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Mr.DOBASHI no テキサス映画通信

”Houston, we have a problem!(20)

Dobashi Shuichiro 土橋 秀一郎


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最近DVDを購入した。とにかく最新映画は先ずDVDで発売されるので、根負けして買わされた格好だ。アメリカではすでにDVDソフトが全盛で、「The Perfect Storm」や「M:I-2」のような最新作でも20ドル以下で買える。「Gladiator」は「おまけ」ソフトと2枚組で24ドルだ。プレイヤーもアメリカ製か韓国製なら100ドル強からあり、日本製でも200ドル前後。そこで、取りあえずこのコラムでAランクを付けた作品から買い漁っている。細部で聞き取れなかった箇所を、closed captionを出して確認できるからだ。それに「おまけ」も充実している。「予告編」や「インタビュー」は当然としても、「M:I-2」の異なったクレジットタイトルや、「X-Men」のヒュー・ジャックマンのスクリーンテストなんかは結構嬉しい。問題は、いつ「レーザーディスク化」して埃をかぶるようになるかだ。

さて、クリスマス休みはハリー・ポッターの2作目を読むつもりだったが、結局映画ばかり観て終わってしまった。今年のクリスマス・ムービーは去年より充実していたな。その11本のレヴューをどうぞ。



1. 「Little Nicky」 C+
(出演: アダム・サンドラー、ハーベイ・カイテル、パトリシア・アークェット)
品のないコメディーを演らせたらジム・キャリーと人気を2分するアダム・サンドラーの新作だが、これは駄目。サンドラーは何とハーベイ・カイテルが演ずるサタンの出来の悪い末っ子で、地上に逃亡した2人の兄を捕らえるためにNYに送られる。今回も潔いほど下品に我が道を行くのはいいのだが、ほとんど笑えない。カジモドのようなキャラクター設定とSFXに頼り過ぎたために、サンドラー自身の芸がほとんど見られないからだ。逆にクエンティン・タランティーノの盲目の説教師、ロドニー・デインジャーフィールドのサタンの父親、リース・ウェザースプーンの天使(サタンの別れた妻)など、豪華なゲスト陣がいずれも可笑しいのはなんとも皮肉だ。ここはひとつ、アダム・サンドラーには原点に戻ってもう一度真の馬鹿馬鹿しさとは何かを追求して欲しい。
(オフィシャルサイト: http://www.littlenicky.com/

2. 「Proof of Life」 A-
(出演: ラッセル・クロウ、メグ・ライアン、デヴィッド・モース)
うーむ、「Gladiator」も良かったが本作のラッセル・クロウも渋すぎるぞ。クロウは元特殊工作員で、今はテロリストによる要人誘拐専門の交渉人。南米で起きた集団誘拐に巻き込まれた建設コンサルタント(デヴィッド・モースが好演)救出を、その妻(メグ・ライアン)のために引き受ける。前半は身代金(Proof of Life)交渉と互いに魅かれ合う2人の心情が描かれ、後半はクロウが同業の友人(「NYPD Blue」のデヴィッド・カルーソ)と組んで人質奪回を図る。全編を通じて緊迫感が持続する本作は、「愛と青春の旅立ち」が懐かしいテイラー・ハックフォード監督久々のヒットだ。クロウは今やストイックでリアルなアクションがこなせる数少ない俳優で、全く目が離せなくなった。メグ・ライアンも久しぶりに艶があって魅力的だ。尚、撮影中にこの2人は実際の恋人同士になってしまったが(その後別れた)、所詮ラッセル・クロウもボギーにはなり得なかったというところか。
(オフィシャルサイト: http://www.proofoflife.com/

3. 「The Family Man」 A-
(出演: ニコラス・ケイジ、ティア・レオーニ)
これは今年最高のラブ・ストーリー。NYの独善的トップ・エグゼクティブのジャック(ニコラス・ケイジ)は、クリスマス・イヴの夜に不思議なホームレスと出会い、突然別の人生へ飛ばされる(これを"glimpse"と言っていた)。そこでの彼は、かつて捨てた恋人(ティア・レオーニ)との貧しいながらも幸せな結婚生活を送っている。ジャックはその全く違った人生に何とか適応しながら元の生活に戻ろうとあがくのだが、ニコラス・ケイジはやはり上手い。元の恋人に魅かれ、子供たちを愛するようになりながらも退屈な仕事(タイヤのセールスマン)に耐えられず、ウォール・ストリートのエリートの暮らしを捨て切れない思いを面白おかしく演じる。一方ジャックの妻を演じるティア・レオーニ(TVコメディ「Naked Truth」で有名)もキュートで、予告編を観て参ってしまった。。それはともかくこの脚本が上手いのは、いつかジャックが「元の人生に戻る時が来る」という設定だ。これは正に胸が張り裂ける瞬間なのだが、その後に完璧なエンディングが用意されていて、クリスマス最高のデートムービーとなった。
(オフィシャルサイト: http://www.family-man.com/

4. 「Vertical Limit」 B+
(出演: クリス・オドネル、スコット・グレン、ビル・パクストン、ロビン・タ
ニー)
予告編の圧倒的迫力で一躍クリスマス・ムービーの台風の目となった本作は、まずまずのエンターテインメントに仕上がっている。物語は強引なK2登頂を決行し遭難した金満登山家(ビル・パクストン)一行のレスキューミッションを描く。救出チームの兄(クリス・オドネル)と遭難した妹(ロビン・タニー)の絆、妻の遺体を捜し続ける世捨人の登山家(スコット・グレン)など、サイドストーリーも一応用意されている。ただ、それ以外の登場人物のキャラクターが弱いこと、ストーリーの底が浅いこと、それに視点の切り替えが多すぎて、猛吹雪の「怖さ」、「寒さ」、雪山の「高さ」が今一つ伝わってこない。SFXは良く出来ているが、画面から浮いてしまっている印象で、「ここはどうやって撮ったのだろう」などとのんきに考えてしまう(白い背景のSFXは技術的に難しいと昔聞いた)。この点でシンプルに海の猛威を描ききった「The Perfect Storm」の迫力に一歩も二歩も譲ってしまうのだ。期待が大きかったので辛口批評になってしまったが、決して観て損はしない。
(オフィシャルサイト: http://www.spe.sony.com/movies/verticallimit

5. 「What Women Want」 B
(出演: メル・ギブソン、ヘレン・ハント、アラン・アルダ)
メル・ギブソンとヘレン・ハントのロマンティック・コメディと言えばおよそ現在考えられる最高の組み合わせだと思うが、あまりの凡作で心底がっかりした。メル・ギブソンはラスベガス生まれで女性に囲まれて育った自称プレイボーイなのだが、実際はあまりモテない広告宣伝マン。このギブソンが感電がきっかけで突然女性の考えている事が分かる不思議な能力を持つようになり、右往左往する。ここまでは面白いのだが、笑いを取る場面はほとんど予告編に入っていた。しかもパンストをはき、ブラジャーをしてマニキュアをするギブソンは馬鹿馬鹿しいだけで興ざめだ。後半は新しいボス(ヘレン・ハント)との恋の鞘当てが描かれるが、特殊な能力を身につけてからのギブソンは妙に物分かりが良くなりむしろ魅力がなくなって行き、退屈なラブストーリーが取って代わる。つまり問題は、はじめのメル・ギブソンの方がずっと魅力的な点だ。これは脚本に難があると言わざるを得ない(と書いていたら、妻が「それは男の偏見で後半のメル・ギブソンの方が魅力的だ」とのたまった)。但し映画は大ヒット。ヘレン・ハントも期待通りの魅力で、例の小さく口をすぼめる笑顔を見るためだけでも映画館に足を運ぶ価値はあった。
(オフィシャルサイト: http://www.whatwomenwantmovie.com/

6. 「The Emperor's New Groove」 B+
(声の出演: デヴィッド・スペード、ジョン・グッドマン)
これはディズニーとしては珍しいヒップなコメディ。側近の裏切りでラマの姿に変えられてしまった南米の若くて性格の悪い皇帝(声:デヴィッド・スペード)と、巻き込まれて不承不承皇帝を助ける大男(声:ジョン・グッドマン)の話だが、かなりおかしい。とにかく人気TVコメディ「Just Shoot Me」のデヴィッド・スペードとジョン・グッドマンのやり取りが見事な上に、キャラクターそのものがこの声優2人に合わせて作られているから尚更おかしい。口の動きまでそっくりだ。劇中歌がないのがちょっと寂しいが、最後にスティングのエンディング・テーマ「My Funny Friend and Me」が聞ける。尚、ディズニーの次作「Atlantis」は2001年夏公開で、これも楽しみだ。
(オフィシャルサイト:http://disney.go.com/disneypictures/emperorsnewgroove

7. 「Cast Away」 A
(出演: トム・ハンクス、ヘレン・ハント)
トム・ハンクスがまたしてもやった。「Cast Away」は正にハンクスのワンマン・ムービーで、墜落したFedex機の唯一の生存者による、生き残りと再生の物語だ。映画の大部分は台詞がほとんどないにもかかわらず、観客はチャック(トム・ハンクス)の無人島での4年間と喜怒哀楽を共有することになる。中でもチャックのただ1人の友人となる「ウィルソン」(ウィルソンが何かは観てのお楽しみ)との別れのシーンは圧巻で、観る者の胸を打つ。強いヒューマニティを持つトム・ハンクスの自然な演技は、今やデ・ニーロ、アル・パチーノ、ダスティン・ホフマン、ジャック・ニコルソンらと比較しても一歩抜きんでたと言わざるを得ない。今年のオスカーレースでも、ハンクスはラッセル・クロウ(「Gladeator」)の強力な対抗馬となるはずだ。監督は「フォレスト・ガンプ」でハンクスとともにオスカーを獲ったロバート・ゼメキス。チャックの恋人役にヘレン・ハント。またテキサス出身のウィリアム・ブロイレス・Jr.による脚本は、小道具としてのFedExの使い方といい、奥行きのあるエンディングといい見事の一言。2000年必見の1本。
(オフィシャルサイト: http://www.castawaymovie.com/

8. 「Chocolat」 B+
(出演: ジュリエット・ビノシュ、ジュディ・デンチ、レナ・オリン)
「The Cider House Rules」のレシー・ハルストロム監督の新作は、ポール・ギャリコの傑作小説「本物の魔法使い」を彷彿させるキュートなファンタジーだ。フランスの片田舎の小さな街に越して来た母(ジュリエット・ビノシュ)と娘。ジプシーのようにあちこちを移り住む2人は、そこで小さなチョコレート菓子店を開く。そのチョコレートには人々の悩みを消す不思議な力があり、やがて母娘とよそ者を嫌う町の人々とのぎこちない交流が面白おかしく描かれる。まずこの作品、「イングリッシュ・ペイシェント」でオスカー受賞のフランス人女優ジュリエット・ビノシュの美しさにめまいがしそうで、前述した「The Family Man」のティア・レオーニや「What Women Want」のヘレン・ハントはどうでも良くなってしまったぞ。更に脇役陣が素晴らしく、頑固な老婦人にオスカーウィナー、ジュディ・デンチ(「恋に落ちたシェイクスピア」)が、その厳格な娘にキャリー=アン・モス(「マトリックス」)、万引き癖のある主婦がレナ・オリン、流れ者のミュージシャンがジョニー・デップといった具合だ。何分話題作に事欠かないこの時期の公開なのでほとんど客は入っていなかったが、観といて良かった。因みに言葉は全て英語だ。
(オフィシャルサイト: http://www.miramax2000.com/chocolat

9. 「Miss Congeniality」 B+
(出演: サンドラ・ブロック、ベンジャミン・ブラッド、マイケル・ケイン)
長いスランプの末、サンドラ・ブロックがようやくロマンティック・コメディで蘇った。彼女はタフで頭は切れるがFBIでもっとも品がなく野暮ったい女性捜査官で、密かにパートナーのベンジャミン・ブラッド(「Law&Order」)に思いを寄せている。ブロックはミス・アメリカコンテストでのテロを阻止するためにミス・ニュージャージーに化ける破目に。そこでゲイのヒギンズ教授よろしく登場するのがマイケル・ケインで、サンドラ・ブロックをミス・アメリカ候補として変身させる訳だ。鼻を鳴らしながら話し音を立てながら食べるブロックはおかしく、主催者のキャンディス・バーゲン(「Murphy Brown」)と司会者役のウィリアム・シャトナー(「スター・トレック」)は大振りな演技で笑わせ、ミスコンの舞台裏に覗き趣味が満足させられる(テキサス州サンアントニオだ)。もちろん変身後のサンドラ・ブロックもなかなかいいぞ。暗い役はメリル・ストリープに任せて、彼女にはこのままロマコメの王道を迷わず歩いてもらいたいものだ。
(オフィシャルサイト: http://www.misscongeniality.net/

10. 「All the Pretty Horses」 C+
(出演: マット・デイモン、ヘンリー・トーマス、ペネロペ・クルス、ルーカス・ブラック)
傑作「Sling Blade」のビリー・ボブ・ソーントン監督が放つ、「メキシコを舞台にした純愛と復讐の物語」だと思い込んで観に行ったが、とにかく間延びした演出で、残念ながら美しい景色と良い音楽以外得るところはなかった。環境ビデオじゃないんだからこれでは困るのだ。しかも観客に受けるのはメキシコなまりの英語で放たれるジョークの場面ばかりで、こっちは良く分からない。テキサンのマット・デイモンは親友のヘンリー・トーマス(かつての「E・T」少年)と共に、古き良き西部の面影を求めてメキシコで新生活を始める。ここで牧場主の娘(「Woman on Top」のペネロペ・クルス)と恋に落ちたことからボスの怒りを買い、無実の罪で投獄される。出所後に彼女と再会してどうなるかと期待していたら、結局ほとんど何も起きないで終わってしまった。要するに予告編で見れる場面以外は特に見所はなく、後にはただただPretty Horsesが画面を徘徊しているだけだ。マット・デイモンも最近は過大評価されすぎだ。
(オフィシャルサイト: http://www.miramax2000.com/horses

11. 「Crouching Tiger, Hidden Dragon」 B+
(出演: チョウ・ユン・ファ、ミシェル・ヨー、チャン・ツィイー)
すでに日本では「グリーン・デスティニー」のタイトルで公開されている本作は、台湾出身のアン・リー監督(「Sense and Sensibility」、「The Ice Storm」)による壮大な歴史アクション・メロドラマだ。舞台は古代中国。伝説の剣グリーン・デスティニーと戦士の奥義をめぐり、陰謀、戦闘、裏切り、恋愛が交錯する物語は、「カサブランカ」と「水滸伝」と「ドラゴンボール」を足したような面白さだ。「マトリックス」の振付師ユエン・ウーピンが手懸けた「舞空術」をふんだんに使った格闘・剣術シーンは斬新で、ファンタジーとしての本作に見事にマッチした。また平行して描かれる2組の恋愛も物語にすんなりと溶け込んでいる。伝説的剣士のわれらがチョウ・ユン・ファは華麗で威厳に満ち満ちていて、少女のようなチャン・ツィイーのアクションといったら驚異の一言だ。ただ難点は、全編を通して明確な敵が不在なために、見終わってから多少フラストレーションが残る点。尚、「Crouching Tiger,Hidden Dragon」とは「道は見かけ通りではなく、何が隠れているか分からない」というような意味で、こちらの方が能のない邦題よりずっと気が利いている。
(オフィシャルサイト: http://www.crouchingtiger.com/

さて次回は今回間に合わなかった「Finding Forrester」(ショーン・コネリー)、2000年作品だがヒューストンでは1月公開予定の「Traffic」(マイケル・ダグラス)、「Thirteen Days」(ケビン・コスナー)他のレヴューと、「第2回、輝け!Texas Movie Awards」の発表だ。