2000年度のベスト10選びは実に難儀だった。Aランクをつけた4作品は無条件で入れたのだが、残り6作品を改めてA-とB+から選ぼうとしたら合わせて39もあったのだ。結局選びきれずにドラマ部門をベスト10、コメディ部門をベスト5として逃げることにした。それでも「The
Patriot」、「The Way of the Gun」、「The Contender」、「Billy Elliot」、「Traffic」などが漏れてしまった。特にTraffic」ははじめの選出では「M:I-2」の代わりに入れていたのだが、どうもしっくり来ない。エンターテインメントをもって良しとするこのコラムでは、「M:I-2」を外してはいけなかった。「どちらが良く出来ているか」ではなく、あくまで「どっちが好きか」(あるいはもう一度観たいか)が基準だ。「Gladiator」や「Erin
Brockovich」と共に「X-Men」や「Frequency」が入っているベスト10は、まさmy
favoriteなのだ。もちろんコメディ部門の5作品も傑作ぞろだという訳で、最初に2000年度作品の残り3作品のレビュー、続いて「輝け!第2回 Texas Movie Awards」の発表だ。

1. 「Finding Forrester」 B+
(出演: ショーン・コネリー、ロブ・ブラウン、F・マレイ・エイブラハム)
「グッド・ウィル・ハンティング」のガス・ヴァン・サント監督最新作。NYのスラムで隠遁生活を送る老作家ウィリアム・フォレスター(ショーン・コネリー)が、黒人学生ジャモール(ロブ・ブラウン)の置き忘れたノートから彼の作家としての才能を見抜く。やがて2人の不思議な教師と生徒の関係が始まり、ジャモールはスラムの高校から有名プレップ・スクールの奨学生となる。この映画、この2人が抜群にいい。ショーン・コネリーはオスカーを獲った「アンタッチャブル」以来久々に全うな主演だし(最近はアクションか、カメオ出演以外は駄作ばかりだった)、ロブ・ブラウンは枯れたユーモアのある天才高校生を達者に演じる。ただ、作品に重みが足りない理由は「グッド・ウィル・ハンティング」の精神科医(ロビン・ウィリアムス)を作家に、白人学生(マット・デイモン)を黒人学生に、ハーヴァードをNYのプレップ・スクールに変えると、本作が出来上がってしまうからだ(それに「セント・オブ・ウーマン」にも似過ぎてるぞ)。
(オフィシャルサイト:
http://www.spe.sony.com/movies/findingforrester)
2. 「Traffic」 A-
(出演: マイケル・ダグラス、ベニシオ・デル・トーロ、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、デニス・クエイド)
麻薬の密売(Traffic)をテーマに3本のストーリーが同時平行的に描かれる異色ドラマ。監督のスティーブン・ソダーバーグが自らハンディカメラを駆使してドキュメンタリー・タッチに仕上げた本作は、斬新なだけでなく豪華なキャストが織り成すハーモニーも見事だ。ワシントン:
ホワイトハウスから麻薬対策本部の責任者を任命される州最高裁判事(マイケル・ダグラス)は、私生活では娘の麻薬常習癖と戦っている。
メキシコ: ある敏腕刑事(ベニシオ・デル・トーロ)はメキシコ軍の将軍から麻薬カルテル一掃のための特命を受けるが…。
サンディエゴ: ビジネスマンだったはずの夫がある日突然逮捕されて麻薬売買の元締めだと分かった時、その妻(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)はどういう行動に出るのか。
この3つのストーリーが力強く交互に語られるのだが、中でも英語とスペイン語を駆使しながら汚職まみれのメキシコで苦悩するベニシオ・デル・トーロの存在感はピカイチだ。「The
Way of the Gun」でもそうだったが、こいつが出てくると画面がぐっと締まるのだ。プエルトリコ出身のデル・トーロは「マイアミバイス」や「ユージュアル・サスペクト」で下積みしていたが、今やハリウッドで最もオファーが多いアクターだという。
スティーブン・ソダーバーグは昨年のもう一つの監督作「Erin Brockovich」とともに、今年のオスカーレースに絡んでくることは確実だ。
(オフィシャルサイト: http://www.trafficthemovie.com)
3. 「Thirteen Days」 A
(出演: ケビン・コスナー、ブルース・グリーンウッド、スティーヴン・カルプ)’62年に起きた「キューバのミサイル危機」を描いた2時間25分の大作。キューバに配備されたソ連の核ミサイルを巡り、先制攻撃とキューバ侵略を訴える米国軍部と、核戦争回避に絶望的な努力を重ねるホワイトハウスの苦脳がスリリングに描かれる。カナダ人俳優ブルース・グリーンウッドが演じるJFK、スティーヴン・カルプが扮するその弟ロバート・ケネディ司法長官、ケビン・コスナーが演じる大統領特別補佐官ケニー・オドネルの3人を中心に据えた、ホワイトハウスの臨場感は圧巻だ。ここまで核戦争に近かったのか、と今更ながら唖然とさせられる。
ロジャー・ドナルドソン監督+ケビン・コスナー主演と言えば'87年の佳作「追いつめられて」を思い出すが、本作のコスナーは脇にまわり、この史実に見事に溶け込んだ。「Thirteen
Days」は単に2000年度の代表作に終わらない、20世紀最後を飾る政治スリラーの金字塔だ。
(オフィシャルサイト:
http://www.thierteen-days.com)
「発表・輝け!第2回Texas Movie Awards」
1. 作品賞
1) ドラマ部門
第1位 「Gladiator」(最優秀作品賞)
2000年はこの1本に尽きる、ローマ戦士に扮したラッセル・クロウが大ブレイクした。
第2位 「Thirteen Days」
20世紀の最後を飾る政治スリラーの金字塔。
第3位 「Cast Away」
現代最高の俳優トム・ハンクスの最新作。
第4位 「The Perfect Storm」
自然の猛威を描き切った、ウォルフガング・ピーターゼン監督の傑作。
第5位 「X-Men」
確固たる世界観、第2の「スター・トレック」最有力だ。
第6位 「Erin Brockovich」
ファンでなくとも好きになるジュリア・ロバーツの最高傑作。
第7位 「Remember the Titans」
高い社会性と娯楽性を兼ね揃えた、デンゼル・ワシントン渾身の一作。
第8位 「Mission:Impossible-2」
スパイ大作戦外伝−トム・クルーズの恋物語。
第9位 「Proof of Life」
ボギー主演で撮らせたかった、これもラッセル・クロウ主演の粋なアクション作品。
第10位 「Frequency」
「過去を変えたらどうなるか!?」、デニス・クエイドの心温まるSFファミリードラマ。
2) コメディ部門
第1位 「Chicken Run」
メル・ギブソンが声の出演、「大脱走」がテーマの笑いと感動のクレイ・アニメーション。
第2位 「Meet the Parents」
ガールフレンドの父親は元CIA、ロバート・デ・ニーロの苦い笑いには思わず爆笑だ。
第3位 「Charlie's Angels」
あのテーマソングも懐かしい120%エンターテインメントのノンストップアクション。
第4位 「Keeping the Faith」
エドワード・ノートン主演、ラビと牧師と幼なじみの三角関係が描かれる。
第5位 「Miss Congeniality」
サンドラ・ブロックがダサいFBI捜査官に、復活の一作だ。
2. 各賞
1) 最優秀監督賞
ステファン・ソダーバーグ(「Erin Brockovich」、「Traffic」)
次点: リドリー・スコット(「Gladiator」)
2) 最優秀主演男優賞
ラッセル・クロウ(「Gladiator」)
次点:トム・ハンクス(「Cast Away」)
3) 最優秀主演女優賞
ジュリア・ロバーツ(「Erin Brockovich」)
次点: ジョアン・アレン(「The Contender」)
4) 最優秀主演(俳優以外)賞
ジンジャー(「Chicken Run」)
次点: ハリケーン・グレース(「The Perfect Storm」)
5) 最優秀助演男優賞
ホアキン・フェニックス(「Gladiator」)
次点: ウィル・パットン(「Remember the Titans」)
6) 最優秀助演女優賞
ジュリー・ウォルターズ(「Billy Elliot」)
次点: ジュディ・デンチ(「Chocolat」)
7) 最優秀助演(俳優以外)賞
ウィルソン(「Cast Away」)
次点: ブロコビッチ・ブラ(「Erin Brockovich」)
8) 最優秀脚本賞
デビッド・ヘイター(「X-Men」)
次点: M・ナイト・シヤマラン(「Unbreakable」)
9) 最優秀新人賞
ベニシオ・デル・トーロ(「The Way of the Gun」、「Traffic」)
次点: ロブ・ブラウン(「Finding Forrester」)
10) 最優秀特殊効果賞
「Crouching Tiger, Hidden Dragon」
次点: 「Hollow Man」
11) 最優秀撮影賞
「Traffic」
次点: 「Almost Famous」
12) 最優秀主題歌賞
「When You Come Back to Me Again」(from 「Frequency」 performed byGarthBrooks)
次点: 「My Funny Friend and Me」(from 「Emperor's New Groove」
performed by Sting)
13) 最優秀アニメ賞
「Emperor's New Groove」
次点: 「Rugrats in Paris:the Movie」
14) 最優秀リメイク賞
「Shaft」
次点: 「Charlie's Angels」
15) 最も期待以上だった映画
「The Way of the Gun」
次点: 「Bring It On」
16) 最も期待外れだった映画
「Gone in Sixty Seconds」
次点: 「The Beach」
17) 特別功労賞
アレック・ギネス、千秋実(歴戦のジェダイ戦士と七人の侍最後の1人に合掌)
18) ワースト映画
「Get Carter」
次点: 「Battlefield Earth」
ゴールデン・グローブ賞は作品賞が「Gladiator」、主演男優賞がトム・ハンクス、
主演女優賞がジュリア・ロバーツとまずは順当であったが、監督賞のアン・リー(「Crouching
Tiger, Hidden Dragon」)にはちょっと驚いた。アカデミー賞ノミ
ニーのアナウンスももうすぐだが、2001年レースはもう始まっている。次回はジャック・ニコルソンのダークスリラー「The
Pledge」、ジェニファー・ロペスのロマンティック・コメディ「The WeddingPlanner」、MTVがプロデュースした「Save
the Last Dance」、それに「羊」の続編「Hannibal」などのレヴューと、今年の話題作の展望だ!
