NBAファイナルが始まった。シャキール・オニール、コビー・ブライアントという2枚看板が率いる昨年の覇者L.A.レイカーズに挑むのは、史上最小最速のMVP男アレン・アイバーソンのいるフィラデルフィア・セヴンティシクサーズ。レギュラー全員満身創痍のシクサーズが、"Unstoppable
and unbeatable"と言われるレイカーズに懸命に食い下がってここまで1勝2敗。どれも感動的なゲームだが、やはり壁は厚いか。いずれにしても、NBAはマイケル・ジョーダンがいなくなっても面白すぎるぞ。
もう一つの話題はスター・トレック。「スター・トレック」、「新スター・トレック」、「ディープ・スペース・ナイン」、「ヴォイジャー」に次ぐ第5のシリーズ「Enterprise」の製作が決まった。新キャプテンを演じるのが傑作SFTVドラマ「Quantum
Leap」(邦題「タイムマシーンにお願い」)のスコット・バクラというのが嬉しい。本当はリチャード・ディーン・アンダーソンがお気に入りなのだが、アンダーソンは「Stargate
SG-S」が継続中なのでスコット・バクラならセカンド・ベストだ。"Boldly go where no one has
gone before!"
映画の方はサマー・ムービー第1弾、怒涛の8本をレヴューするぞ!

1. 「The Mummy Returns」 B+
(出演: ブレンダン・フレイザー、レイチェル・ワイズ、ジョン・ハナー)
'99年のスマッシュ・ヒット「The Mummy」(邦題名「ハムナプトラ」)の続編は、前作を凌ぐスケール、切れの良いアクション、壮大なSFXに加えてリーインカーネーション、家族愛、特別ゲストによるサイドストーリーと、てんこ盛りのスーパーエンターテインメントに仕上がった。
タイトルロールの"The Mummy"イムホテップ(スキンヘッドのアーノルド・ボスロー)は永遠の恋人の愛を得て甦り、今では冒険家リック(ブレンダン・フレイザー)の奥さんになっている考古学者のイヴリン(レイチェル・ワイズ)は前世のリーインカーネーションで、イムホテップと自分の繋がりを知る。物語は2人の頭脳明晰な息子アレックスの誘拐事件を引き金に、ロンドンとエジプトを舞台にめまぐるしく展開する(とごまかしているが実は1週間くらいしたらストーリーをすっかり忘れてしまったぞ)。更にこれに悪魔に魂を売った古代戦士The
Scorpion King(WWFのザ・ロック)のサイドストーリーが交錯する本作は、"Roller Coaster Ride"のお手本のような作品でまったく飽きさせない。前作の2倍以上の85百万ドルの予算は公開1週間で回収してしまった。
尚、ユニバーサルは本編からのスピンオフで、かつ「ハムナプトラ」の前編にあたる"The Scorpion King"を製作するとのことで、当然ザ・ロックがタイトルロールを演じる。今度はトレードマークの「決めマユゲ」も見せてくれるらしいぞ。
(オフィシャルサイト: http://www.themummy.com)
2. 「Angele Eyes」 B
(出演: ジェニファー・ロペス、ジム・カヴィーゼル)
前作「The Wedding Planner」が大ヒットしたジェニファー・ロペスの最新作は、予告編が「The Sixth Sense」のようだったが、実はまっとうなラヴ・ストーリー。シカゴの婦人警官シャロン(ジェニファー・ロペス)は、凶悪犯との交戦中にホームレスのような風采の男(「Frequency」のジム・カヴィーゼル)に命を救われる。シャロンはキャッチとだけ名乗るその男に次第に惹かれて行くのだが、彼には名字が無いばかりかまるで過去そのものが無いようだ。暴力癖のある実の父親を自ら刑務所に入れた過去を持ち、家族から白い眼で見られているシャロンと、大都会で亡霊のように生きる不思議な男キャッチ。孤独な2人の心の触れ合いは、観る者の胸を打つ。ロペスは前作以上に魅力的で、女優としても一級であることを証明した。だが致命的なのは何ともお粗末な物語の構成。3分の1もすると、別に映画好きや小説好きでなくてもキャッチの正体も結末も読めてしまう。謎の男キャッチを演出することでミステリアスなタッチを狙ったのだろうが、正体が「世界まる見えテレビ」くらいミエミエでは逆効果だ。むしろ最初から素直にキャッチの正体を明かして、正々堂々とラヴ・ストーリーを謳ってしまえば良かったのに。
オフィシャルサイト: http://www.angeleyesmovie.com)
3. 「Shrek」 A
(声の出演: マイク・マイヤーズ、エディ・マーフィー、キャメロン・ディアズ、ジョン・リスゴー)
これは目茶苦茶面白かった。「アンツ」に続くドリームワークスのコンピューター・アニメーションで、群を抜く映像と色彩、ユニークを超越するキャラクター、選び抜かれた声優陣、感動的なラヴ・ストーリーに、最高級のユーモアが見事にバランスされた傑作だ。
人間とおとぎ話のキャラクター達(ピノキオとか7人の小人とかいった連中)が住む不思議な王国を独裁するファークァッド(ジョン・リスゴー)。ファークァッドは嫌われ者だが滅法けんかの強い小鬼("ogre")の
シュレック(「オースティン・パワーズ」のマイク・マイヤーズ)を使って、悪魔の塔に幽閉されているプリンセス・フィオーナ(キャメロン・ディアズ)を救い出そうとする。ファークァッドはフィオーナと結婚することで晴れて王様になれるのだ。シュレックは命を助けてやったしゃべるロバのドンキー(エディ・マーフィー)を唯一の仲間にして、プリンセス救出のために悪魔の塔に向かう。
根は優しいが醜い外観ゆえに心を閉ざすシュレックと、なぜかヤンキー気質のフィオーナのやり取りはおかしく、ロマンスははかない。そしてこの2人に絡むコミックリリーフのドンキー(というよりエディ・マーフィー)のマシンガン・トークは芸術的な域にある。おとぎ話の世界で炸裂する現代的なギャグとパロディ(特に「Charlie's
Angeles」のキャメロン・ディアズのパロディは笑える)は、斬新で破目の外し方のバランス感覚が絶妙なのだ。一瞬たりとも飽きさせず、むしろ85分間という上映時間が短すぎるくらいだ。とにかく年齢性別宗教職業を問わず今年度必見の1本。黙って映画館に足を運ぶこと。と、これを書いてたらもう一度観たくなってきた。
(オフィシャルサイト: http://www.shrek.com)
4. 「A Knight's Tale」 B+
(出演: ヒース・レジャー、シャニン・ソサモン、ポール・ベタニイ)
これは思わぬ拾い物。いきなりクイーンの名曲「We Will Rock You」に乗って中世のjoust(馬上槍)で始まる、オフ・ビートなロマンティック・アクション・コメディ・ドラマ(こんなジャンルあるんかいな)。主演は「パトリオット」でメル・ギブソンの息子を演じたやはりオーストラリア出身のヒース・レジャー。長髪のブロンドをなびかせながらナイキマークの刻印が入った鎧に身を固める姿はなかなか粋だ。
ヒース・レジャー演じる従者のウィリアムは、死んだ騎士に成りすまして出場したjoustのトーナメントで優勝する。そして2人の従者仲間、途中で助けた無名の作家、女性甲冑職人(彼女がナイキマークのかっこいい鎧を作る)を引き連れて各地のトーナメントを回る物語は、ロード・ムービーというよりむしろ桃太郎だ。ウィリアムが憧れる貴族令嬢ジョセリンへの大時代的な求愛場面も楽しいが、別れて久しい父親との再会シーンは不覚にも感動してしまったぞ。そしてクライマックスは文字どおり騎士道精神の王道を行くjoustの決勝戦だ(ついでに最後は「We
Are The Champions」の大合唱を期待していたのだが、残念)。ジョセリン役のシャニン・ソサモンがアンジェリナ・ジョリーのようなアダムス・ファミリー系の顔立ちなのが気に入らないが、それ以外は文句の無いエンターテインメントに仕上がった。
(オフィシャルサイト: http://www.aknightstale.com)
5. 「Pearl Harbor」 B+
(出演: ベン・アフレック、ジョッシュ・ハートネット、ケイト・ベッキンセイル、アレック・ボールドウィン、キューバ・グッディング・Jr.、ジョン・ボイト)
「底が浅い」と評価が総じて渋い製作費137百万ドル、3時間3分の超大作は、緊迫感が全体的に不足気味だが充分面白い。頭は悪いが腕は滅法いいパイロットのレイフを演じるベン・アフレックは適役、その弟分のダニー役に大抜擢されたジョッシュ・ハートネットも良し(若い頃のトミー・リー・ジョーンズに似ているのが愛嬌だ)。さらにこの2人から同時に愛される看護婦イヴリンに扮するケイト・ベッキンセイルは、線は細いがニコール・キッドマンにもう少し知性を加えたようで大変魅力的だ。物語の前半は日本軍の極秘作戦が着々と進む中で、この3人のラヴ・ストーリーが描かれるのだが、ベッキンセイイルのおかげで退屈しない。
そしてこの後始まる実写とILM入魂のSFXによる真珠湾攻撃は、恐らく映画史上最高のスペクタクルシーンだ。スクリーンを縦横無尽に飛び交うゼロ戦、タイタニックのように沈没する戦艦アリゾナとオクラホマ(昨年テキサスで撮影された)、さらにゼロ戦に果敢に局地線を挑むアフレックとハートネット。観る者の度肝を抜くこの戦闘シーンは、延々30分以上続くのだ(ただし実際の真珠湾攻撃はこんなに派手ではなかった)。ただ欠点が2つ。まず悪名高いこの日本軍によるsneak
attackだが、日系俳優マコを中心に描かれる日本人像は「ライジング・サン」と大差無いレベル。本作では日本軍は「悪役」なのだ。悪役は魅力的でかつ卑劣で強くなければならない。そういう意味では日本軍の描き方が甘い。あるいは日本軍にリアリティを与えるのであれば、たとえば山本五十六役に志村喬か山村聡を使って欲しい(無理か)。もう1点は後半の米軍による逆襲がやはり爆撃機(B-25)による奇襲なので、「トップガン」のような爽快感が得られないこと。これはアメリカ人が観ても後味悪いのではないか。つまり中盤の真珠湾攻撃があまりに圧倒的なために、後半が逆に盛り下がってしまうのだ。
それにしても「真珠湾攻撃」の歴史的な考察や反日感情云々の議論には正直うんざり
だ。「アルマゲドン」、「ザ・ロック」、「バッド・ボーイズ」の監督(マイケル・ベイ)とプロデューサー(ジェリー・ブラッカイマー)に、一体スーパーエンターテインメント以外何を望むのだと言いたい。本作はオリバー・ストーン作品でもなければトム・ハンクス主演でもない。ただ「タイタニック」の悲劇的な沈没を真珠湾攻撃に、2人の恋愛を三角関係に取り替えただけの映画なのだから、あまり片意地を張らずにさらりと観るべきでしょう。
(オフィシャルサイト: http://studio.go.com/movies/pearlhabor)
6. 「Moulin Rouge」 A-
(出演: ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー)
1900年のパリを舞台に目をみはる視覚効果を使った斬新なミュージカル。スクリーンの中の幕が開くと「20th Century Fox」のロゴが現われ、ファンファーレが鳴る。そしてナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」のダンサーで実は貴族相手の売春婦サテン(ニコール・キッドマン)と、売れない劇作家クリスチャン(ユアン・マクレガー)とのはかなくも美しいラヴ・ストーリーが綴られる。全編を通してホイットニー・ヒューストン、デヴィッド・ボウイ、マイアミ・サウンド・マシーンなどなど現代ポップスが巧みに散りばめられていて、しかも主役の2人が吹き替え無しで歌って踊る。特にキッドマンの美しさは圧倒的でちょっと例えようがなく、彼女のファンでなくとも魅了される(これだけクローズアップの連続に耐えられる女優は他に考えられない)。また若きオビワン・ケノービ=マクレガーの歌の上手さは噂以上だ。ムーラン・ルージュの屋根の上で、はにかむクリスチャンがサテンにエルトン・ジョンの「Your
Song」を歌いながら愛を語る場面は本作のハイライトだ。そして物語はミュージカル映画の中で開演される壮大なミュージカル、「Spectacler,
Spectacler」で起こる悲劇に向かって突き進む。監督は「ロミオ+ジュリエット」のバズ・ルーマン。「Moulin Rouge」は思い切りロマンティックで洗練されていて、理想的な大人のデートムービーだ。
(オフィシャルサイト: http://www.clubmoulinrouge.com)
7. 「Evolution」 B
(出演: デヴィッド・ドゥカブニー、オーランド・ジョーンズ、ショーン・ウィリアム・スコット、ジュリアン・ムーア)
「ゴーストバスターズ」のアイバン・ライトマン監督によるSFコメディ。グランドキャニオンに墜落した隕石の中にいたのは、秒単位で増殖しながら変態するエイリアンで、このままでは2ヶ月以内にアメリカ全土を侵略してしまう。役立たずの軍部を尻目に立ち上がるのが、"脱・エージェント・モルダー"を図る「X-ファイル」のデヴィッド・ドゥカブニー扮する大学教授と、能天気な2人の仲間(オーランド・ジョーンズとショーン・ウィリアム・スコット)。これに不器用な美人科学者役のジュリアン・ムーアが加わり、「エイリアン・バスターズ」が完成する。「MIB」も真っ青のエイリアン達、テンポの良い脚本、それに何とも笑えるエイリアン撃退法と結構楽しめる。が、どうしても二番煎じの印象は拭えない。オリジナリティがあるようでない映画なのだ。元祖「ゴーストバスターズ」の重鎮、ダン・アイクロイドが州知事役で友情出演している。
(オフィシャルサイト: http://www.countingdown.com/evolution)
8. 「Swordfish」 B-
(出演: ジョン・トラボルタ、ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、ドン・チュードル)
前作「Battlefield Earth」が昨年のラズベリー賞(ワースト・ムービー)を獲得したトラボルタだが、本作のようなスタイリッシュな悪役を演らせると光る。ファンも良く知っていて本作は公開1週目で「Shrek」、「Pearl
Harbor」を押さえて全米第1位に飛び込んだ。
冒頭トラボルタは葉巻をくゆらせエスプレッソを飲みながら、アル・パチーノの「狼たちの午後」の脚本の甘さを2人の男に得々と聞かせている。やがてゆっくりと立ち上がる。カメラがパンするとそこはワールド・バンクの中で、辺りはSWATにずらりと囲まれている。2人の男はFBIエージェントだ。そして10数人の人質にはそれぞれ小型爆弾が取り付けられていて、コントローラーはトラボルタの手にある。このシャープなオープニング・シーンは鳥肌が立つような出来栄えで、傑作の予想がしたのだが…。
結局このトラボルタ演じる世紀のテロリストのキャラクターも先細りの脚本のために後半伸び悩み、ひねりを効かせたエンディングも読めてしまう上に説得力に欠ける。トラボルタに協力する天才ハッカー役の売れっ子ヒュー・ジャックマンはあまりそれらしく見えず、妙に良心があって映画の中で浮いている。50万ドルのボーナスでトップレスシーンを見せてくれたハル・ベリーだが、一体何で脱いだのという感じで逆に演技力の無さが露見してしまった。全編アクションの連続で飽きることはないが、ナイキやアップルコンピューターのCM出身の監督(ドミニク・セナ)では所詮この程度が限界なのだろう。「ダーティ・ハリー」や「ダイ・ハード」が何故あれだけ面白いのか考えて欲しい。
(オフィシャルサイト: http://www.operationswordfish.com)
01年サマームービーはまだまだ続く。ディズニーの「Atlantis」、スピルバーグ+ハリー・ジョエル・オスメントの「A.I.」、ティア・レオーニ(!)の「Jurassic
ParkIII」、ジュリア・ロバーツ+キャサリン・ゼタ・ジョーンズの「American
Sweethearts」、ティム・バートン+マーク・ウォルバーグの「Planet of the Apes」、ジェット・リー+ブリジッド・フォンダの「Kiss
of the Dragon」、ウッディ・アレン+ヘレン・ハントの「The Curse of Jade Scorpion」、ニコラス・ケイジの「Captain
Corelli's Mandolin」、ロバート・デ・ニーロ+エドワード・ノートンの「The Score」、ジョン・キューザック+ケイト・ベッキンセイルの「Serendipity」などなど。