しかもチャーリーとハンクはアイリーンという同じ女性(「ザ・エージェント」のレニー・ゼルウィガー)に恋をする。2つの人格を演じ分けるジム・キャリーの芸達者ぶりは他のコメディアンの追随を許さない。ジム・キャリーにしか演じられないストーリーなので、間延びした脚本とレニー・ゼルウィガーの大根演技(というよりジム・キャリーについて行けない)が残念だ。
(オフィシャルサイト:http://www.memyselfandirene.com/)
4. 「Chicken Run」 A-
(声の出演: メル・ギブソン、ジュリア・サウァルハ、ミランダ・リチャードソン)
「M:I-2」や「The Patoriot」は黙っていても観に行くという映画ファンに是非勧めたいのがこのクレイ・アニメーションの傑作。この夏最大の大穴で、昨年の「The Iron Giant」に匹敵する面白さ。イギリスの鶏農場の雌鳥たちが集団脱走するというたわいないストーリーなのだが、冒頭のクレジットですっかりハマってしまった。何とジョン・スタージェスの傑作「大脱走」の見事なパロディになっているのだ。地下トンネルを掘っての集団脱走や、主人公のジンジャーがスティーヴ・マックィーンの勇姿そのままに何度も脱走しては捕われるシーン。そしてジンジャーは独房の中で例の孤独なキャッチボールを始める。バックに流れる曲もエルマー・バーンスタインのテーマソングに似せてあるという凝りようだ。しかも感心するのはこのタイトルクレジットだけで、本筋の状況設定を観客に全て伝えてしまっている点(ヒッチコックの「裏窓」の手法だ)。ストーリーはオリジナルで、アメリカから渡って来た雄鶏のロッキー(声:メル・ギブソン)が、ジンジャーたちを助けるのだが、脚本は良く練られているし、小さなアイディアが丹念に拾われていて実に楽しい。ニック・パークとピーター・ロードによるクレイ・アニメーション(粘土の人形を一枚ずつ撮影していくアニメの手法)のキャラクターは愉快で暖かみがあり、観終わった後ハッピーな気持ちにしてくれる。幸いアメリカで大ヒットしているので日本でも公開されるはず。お見逃しなく。
(オフィシャルサイト:http://www.reel.com/chickenrun)
5. 「The Adventure of Rocky and Bullwinkle」 C
(出演: リス、ムース、ロバート・デ・ニーロ、ジェイソン・アレキザンダー、レネ・ルッソ)
Rocky and Bullwinkleというアニメーションは子供の頃も観た覚えがない。Rockyは空飛ぶリスで、Bullwinkleがのんきなムース。で、この映画を観に行った唯一の理由は、ロバート・デ・ニーロがフィアレス・リーダーという名の現代版ヒットラーのようなキャラクターに扮して、「タクシードライバー」の名セリフを言う場面を観るためだったが、ここは相当面白かった。デ・ニーロのメイクといい、声色といい、やはりこの人普通じゃない(こんな映画の製作も兼ねているところも普通じゃない)。作品的には他に観るべきものはない。「Seinfeld」のジョージことジェイソン・アレキザンダーとレネ・ルッソがデ・ニーロの子分だが、2人ともあまりに添え物的で生彩がない。アニメと実写の合成はそれなりに良く出来ているが、基本的にこの映画の客層が想像しにくいのだ。映画のデパートのようなこの時期に、わざわざこの作品を選んで観に行く物好きはいない。え?ここにいるって?"You talking to me? You talking to me? Well, who the hell else are you talking to? You talking to me? Well, I'm the only one here."
(オフィシャルサイト:http://www.rockyandbulwinkle.com/)
6. 「The Perfect Storm」 A
(出演: ジョージ・クルーニー、マーク・ウォルバーグ、メアリー・エリザベス・マストラントニオ)
これは凄かった。かつてこれほど自然の猛威を描き切った映画があっただろうか。「タイタニック」や「ツイスター」のように、「ふーむ、なかなか良く出来ておるわい」などと考える余裕を与えず、これらの作品を子供だましに見せてしまう本作は、まさに"stomach‐clenching movie"で、間違いなくこのジャンルの古典として語り継
がれるだろう。
1991年。メカジキ漁で生計を立てる6人のタフな男たちがマサチューセッツを出港。失墜した名人の威信回復に燃えるビリー(ジョージ・クルーニー)、結婚資金がなく一攫千金を夢見るボビー(マーク・ウォルバーグ)、6人それぞれの想いを乗せたアンドレア・ゲイル号は、やがて史上最悪のハリケーン「グレース」に遭遇することになる。豪快なメカジキ漁から始まり、猛り狂う嵐、あきらめることを知らないヘリによるレスキュー部隊、休むことなく襲いかかる海と男たちの果てしなく絶望的な戦い。「Uボート」の名匠ウォルフガング・ピーターゼン監督は、これらを圧倒的な迫力で見事に映像化。その迫力に目が釘付けになる。更に6人の海の男と彼等の無事を祈る人々のぎりぎりの精神状態までもが描かれる。そしてジョージ・クルーニーとマーク・ウォルバーグ(昨年の「Three Kings」のコンビ)が生涯最高の演技を見せた結果、「The Perfect Storm」は単なるILMの映像マジックにとどまらず、感動的なドラマとなり得た。「The Perfect Storm」は「Gladiator」と並んで、2000年上半期の最高傑作だ。
クルーニーとウォルバーグは次作「Ocean's Eleven」(60年の快作「オーシャンと11人の仲間」のリメイク)」で3度目のコンビを組む。こちらも楽しみだ。
(オフィシャルサイト:http://www.perfectstorm.net/)
7. 「The Patoriot」 A-
(出演: メル・ギブソン、ジェイソン・アイザックス、ヘス・レジャー、クリス・クーパー)
うーむ、これも面白かったぞ。「インディペンデンス・デイ」のローランド・エメリッヒ監督が仕掛けたアメリカ独立戦争が舞台の壮大な戦争ドラマ。それほど深みはないが、「ブレイブ・ハート」と「許されざる者」を足して2で割ったような豪快な面白さだ。ベンジャミン・マーティン(メル・ギブソン)はサウス・キャロライナで農家を営む6人の子供の父親だが、かつては仏‐インディアン戦争で殺戮を重ねた経験を持つ。戦争の悲惨さを知りすぎているベンジャミンはアメリカ独立への道を話し合いに求めるが、次第に戦争の嵐に翻弄されていく。そして長男の出征に次いで、イギリス人将校(ジェイソン・アイザックスが好演)に次男を殺された時、野性に目覚めたベンジャミンは、農民兵を組織し、イギリス軍相手にゲリラ戦を開始する。特に20人のイギリス軍を幼い息子2人とで全滅させるシーンは本作品のハイライトで見逃せない。メル・ギブソンは依然としてこのジャンルのトップだ。今回も銃とトマホークで元気に戦うが、アクションは切れるし、ユーモアのセンスは抜群。家族愛を訴えれば観る者に感動を与え、星条旗を振り回す姿は見事に絵になり、彼がオーストラリア人であることを暫く忘れていることに気づかされる。メル・ギブソンの凄いのはエンターテインメント的な場面とドラマティックな場面を瞬時に切り替えられる才能だ。2時間40分の長さを恐れる必要は全くない。ほとんどの画面で、メル・ギブソンが獅子奮迅の活躍をしているのだから。
(オフィシャルサイト:http://www.spe.sony.com/movies/thepatriot)
さて、2000年サマームービーも一息ついたので、次回からは少しずつTV番組の方の紹介をしていくことにしよう。勿論サマームービーの紹介もまだまだ続くぞ。 |