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アメリカでオリンピックを見るのは面白いですよ。構成や盛り上げ方が上手いので、いくら見ても飽きない。アナウンサーも体操でUSAの選手の点が低かったりすると、審判団のことを「What
are they thinking?」などと平気で言っちゃう(さすがに「What the hell are they thinking!」とは言わない)。でもトム・ラソーダが監督とは言え、野球で日本がUSAにサヨナラ負けしたのは悔しかったですね。
ところでクイズ。次の二人は誰でしょう?(オリンピックとは全く無関係)
1) リチャード・ハッチ
2) レジス・フィルビン
日本にいながら両方分かった人は相当きてますね。危ないと言ってもいいでしょう。この2人は、今アメリカで最も人気のある視聴者参加番組「Survivor」(CBS)と「Who
Wants To Be a Millionaire」(ABC)の重要人物です。「Survivor」は無人島(第1回はボルネオ)で16人のメンバーが百万ドルの賞金を目指して生き残りを競う番組で、互いのエゴがむき出しになる壮絶な面白さが受けて、社会現象にまでなっています。製作費2千万ドルもテレビ番組としては破格で、最終回は全米で5千万人以上が観ました(次回は来年1月)。リチャード・ハッチはその第1回優勝者で、優勝を最後まで競ったケリー、スーザン、ルディとともにマスコミの寵児となりました。
一方の「Who Wants To Be a Millionaire」は、全問正解するとやはり百万ドルの賞金が出るオバケ番組。週に3回放映されますが視聴率は1位の「Survivor」に次いで2位から4位を独占してしまいます。で、レジス・フィルビンはその司会者の名前。回答者が答えた後、彼が「Is
this your final answer?」と確認するフレーズはすっかり有名になりました。映画やテレビでこのセリフを聞く機会も多いと思いますが、アメリカ人にこの質問をされたら、必ず真顔で「Yes,
this is my final answer」と答えるようにしましょう。きっと「お、この日本人分かってるな」と思われます。
さて、今回紹介の映画は9本。前半は辛口レビューが続くが、後半は持ち直したぞ。
1. 「The Replacements」
B-
(出演: キアヌ・リーブス、ジーン・ハックマン)
選手とコーチのストライキの為、急遽「ワシントン・センティネルズ」のコーチに就任するのがジーン・ハックマン。代替クォーターバックがかつての大学リーグのスター、キアヌ・リーブス。彼等は寄せ集めのメンバーでNFLのプレイオフ進出を目指す。ところが文字通り役者は揃ったものの、作品のトーンが首尾一貫せず、ストーリーはコメディとドラマを行ったり来たりする。キアヌとハックマンが大真面目に友情を深めていく傍らで、他のアウトサイダーのチームメイトたちがコミックリリーフぶりを発揮する。「映画のつまらなさの決め手は悪い脚本にあり」の好例で、ハックマンは良く出演したな、という感じ。
(オフィシャルサイト: http://the-replacements.warnerbros.com/)
2. 「The Cell」 C
(出演: ジェニファー・ロペス、ヴィンス・ボーン)
「「羊たちの沈黙」+「マトリックス」!」などと、恥ずかしげもなく誇大広告を打ってしまった作品。政府の研究機関で昏睡状態に陥ったシリアルキラーの精神に入り込み、監禁されている女性の居所を探り出す科学者が「アナコンダ」、「アウト・オブ・サイト」の急上昇株ジェニファー・ロペス。事件を担当するFBI捜査官が「サイコ」のヴィンス・ボーン。犯人の異常性とストーリーはむしろ「セブン」に近いが、決して悪くない。だが殺人犯の精神の中で繰り広げられるロペスの数々のイメージは、趣味の悪いファッション・ショーを観ているようだ(ロペスは普通のビジネススーツ姿がりりしくて美しい)。しかし最悪なのは、被害者の監禁先を突き止める決定的な手がかりを掴む場面で、全く何の工夫もない。子供だましだ。どうも最近のMTV出身の監督は信用できない。信用すべきは自分で脚本も書ける監督だ(後述するクリストファー・マッカリーがその好例)。
(オフィシャルサイト: http://www.cellmovie.com/)
3. 「The Art of War」 C
(出演: ウェズリー・スナイプス、マイケル・ビーン、アン・アーチャー)
ウェズリー・スナイプスはアクションが切れるので結構好きなのだが、面白かったのはいい格闘シーンがあった初めの30分だけ。国連のおとり捜査官に扮したスナイプスが中国の政府高官暗殺の濡れ衣を着せられ、意外な真犯人(全然意外でない)と対決する。が、肝心の真犯人が弱いのは一体どういう訳なんだ。「お約束」のマーシャルアーツの戦いはどこに行った。「M:I-2」のトム・クルーズでさえこの「お約束」は守ったぞ。しかもタキシードに身を包み、ハイテク小道具を使ってジェームズ・ボンドをスタイリッシュに決めようとするスナイプスは、お世辞にも似合っているとは言い難い。ただ闇雲にテロリストを追う凄腕刑事を演った「パッセンジャー57」の方が100倍くらい面白かった。
(オフィシャルサイト: http://www.artofwarmovie.com/)
4. 「Highlander:Endgame」 C+
(出演: エイドリアン・ポール、クリストファー・ランバート、ブルース・ペイン)
ハイランダーとはスコットランド出身の不死の人々で、基本的には剣で殺し合うのが大好き。もう400年くらい生きていて、敵の首を刎ねると雷が轟き、相手の戦闘能力が自分に吸収されて、どんどん強くなる。そして最後の1人になると、確か世界中の権力を掌握できるとかいう話だった。日本にいた時はスカイパーフェクでTV版の「ハイランダー」を欠かさず観ていたので、「いよいよ最後の1人になるか」と、感慨深く観た。で、1人になった。以上。基本的にファンだけが楽しめる映画。
(オフィシャルサイト: http://www.highlanderendgame.com/)
5. 「The Watcher」 C
(出演: キアヌ・リーブス、ジェイムズ・スペイダー、マリサ・トメイ)
キアヌ・リーブスの演技力は基本的に認めていない。唯一良かったと思うのは若きFBI捜査官に扮してパトリック・スウェイジと共演した「ハート・ブルー」くらいだが、これは10年近く前の作品だ。本作では大胆にもシリアルキラーを演じたのだが、見事に大根ぶりを証明してしまった。キアヌ・リーブスに恋人を殺された過去を持つFBI捜査官役のジェイムズ・スペイダーは悪くないし、久しぶりにマリサ・トメイも観られた。だがキアヌは全く存在感がなく、彼が出てくるとむしろ緊迫感が緩む(実際は緩むほど緊迫感はないが)。ケビン・ベーコンなら良かったのに。更に全編を通して画面転換とフラッシュバックの使い過ぎで、質の悪いMTVを観ているよう。シリアルキラー物もここに来てネタ切れの感じで、年末公開の「Hannibal」(「羊たちの沈黙」の続編)がコケたらこのジャンルも駄作が減るだろう。本作はキアヌのファンにも薦められない。
(オフィシャルサイト: http://www.thewatchermovie.com/)
6. 「Bring It On」 B+
(出演: カーステン・ダンスト、ジェシー・ブラッドフォード)
全米の高校チアリーダー選手権に挑戦する新キャプテン(カーステン・ダンスト)の恋と苦悩と成長を描く青春コメディ。注目作の少ない週とは言え、ボックスオフィス2週連続トップに立ったので、少し恥ずかしかったが妻と一緒に観に行った。知った顔が1人も出てなかったが、脚本はテンポが良く、エンディングも爽やかで飽きさせない。チアリーダーと言っても全米選手権クラスとなると中国の体操、リングリング・サーカス、それに映画の「フラッシュ・ダンス」を足して3で割ったような技術と創造力が要求されるのだ。これは知らなかった。スタントがみえみえなのが気になるが、それでも決勝戦は見応え充分。うん、面白かったな。
(オフィシャルサイト: http://www.bringitonmovie.com/)
7. 「The Way of the Gun」 A-
(出演: ライアン・フィリップ、ベネシオ・デル・トーロ、タイ・ディッグス、ジュリエット・ルイス、ジェイムズ・カーン)
これが今回の超おススメ。金持ち夫婦の赤ん坊を身ごもるジュリエット・ルイスを誘拐して、一獲千金を狙う若きガンマン2人が「Cruel
Intentions」のライアン・フィリップとベネシオ・デル・トーロ。この2人が実にいいのだ(特にデル・トーロは無口で渋いぞ)。詳しい説明がないのだが2人ともやたら腕が立ち、絶妙のチームワークを見せる。2人を追うお抱えガンマンがタイ・ディッグス(これがまたクールでいい)。更に交渉人として間に立ち、後半では老人ばかりのガンマンチームを率いて主人公2人に敵対するのがジェームズ・カーン(これがまたまたいい)。脚本は全編を通して緊迫感が持続し、会話は切れが良く、リアルなガンファイトが続出、ラストは手に汗握る20分だ。監督・脚本はクリストファー・マッカリー。何とあの「ユージュアル・サスペクツ」の脚本家だ。アメリカ流フィルム・ノワールか、辛口の「明日に向かって撃て!」か、あるいは現代の傑作ウェスタンと言うべきか。この手の映画が好きな人にはたまらない一作。
(オフィシャルサイト: http://www.wayofthegun.com/)
8. 「Nurse Betty」 B+
(出演: レニー・ゼルウィガー、モーガン・フリーマン、クリス・ロック、グレッグ・キニア)
相当おかしいオフビートなコメディ。やくざな夫を持つウェイトレスのベティ(レニー・ゼルウィガー)は、ソープオペラ(昼メロ)に入れ込んでいる。ところがある日、夫が殺し屋(モーガン・フリーマンとクリス・ロック)に頭の皮をはがされ、殺されるところを目撃する。ショックですっかり頭のネジが緩んでしまったベティは、ソープオペラの美形の医者(グレッグ・キニア)を恋人と思い込んでLA(番組の舞台)に向かう。そのベティの乗る車のトランクには夫が隠した麻薬の包みがあって…。レニー・ゼルウィガ(「ザ・エージェント」、「Me,
Myself, and Irene」)のおとぼけ演技、グレッグ・キニア(「As Good As It Gets」)の絵に描いたようなソープオペラの外科医、短気なクリス・ロック(アメリカで圧倒的な人気のスタンダップ・コメディアン)、名優モーガン・フリーマンの哲学的な殺し屋と、ユニークなキャラクターが見事に揃った。贅沢でオリジナリティも充分。
(オフィシャルサイト: http://www.nurse-betty.com/)
9. 「Duets」 B+
(出演: グィネス・パルトロウ、ヒューイ・ルイス、アンドレ・ブロウワー)
グィネス・パルトロウの父親、ブルース・パルトロウが4年かけて監督したカラオケがモチーフの異色作。小品だがこれはいいよ。カラオケ選手権の賞金5千ドルを狙ってオマハに集まってくるカラオケ・ハスラーの父(シンガーのヒューイ・ルイス)と娘(グィネス・パルトロウ)、しがないセールスマン(ポール・ギアマッティ)と強盗(アンドレ・ブロウワー)、売春婦(「ER」のマリア・ベロ)とタクシードライバー、の3組の人間模様が交互に描かれる。中でもマイクを取るとプロに豹変するヒューイ・ルイスのカラオケ・ハスラー(本当にこんな商売あるのか?)ぶりは痛快だ。また、TVドラマ「ホミサイド」のエミー賞ウィナー、アンドレ・ブロウワー演じる優しい強盗も絶品。結局悪人が1人も出てこない一種のファンタジーだが、結末も無難にまとめてあり心が暖まる。さて最後に笑ったのは誰か?
(オフィシャルサイト: なし)
《巻末付録−アメリカTV番組紹介(1)》
「Law & Order」
放送開始: 90年9月〜 (NBC Mon. 9:00〜10:00)
現在アメリカテレビ番組の頂点に立つNYが舞台の傑作警察/法廷ドラマ。スタートして10年になるが、人気・質ともにここ3年くらいが最も充実しており、エミー賞ノミネートの常連となった。始めの数十秒で殺人事件が発覚し、前半は警察の地道な捜査を、後半は検察の起訴と法廷シーンを描く構成は常に同じ。主人公たちの人間関係を一切省いた作風は、「ER」や「NYPD
Blue」とは対極にあるが、主演のジェリー・オーバック、サム・ウォーターストン、アンジー・ハーモンらがそれぞれの正義を真摯に追及する姿勢には素直に感動させられる。物語も単なる勧善懲悪に終わらせず、現実を直視する冷徹な目はアメリカの司法制度の矛盾を突き、差別の現実を暴き、アメリカ社会の精神の病巣を抉り出す。それゆえ主人公は時として苦渋の選択・譲歩を余儀なくされ、苦い結末で終わる事も珍しくない。この製作者の微塵の妥協も許さない姿勢と、それを支える脇役の1人1人に到る俳優陣の圧倒的な演技力により、「Law
& Order」は他の番組の追随を許さない。
余談だが、サム・ウォーターストンの上司のD.A.(地方検事)を演じているスティーヴン・ヒルは、「スパイ大作戦」でピーター・グレイブスの前の初代ジム・フェルプス(役名は違う)を演じた俳優。また、ベテラン刑事役のジェリー・オーバックはミュージカルもこなせる人で、昔この人の主演した「42nd
Street」の舞台を観たことがある。
(オフィシャルサイト: http://www.nbc.com/lawandorder)
さて、10月から年末にかけては大作、話題作が目白押しだ。特にロバート・デ・ニーロは、「Meet
the Parents」と「Man of Honor」の2本立てだい。
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