People誌の「2001 People Almanac」という本を読んでいたら、
"Stars with Soapy Roots"という項が面白かった。要するに昼メロ(Soap)出身のスターのリストなのだが、これがなかなかの顔ぶれだ。モーガン・フリーマン、トミー・リー・ジョーンズ、メグ
・ライアン、スーザン・サランドン、ケビン・ベーコン、アレック・ボールドウィン、トム・ベランジャー、ジェイムズ・アール・ジョーンズ、デミ・ムーア、クリストファー・リーブ、クリスチャン・スレイター、マリサ・トメイ、キャスリーン・ターナー、クリストファー・ウォーケン、シガーニー・ウィーバー、エレン・バースティン、ケビン・クライン、レイ・リオッタ、ローレンス・フィッシュバーン、マーク・ハミル、アン・ヘッチ等々の映画俳優に加えて、リチャード・ディーン・アンダーソン(「冒険野郎マクガイバー」)、コートニー・コックス(「フレンズ」)、サラ・ミシェル・ゲラー(「Buffy
the Vampire Slayer」)、ケルシー・グラマー(「Freiser」)、デヴィッド・ハッセルホフ(「ベイウォッチ」)、レジス・フィルビン(「Who
Wants to be a Millionaire」)などのプライムタイムのTVスター、さらにリッキー・マーティンやリック・スプリングフィールドのようなミュージシャンも含まれている。 そう言えばエミー賞にしても、「Prime
Time Emmy」と別に「Day Time Emmy」というのがあって、こちらは昼メロ中心。授賞式もTV放映され、ウィナーは泣いちゃったりして結構笑える。
さて今回はサマームービー直前公開の6本+1を紹介するが、この+1が今回のハイライトだ。

1. 「Blow」 B
(出演: ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス)
1960年代にアメリカで初めて大量のコカインを捌いて財を築いた男―ジョージ・ジャングの半生を描いた実話で、ジョニー・デップが10代から60代までのジャングを達者に演じ分ける。だが学生相手の小さなマリファナ商売から始めて、コカインのコロンビアルートの開拓、その後の衰退まで、物語は淡々と進行し取りたてて山場もない。実話をベースにした映画のネガティヴな面が出てしまったようだ。
ジャングの2人目の妻を演じるブラジル出身のペネロペ・クルスは、マット・デイモンと共演した「All the Pretty Horses」、近々公開でニコラス・ケイジと共演する「Captain
Corelli'sMandolin」と今や超売れっ子。だがつたない演技と英語のひどさはちょっと我慢できない。一方レイ・リオッタが唯一息子を理解する貧しい父親役を、ピーウィー・ハーマンことポール・ルーベンスがゲイっぽいドラッグディーラー役を、それぞれ好演している。
尚、"Blow"にはいろんな意味があるが、本作では「コカイン吸入」と「一文無しになる」という意味を引っかけている。
(オフィシャルサイト: http://www.getsomeblow.com)
2. 「Bridget Jones's Diary」 B-
(出演: レニー・ゼルウィガー、コリン・ファース、ヒュー・グラント)
テキサン(Texan)のレニー・ゼルウィガーがブリティッシュ・アクセントを真似てイギリス人男優2人(コリン・ファース、ヒュー・グラント)と三角関係になる何とも不思議なロマンティック・コメディー。イギリスでベストセラーになった同名小説のヒロインに近づくため、ゼルウィガーはオーディションで選ばれてから10キロ太って撮影したとのこと。
だが「レイジング・ブル」のデ・ニーロや「キャスト・アウェイ」のトム・ハンクスと違って、体重を変えても「だからどうした」という感じで話が面白くなる訳でもない。 「Me,
Myself & Irene」や「Nurse Betty」のように、ちょっとエキセントリックな役柄が似合うゼルウィガーだが、今回はやり過ぎた。原作を読んでいないせいもあるのかも知れないが、正直この原稿を書く段になって、あまり内容も覚えていない。面白そうでつまらないイギリス映画だ。
(オフィシャルサイト: http://entertainment.msn.com/bridget)
3. 「The Tailor of Panama」 B-
(出演: ピアース・ブロスナン、ジェフリー・ラッシュ、ジェイミー・リー・カーティス)
エスピオナージュの大御所ジョン・ル・カレの同名小説の映画化。カレの作品は詩的スパイ小説といった趣で、基本的に映画化には向いていない。本作も同様で、キャラクターとストーリーだけ取り上げてもなかなか一般大衆にはなじめないだろう。ショーン・コネリーとミシェル・ファイファーが共演した1990年の「ロシア・ハウス」(「The
Russia House」)もカレの原作だが、冷戦下のロシアを舞台にした凡庸な作品だった。唯一の例外は1965年のリチャード・バートン主演「寒い国から帰ってきたスパイ」(「The
Spy Who Came in from the Cold」)で、これはマーティン・リット監督が冷酷非情なスパイ戦を描いた傑作だ。
本作はパナマを舞台に、左遷されたイギリス情報部の女ったらしエージェント(ジェイムズ・ボンドことピアース・ブロスナン)と、ジェフリー・ラッシュがタイトルロールを演ずるその協力者の仕立て屋ハリーが、私利私欲を巡って丁々発止のやり取りをする。「シャイン」でオスカーを獲り、今やオーストラリアを代表する名優となったラッシュはいつもながら抜群に上手い。また才色兼備のハリーの妻を演ずるジェイミー・リー・カーティスも魅力的だ。だが映画の大げさな「構え」の割にストーリーが小ぶりなのと、中途半端にコミック調に変わるのでどうしても観終わってから損したような気がするのだ。
(オフィシャルサイト:http://www.spe.sony.com/movies/jump/f_tailorofpanama.html)
4. 「Crocodile Dundee in Los Angels」 C+
(出演: ポール・ホーガン、リンダ・コズロウスキー)
1986年「クロコダイル・ダンディー」、1988年「クロコダイル・ダンディー2で一世を風靡したポール・ホーガンだが、3匹目のドジョウを狙うにしては本作は余りにもお粗末。
今回ミック(ポール・ホーガン)は父親の新聞社を手伝う恋人(実生活では奥さんのリンダ・コズロウスキー)と一緒にロサンゼルスへ行き、名画を巡る映画会社の陰謀に巻き込まれる。久しぶりだったので前半はいつものカルチャー・ギャップを使った単純なギャグを結構楽しめた。だが悪党相手の後半は何回も古いコメディ映画で見せらたようなトリックの連続で、すっかり白けてしまった。
日本で1800円払うのなら、レンタルで1作目を見た方が遥かにお得だ。
(オフィシャルサイト: http://www.crocodiledundeeinla.com)
5. 「One Night at McCool's」 C
(出演: リブ・タイラー、マット・ディロン、ジョン・グッドマン、ポール・ライザー、マイケル・ダグラス)
「アルマゲドン」、「Mr. T and the Women」のリブ・タイラーが悩殺演技で3人のマヌケ男を手玉に取るブラック・コメディーだが、会話は退屈、ストーリーにも何の工夫もない。もともとリブ・タイラーはあまり好きではなく、「メリーに首ったけ」が面白かったマット・ディロンと、「Mad
About You」でヘレン・ハントの愉快な夫を演じていたポール・ライザーに期待していたのだが、まったくハズしてしまった。唯一おかしかったのはヒットマンに扮するマイケル・ダグラスの髪型だが、いかんせんこれだけではどうにもなるまいて。
余談だが、才人ポール・ライザーの書いた恋愛についてのエッセイ「Couplehood」は軽妙で大変面白い。特にオーディオカセット版は著者本人が読んでいて、リスニングの練習にももってこいでおすすめだ。
(オフィシャルサイト: http://www.onenightatmccools.com)
6. 「Driven」 B+
(出演: シルベスター・スタローン、バート・レイノルズ、キップ・パー
デュー)
「クリフハンガー」に続くレニー・ハーリン監督とシルベスター・スタローンのコンビによるカーレース映画。つい大味なアクション映画を想像してしまうが、思いの他きめ細かいヒューマンドラマに仕上がっており、期待を上回る出来栄えだ。
新人ながらインディカーレースのチャンピオンシップを争うジミーに、「Remenber the Titans」のキップ・パーデュー。ジミーのバックアップ・ドライバーとしてカムバックするのがシルベスター・スタローン。そして勝つために手段を選ばぬ車椅子のチームオーナーがバート・レイノルズ。スタローンの完全に脇に回った演技と、カーレース映画ではいつも絵になるバート・レイノルズが本作のポイントで、車椅子のレイノルズが非情になり切れないスタローンに、"I'm
the slowest man in the fastest place!"と叫ぶ場面なんか、結構決まっていた。 勿論デジタル処理されたカーレースシーンはレニー・ハーリンだけに迫力満点。また人間関係とドライバーの内面にまで踏み込んだスタローン自身による脚本も、後半多少センチメンタルに流れるが手堅くまとまっていて、エンディングまで一気に見せる。
「Driven」はサマームービーに持ってきても、充分他の話題作と戦えた快作だ。
(オフィシャルサイト: http://www.what-drives-you.com)
7. 「61*」 A (TV版ムービー)
(出演: バリー・ペッパー、トーマス・ジェイン、ブルース・マクギル)
一昨年、セントルイス・カージナルスのマーク・マグワイアが、38年ぶりにメジャーリーグの年間ホームラン記録であった61本を塗り替えたことは、まだ記憶に新い。
そのマグワイアの62本目のホームラン・シーンから始まる本作は、1961年にニューヨーク・ヤンキースのロジャー・マリスが、同僚のミッキー・マントルとホームラン王を争いながら、当時のベーブ・ルースの記録(60本)を破るまでの長い道のりを描いた感動作だ。
当時コミッショナーは、ベーブ・ルースの大記録が田舎者で人気の無いマリス(バリー・ペッパー)に破られることを良しとせず、またファンもマスコミも、ハンサムで愛想のいいマントル(トーマス・ジェイン)を応援した。だが私生活ではマリスとマントルは親友で、マリスは球場でファンの罵声を浴び、脅迫状に悩まされながらも、家族とチームメートに励まされてひたすらホームランを打ち続ける。
製作・監督は何とビリー・クリスタル。クリスタルは熱狂的なヤンキースファンで、マントルとも20年来の親友だという。そのクリスタルの野球に対する情熱と、脇役の1人1人まで行き届いた俳優陣の忘れ難い演技により、本作は「打撃王」(「The
Pride of the Yankees」)や「甦る熱球」(「The Stratton Story」)など、過去の偉大な野球映画の感動を思い出させてくれる傑作となった。
残念ながら、この作品は劇場公開ではなくケーブルTV大手HBOのオリジナルTVムービーなので、ビデオ化されるまでしばし待たれい。
(オフィシャルサイト: http://www.hbo.com/films/61/index.html)
またロバート・ダウニー・Jr. がドラッグ使用で逮捕され、ABCの「Ally McBeal」からの降板が決まった。どうでもいい他人の人生とはいえ、このくらい才能に恵まれた俳優も少ないので本当に残念だ。彼の出演した「Ally
McBeal」のエピソードは、それはそれは光り輝いていたのに…。元ヤンキースのダリル・ストロベリーとともに、このまま闇に埋もれてしまうのか。
次回はサマームービー特集第1弾。果たして今年の夏を制するのは「猿」か、「ゼロ戦」か、「ミイラ」か、「少年型ロボット」か、はたまたジュリア・ロバーツか?
