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Mr.DOBASHI no テキサス映画通信

”Houston, we have a problem!(27)

Dobashi Shuichiro 土橋 秀一郎


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イチローはメジャー・リーグでもすっかり全国区になってしまい、今やこちらの専門家からも驚異の目で見られている。リッキー・ヘンダーソンやトニー・グウィンとも全く違うスタイルを貫くマルチプレイヤー、イチローのメジャーデビューは、ホームラン競争以外の刺激の欲しかったファンにとって絶妙のタイミングでもあった。打率トップを走り、得点圏打率が5割に迫る、アメリカ人より強肩好守の日本人など誰が想像しただろうか(欲を言えば全盛時代の長嶋、江夏、山田、福本あたりもメジャーで見たかったが…)。
イチローのいるマリナーズは現在ア・リーグ西地区でアスレチックスに20ゲーム差をつけてトップを独走しているが、わがアストロズも何とかナ・リーグ中部地区でトップを守っている。マリナーズVSアストロズのワールドシリーズが実現したら、ヒューストンのEnron Fieldでイチローに罵声を浴びせる1人の日本人が出現するだろう。それは私だ。

さて、2001年サマームービーの最後を飾る10本のレビューだ。



1. 「America's Sweethearts」 B
(出演: ジュリア・ロバーツ、ビリー・クリスタル、キャサリン・ゼタ・ジョーン
ズ、ジョン・キューザック)

超豪華キャストによるさほど面白くない映画というのは珍しくはないが、たいていは演出と脚本の悪さに原因がある訳で、これもその1本。結婚生活はすっかり冷めているが、世間的にはハッピーをアピールしているスター夫婦がジョン・キューザックとキャサリン・ゼタ・ジョーンズ。ジョーンズの妹で、姉の世話役がジュリア・ロバーツ。ロバーツとキューザックは魅かれ合うのだが、キューザックの優柔不断ぶりが話をややこしくする。ビリー・クリスタルはくびになった映画監督で、ジョーンズ=キューザックの中を取り持って二人の新作映画の公開までしのげれば、現場へ復帰させてもらう約束をしている。ストーリーも主演4人とも決して悪くないのだが、要するに総論良し、各論悪し(=「アナライズ・ミー」のクリスタル+ピーター・トランの脚本悪し)の典型。結局一番面白いのがその新作映画を監督するクリストファー・ウォーケンの大ボケぶりで、この人はSNLのホストをして以来すっかりコメディアンになってしまった。
(オフィシャルサイト: http://www.sony.com/americassweethearts)


2. 「Jurassic Park III」 B
(出演: サム・ニール、ティア・レオーニ、ウィリアム・H・メイシィ)

ほどほどのストーリー、良く出来た特撮、まあまあのキャストで水準作に仕上がっているが、もはやどれほど恐竜が出て来ても誰も驚かないし、恐くも無い。子供を連れて映画館に行って、退屈しないで帰ってくるという一点のみにおいて観る価値がある映画。ということはユニバーサルのサマームービーの企画としては極めて全うということであり、興行成績も目論見通り積み上がっている。
え、ストーリー? 確か子供が例の島の近辺で行方不明になって、両親(「ファー」のウィリアム・H・メイシィと「The Family Man」のティア・レオーニ)が恐竜オタクの教授(サム・ニール)を巻き込んで捜索に行くという話だったな。うん、それにコンピー、プテラノドン、それにラプトルはたくさん見れるぞ。
(オフィシャルサイト: http://jp3.jurassicpark.com)


3. 「Planet of the Apes」 B+
(出演: マーク・ウォルバーグ、ティム・ロス、ヘレン・ボナム・カーター)

無難なストーリー、テンポの良い脚本、リック・ベイカーのメーキャップと、「猿の惑星」の33年ぶりのリメイクは十分合格点に達している。基本的にはオリジナルと同じ猿人に捕らえられた人類の脱出行という単純なストーリーながら、SFXによる猿人特有の躍動感は良く出ているし、ティム・ロス扮する猿人将軍の悪漢ぶりもいい。「The PerfectStorm」のマーク・ウォルバーグ(猿のようだが人間役だ)に惹かれるヘレン・ボナム・カーターに到っては、猿のメーキャップをしている方がずっとセクシーで可愛らしい。だがこの「無難なストーリー」というのが大いに物足りない所で、「バットマン」であのゴッサムシティを見事に再現して見せてくれたティム・バートン監督らしさはまったく観られない。お約束である最後のオチもミエミエとはいえ、オリジナルを観ていなくてティム・バートンを知らない人はすごく楽しめるはずだ。
(オフィシャルサイト: http://www.planetoftheapes.com)


4. 「Osmosis Jones」 C+
(出演: ビル・マーレイ、声の出演: クリス・ロック、デヴィッド・ハイド・ピアース、ローレンス・フィッシュバーン)

人間を縮小化して体内に注入するというアイディアは「ミクロの決死圏」や「インナースペース」で使われた。本作は「メリーに首ったけ」のファレリー兄弟が、動物園の管理人フランク(ビル・マーレイ)の体内に存在する微小社会(「City of Frank」)をアニメ化したコメディ。フランクは妻に先立たれてから自堕落な生活を送っており(この役はビル・マーレイに見事にはまる)、彼が地面に落としたゆで卵を拾って食べたことから恐怖の病原菌(声:ローレンス・フィッシュバーン)が彼の体内で発生する。事件を隠そうとする市長(声:ウィリアム・シャトナー)に対抗する白血球警察官のOsmosis Jones(声:クリス・ロック)と、外の世界から来た風邪薬のカプセル(声:「Frasier」のデヴィッド・ハイド・ピアース)の活躍が描かれるが、アイディア倒れであまり面白くない。各キャラクターの造形に芸が無いのと、ファレリー兄弟得意の下品なギャグが今回は機能していないからだ。又肝心なアニメ自体の質が低いので、どうにも見劣りしてしまう。なかなか秀逸なストーリー設定なので、ファレリー兄弟の毒を抜いてからディズニーかドリームワークスあたりが丁寧にこしらえたらきっと面白かったのに。
(オフィシャルサイト: http://www.osmosisjones.com)


5. 「American Pie 2」 B+
(出演: ジェイソン・ビッグス、クリス・クライン、ユージーン・レヴィ、ショーン・ウィリアム・スコット)

2001年サマームービーのラスト3週間をトップで乗り切った'99年の傑作青春コメディの続編。前作でめでたくプロムの夜に童貞を喪失したジム(ジェイソン・ビッグス)、オズ(クリス・クライン)、ケビン(トーマス・イアン・ニコラス)、フィンチ(エディ・ケイ・トーマス)の4人組は揃ってカレッジに進学していて、本作では夏休みのビーチハウスでの馬鹿騒ぎ、友情、純愛そして勿論セックスへのあくなき探求が活写される。不運のヒーロー、ジムは今回もレズビアンのカップルに弄ばれてスティフラー(ショーン・ウィリアム・スコットが快演)とキスする破目になったり、瞬間接着剤で片手をXXXに、片手にポルノビデオをくっつけてしまったりと大活躍だ。
だがこのシリーズが下品でナンセンスな学園ものと明らかに一線を画すのは、根底に流れる主人公たちの純真さと良心だ。彼らはみな優しく、この映画も優しい。スクリーンの中で最高の青春時代を送った彼らが、心底うらやましくなる。
「American Pie 2」は爆笑率ではオリジナルに一歩譲るが、相変わらず大ボケをかますジムの父親(ユージーン・レヴィ)も健在なので、乗り遅れないようにしよう。
(オフィシャルサイト: http://www.americanpiemovie.com)


6. 「The Others」 B-
(出演: ニコール・キッドマン、フィオヌラ・フラナガン)

巧妙なエンディングが用意された、手堅くまとまったゴースト・ストーリーだが、いかんせん「The Sixth Sense」に酷似したストーリーは2番煎じとは言わないが、ちょっと辛いものがある。光アレルギーの子供を持つ厳格な母親(ニコール・キッドマン)が厚いカーテンに囲まれた屋敷に住んでいるのだが、その屋敷にはどうも幽霊がいるようで…。こう書くといかにも退屈なようだが、実際退屈なのだ。
「The Sixth Sense」にそれほど感心できなかったのは、例のエンディングに到るプロセスがかったるいからで、エンディング以外は取り立てて面白くなかった。本作も全く同じ欠点を持っていて、何もしないブルース・ウィリスの代わりにしかめ面をしたニコール・キッドマンを延々2時間近くも見せられるのだ(「Moline Rouge」の誘惑的なキッドマンなら何時間でも観ていられるのに)。
皮肉なことに、本作を観て改めて今年の傑作「Memento」の凄さを再認識させられた。アイディアに富んだディテールとミスディレクションの積み重ねの後に、あっと驚く結末が用意されているのだ。「The Others」よりこっちを見逃さないように。
(オフィシャルサイト: http://www.theothers.com)


7. 「Captain Corelli's Mandolin」 C+
(出演: ニコラス・ケイジ、ペネロペ・クルス、ジョン・ハート、クリスチャン・ベイル)

ニコラス・ケイジの最新作は全くの期待外れ。第2次大戦末期、イタリア軍が占領するギリシアの小島を舞台にしたラヴ・ストーリーで、ケイジが陽気なイタリア軍の大佐を、「All the Pretty Horses」のペネロペ・クルスが医者の父親(ジョン・ハート)を手伝う島の娘を演じる。ちぐはぐでかったるい演出、説得力に欠ける結末、現実感の無い戦闘シーン、ドイツ人に見えないドイツ人将校、相変わらずつたない英語のため知能が低く見えるペネロペ・クルスと、ニコラス・ケイジはまるで味方が点を取ってくれないピッチャーのように孤立していて気の毒なくらいだ。主演の2人にケミストリーは働かず(ペネロペ・クルスが最近トム・クルーズと付き合っているのもマイナスだ)、ここはただひたすらケイジの次作「Windtalkers」に期待するしかないだろう。
(オフィシャルサイト: http://www.captain-corellis-mandolin.com)


8. 「American Outlaws」 B-
(出演: コリン・ファレル、スコット・カーン、ティモシー・ダルトン、キャシー・ベイツ)

アイルランド出身の若手アクター、コリン・ファレルがジェシー・ジェイムズに扮する西部劇。ストーリーは南北戦争後、鉄道建設のトラブルを巡って母親(キャシー・ベイツ)を殺されたジェシー・ジェイムズが、鉄道会社に復讐するために仲間と列車強盗、銀行強盗を繰り返すだけの単純なものだが、テンポが速いのでまあ4ドル50なら暇つぶしにはなる。底が浅くて西部劇としての映画的価値がゼロでも、コリン・ファレルの早撃ちを見るのは楽しいし、こいつひょっとしたらそのうちブレイクするかもしれない。
(オフィシャルサイト: http://www.americanoutlaws.com)


9. 「Jay and Silent Bob Strike Back」 B+
(出演: ジェイスン・ミューズ、ケビン・スミス、ベン・アフレック、シャノン・エリザベス、ウィル・ファレル)

「Clerks」、「Chasing Amy」、「Dogma」などのコメディで一部に熱狂的ファンを持つケビン・スミス監督最新作は、彼の過去の作品で脇役だったドラッグ・ディーラーのJay(ジェイスン・ミューズ)とSilent Bob(ケビン・スミス本人が好演)を主役に据えたナンセンス・コメディ。自分たち2人がモデルのコミック誌が勝手にミラマックスで映画化されると知って、ニュージャージーからハリウッドへ映画化阻止に出かける2人のバディ・ムービーなのだが、まず冒頭から機関銃のように発せられるdirty wordsとsex jokeの嵐に圧倒される。
R指定もここに極まったかというこの乗りは、慣れるまで意味がつかめず翻訳家泣かせだろう。だがケビン・スミス教信者のゲスト陣がカメオを越えて演ずるギャグとパロディはそのセンス、タイミングとも絶妙だ。キャリー・フィッシャー、ウェス・クレイヴン(「スクリーム」の監督、Jay and Silent Bobは「スクリーム3」に出ている)、トレイシー・モーガン(「SNL」)、クリス・ロック、ジェイソン・ビッグス(「AmericanPie」)、ジェイムズ・ヴァンダーヴィーク(「Dawson's Creek」)などに加えて、ガス・ヴァン・サントがベン・アフレックとマット・デイモンの「Good Will Hunting」の続編「Hunting Season」なるものを撮影しているギャグと、Jayとマーク・ハミルが繰り広げるライトセイバー・バトルは必見だ。
贅の限りを尽くした下品さの影で見え隠れするケビン・スミスの才能とセンスがきらりと光るスーパーエンターテインメントとして、映画ファンのおバカな男たちにはお薦めだ。
(オフィシャルサイト: http://newsaskew.com/va5/)


10. 「The Curse of the Jade Scorpion」 B
(出演: ウッデイ・アレン、ヘレン・ハント、ダン・エイクロイド、チャーリズ・セロン)
1940年のNY。マジックショーでお互いを熱愛するように催眠術をかけられた仲の悪い保険会社のベテラン調査員(W・アレン)と女性エグゼクティブ(ヘレン・ハント)が、連続宝石消失事件に巻き込まれるロマンティック・コメディ。元々ウッディ・アレンはそれほど好きでなく、ヘレン・ハントを観るために行ったようなものなのだが、ところどころ面白いセリフがあるだけで特に盛り上がりも無い凡作だった(勿論ヘレン・ハントは魅力的)。だがちょっと気になるのはW・アレンのキャラクター。「アニー・ホール」があれほど人々の胸を打ったのは、「神経質でシャイ、ノイローゼ気味の髪の薄いユダヤ系アメリカ人の青年」というアレンそのもののキャラクターが持つ面白さと寂しさが圧倒的に迫って来たからだ。この作品は「アニー・ホール」とは違った底の浅いライト・コメディだが、齢を取ったアレンが同じキャラクターを演じても、もはや面白くも無いし共感も出来ないのだ。
(オフィシャルサイト: http://www.dreamworks.com/jadescorpion)


残念ながら今年のサマームービーは散発で盛り上がりを失ってしまったが、秋から年末にかけては話題作が目白押しだ。既に予告編が観られる期待作だけでも、デンゼル・ワシントンとイーサン・ホークの刑事スリラー「Training Day」、ジョン・ウー監督、ニコラス・ケイジの戦争スリラー「Windtalkers」、ベン・スティラーのナンセンス・コメディ「Zoolander」、S・キング原作でアンソニー・ホプキンス主演の「Hearts inAtlantis」、ジェフ・ブリッジスとケビン・スペイシー共演の「K‐Pax」、ジョン・キューザックとケイト・ベッキンセイルのロマンティック・コメディ「Serendipity」、ロバート・レッドフォードとブラッド・ピットのエスピオナージュ「Spy Game」、ディズニーのCGコメディ「Monsters, Inc.」、グゥイネス・パルトロウ主演のコメディ「Shallow Hal」、ジェット・リーの近未来アクション「The One」、ウィル・スミスがモハメッド・アリに扮する「Ali」、H・G・Wells原作でガイ・ピアース主演「The Time Machine」、さらに2本のファンタジー、説明不要の「Harry Potter and the Sorcerer's Stone」と、J・R・R・トールキン原作「指輪物語」の映画化「The Fellowship of the Ring」と、この先楽しみだ。