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Mr.DOBASHI no テキサス映画通信

”Houston, we have a problem!(33)

Dobashi Shuichiro 土橋 秀一郎


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「第3回 輝け、Texas Movie Awards!」

今回は2001年度のアメリカ映画を総括する「第3回 輝け、Texas Movie Awards!」をお届けする。先ごろ発表されたゴールデン・グローブ賞は 「A Beautiful Mind」が主要4部門(作品・脚本・主演男優・助演女優)を受賞したが、本賞は筆者1人の大偏見アワードなのでだいぶ色合 いが違うぞ。今回発表にあたって唯一残念なのは、「Monster's Ball」が1月末現在Houstonで公開予定が立っていないことだ。ビリー・ボブ・ ソーントンが差別主義者の看守に扮し、犯罪者の夫を死刑で失った黒人の未亡人(ハル・ベリー)に恋をするこの話題作を観てからと思ってい たのだが、仕方がない。それでは発表だ。

1. 作品賞(ベスト10)

第1回の「The Green Mile」、第2回の「Gladiator」に続く最優秀作品賞は、「Lord of the Rings:The Fellowship of the Ring」に決めた。 久しぶりにミステリー映画の面白さを満喫させてくれた「Memento」、理屈抜きに楽しめる「Monsters, Inc.」や「Shrek」も捨て難かったが、映 画本来の醍醐味をたっぷり3時間味わえるこの一大冒険活劇ファンタジーには、すでにある種の古典的貫禄さえ備わっている(唯一の欠点は リブ・タイラーのミスキャストだが)。振り返れば2001年はファミリームービーの空前の当たり年だった。

第1位 「Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring」
第2位 「Memento」
第3位 「Monsters, Inc.」
第4位 「Shrek」
第5位 「Moulin Rouge」
第6位 「A Beautiful Mind」
第7位 「I Am Sam」
第8位 「Black Hawk Down」
第9位 「Ocean's Eleven」
第10位 「Harry Potter and the Sorcerer's Stone」

2. 監督賞

リドリー・スコットやロン・ハワードのベテラン勢にもあげたいところだが、ここは「Lord of the Rings」で見せた力量を買って、ニュージー ランダーのピーター・ジャクソンを選んだ。

Winner: ピーター・ジャクソン(「Lord of the Rings」)
Losers: リドリー・スコット(「Black Hawk Down」)、ロン・ハワード(「A Beautiful Mind」)、マイケル・マン(「Ali」)、ウェス・ア ンダースン(「The Royal Tenenbaums」)、クリストファー・ノーラン(「Memento」)

2. 監督賞

リドリー・スコットやロン・ハワードのベテラン勢にもあげたいところだが、ここは「Lord of the Rings」で見せた力量を買って、ニュージー ランダーのピーター・ジャクソンを選んだ。

Winner: ピーター・ジャクソン(「Lord of the Rings」)
Losers: リドリー・スコット(「Black Hawk Down」)、ロン・ハワード(「A Beautiful Mind」)、マイケル・マン(「Ali」)、ウェス・ア ンダースン(「The Royal Tenenbaums」)、クリストファー・ノーラン(「Memento」)

3. MVA(Most Valuable Actor)

これは今回思いつきで設定したカテゴリー。特定の作品ではなく、年間を通じて質量ともに最も活躍したアクターが選ばれる(尚、"actor"は 一般的にactor/actressの意味でも使われる―念のため)。

Winner: ビリー・ボブ・ソーントン(「Bandits」、「The Man Who Wasn't There」、「Monster's Ball」)
Losers: ケイト・ブランシェット(「Bandits」、「Lord of the Rings」、「The Shipping News」他)、ジーン・ハックマン (「Heartbreakers」、「Heist」、「Behind Enemy Lines」、「The Royal Tenenbaums」)

4. 主演男優賞

6人の候補から誰を選んでも遜色ないのだが、中でも「Training Day」の悪徳刑事役で圧倒的なカリスマ性を見せたデンゼル・ワシントン、7 才の知能しかない父親役でついにその天才ぶりが開花した「I Am Sam」のショーン・ペン、そしてモハメド・アリに扮してスクリーンで蝶のよ うに舞った「Ali」のウィル・スミスの3人は、本当に凄かった。

Winner: ショーン・ペン(「I Am Sam」)
Losers: ガイ・ピアース(「Memento」)、デンゼル・ワシントン(「Training Day」)、ウィル・スミス(「Ali」)、ラッセル・クロウ (「A Beautiful Mind」)、ジーン・ハックマン(「The Royal Tenenbaums」)

5. 主演女優賞

基本的にこのカテゴリーにはシリアス・ドラマの実力派女優が多い。だが、あくまでこの賞はエンターテインメント系をもって良しとするの で、間違っても「In the Bedroom」のシシー・スペイセクなんか候補にしてやんない。そんな中、「A Beautiful Mind」でラッセル・クロウの 献身的な妻役でブレイクしたジェニファー・コネリーも良かったが、「Moulin Rouge」でニコール・キッドマンが演じた高級娼婦サテンの存 在感と圧倒的な美貌はちょっと忘れ難く、文句なしの受賞となった。

Winner: ニコール・キッドマン(「Moulin Rouge」)
Losers: リース・ウェザースプーン(「Legally Blonde」)、ジェニファー・コネリー(「A Beautiful Mind」)、ジュリアン・ムーア (「The Shipping News」)

6. 助演男優賞

例年必ず激戦区となるのがこのカテゴリー。今回も、「The Lord of the Rings」の良心となる老魔術師を演じたサー・イアン・マッケラン、 「Moulin Rouge」でエルトン・ジョンの"Your Song"を歌ってプロ並みの歌唱力を披露したユアン・マクレガー、「Ocean's Eleven」の老詐欺師 で名人芸を見せたカール・ライナー、「The Man Who Wasn't There」のスリークな弁護士役でビリー・ボブ・ソーントンさえ食ってしまったト ニー・シャルホフ、そしてそのビリー・ボブ・ソーントンは「Bandits」では爆笑自閉症男を演じた。くせ者が揃いも揃ったと言ったところだ が、「Ali」でニュースキャスターのハワード・コセルに扮したジョン・ボイトは全く別人にしか見えない仰天演技で、すっかり脱帽しました。

Winner: ジョン・ボイト(「Ali」)
Losers: イアン・マッケラン(「Lord of the Rings」)、ユアン・マクレガー(「Moulin Rouge」)、カール・ライナー(「Ocean's Eleven」)、トニー・シャルホフ(「The Man Who Wasn't There」)、ビリー・ボブ・ソーントン(「Bandits」)

7. 助演女優賞

「Bandits」で2人の男から愛される奔放な人妻を演じたケイト・ブランシェット、「I Am Sam」でエリート弁護士に扮したミシェル・ファイ ファー、「In the Bedroom」のけなげな母親マリサ・トメイはどれも魅力的だった。また「Harry Potter」のハーマイオニーことエマ・ワトス ンは原作のイメージどおり小生意気でキュートだった。だが「Vanilla Sky」のキャメロン・ディアスのセクシーな悪女ぶりにはぶっ飛んだ ぞ。

Winner: キャメロン・ディアス(「Vanilla Sky」)
Losers: ケイト・ブランシェット(「Bandits」)、ミシェル・ファイファー(「I Am Sam」)、マリサ・トメイ(「In the Bedroom」)、エ マ・ワトスン(「Harry Potter」)

8. 脚本/脚色賞

超ユニークなキャラクターたちがところ狭しと暴れ回る「The Royal Tenenbaums」も捨て難い。だがここは「Memento」で凝りに凝った 構成とあっと驚く結末でわれわれを見事に騙してくれたクリストファー・ノーランが一歩抜きんでていた。

Winner: クリストファー・ノーラン(「Memento」)
Losers: ピーター・ジャクスン他(「Lord of the Rings」)、ダン・ガースン&アンドリュー・スタントン(「Monsters, Inc.」)、ウェス ・アンダースン&オーウェン・ウィルスン(「The Royal Tenenbaums」)、ラッド・エリオット他(「Shrek」)

9. ワースト映画

ここに挙げる3本はいづれも文句の付けようのない駄作ばかりで、どれを観ても失望させられること請け合いだ。中でも「3000 Miles to Graceland」はケビン・コスナーとカート・ラッセルまで付いて来て、超オススメだ。

Winner: 「3000 Miles to Graceland」
Losers: 「Crocodile Dundee in Los Angeles」、「One Night at McCool's」

10. オリジナル主題歌賞

個人的にはスティングのファンだが、ここは「Lord of the Rings」の美しい画面にしっくりと合ったエンヤで決まりだ。

Winner: "May It Be" by エンヤ(「Lord of the Rings」)
Losers: "Until" by スティング(「Kate and Leopold」)、"Come What May" by ニコール・キッドマン&アン・マクレガー (「Moulin Rouge」)

11. TVドラマ賞

第1位 「24」(NBC)
昨年秋から始まった、アメリカ初の黒人大統領候補の暗殺を巡るアクション・スリラー。久しぶりにキーファー・サザーランドが主演で、CIA エージェントのジャック・バウアーに扮して暗殺阻止を図るが、悪魔のような狡知に長けたテロリストに徹底的にいじめられる。カリフォルニ アの大統領予備選の24時間を、1エピソード1時間ずつ、全24回完結で放送するスタイルで、毎回サスペンスフルかつトリッキーで飽きさせな い。

第2位 「CSI」(CBS)
ラスベガスを舞台にした"Crime Scene Investigator"(捜査権、逮捕権を持つ鑑識チーム)の活躍を描く犯罪ドラマで、ついに「ER」や「フ レンズ」を抜いて視聴率トップに躍り出た。「太陽にほえろ」と「怪奇大作戦」(少し古すぎたか)を足したような面白さで、毎回緻密な構成 と意表を突いた展開が楽しめる。チームの責任者グリムスンを演じるのは、「マンハンター」、「L.A.大捜査線」、「The Contender」のウィリ アム・L・ピーターセン。

第3位 「エンタープライズ」(シンジケート系)
オリジナル「スター・トレック」の100年前(2151年)を描くファン待望のシリーズ第5弾。「タイムマシーンにお願い」のスコット・バクラが ジョナサン・アーチャー艦長に扮して、初代エンタープライズ号とクルーの冒険が描かれる。「The Next Generation」ほどの深みとキャラク ターの掘り下げはないが、逆に気負いなく楽しめるSCI-FIシリーズだ。

12.特別賞 「America:A Tribute to Heroes」(VHS&DVD)

2001年という年は9月11日のテロ事件によって忘れ得ぬ年となってしまったが、これは事件後わずか1週間の間にスターとミュージシャン が集まり、放映されたテレフォンファンドのビデオ版。質量ともにちょっと紹介し切れない位の凄い顔ぶれで、改めてこの国の団結力の強さを 思い知らされる。中でもニール・ヤングが歌う”Imagine”、ロビン・ウィリアムスのスピーチ、それに最後にウィリー・ネルソンが賛同者全員をバッ クに歌う”America the Beautiful”は心に残る。純益はすべてテロ事件の被害者とその家族に配られるとのことなので、 お金に余裕のある人は買って下さい。

そして最後に2001年度最後を飾る7作を駆け足で紹介する。

1. 「Kate & Leopold」 B

(出演: メグ・ライアン、ヒュー・ジャックマン)
19世紀の公爵(「Someone Like You」のヒュー・ジャックマン)が現代NYにタイムスリップし、大手広告会社のエグゼクティブ(メグ・ライア ン)と恋に落ちるロマンティック・コメディ。上昇株のヒュー・ジャックマンはチャーミングだが、、メグ・ライアンにはもはや「恋人たちの 予感」の頃のような魅力は失せて生彩がない。ストーリー上重要な2人の出会いとエンディングにも工夫がなく、凡作の域を出ない。
(オフィシャルサイト:http://www.kateandleopold-themovie.com

2. 「In the Bedroom」 C

(出演: シシー・スペイセク、トム・ウィルキンスン、マリサ・トメ イ)
批評家に好まれ、一般大衆にはそっぽを向かれる典型的な作品。一人息子を失った夫婦(トム・ウィルキンスンとシシー・スペイセク)の微妙 な心理状態が緻密に描かれるが、他人の葬式のようで退屈この上ない。唯一の救いは死んだ息子に愛された人妻を演ずるマリサ・トメイだ。
(オフィシャルサイト:http://www.miramaxhighlights.com/inthebedroom

3. 「Impostor」 C+

(出演: ゲイリー・シニーズ、マデリーン・ストウ、ヴィンセント・ ドノフリオ)
フィリップ・K・ディックの同名短編SF小説の映画化。政府機関で新兵器開発を行う博士がゲイリー・シニーズで、彼は地球に侵入した体内 に爆弾を持つエイリアンと疑われてアンダーワールドを逃げ回る。だが特撮は古臭く、ストーリーは「トータル・リコール」と酷似していて、 何とも新奇さに欠ける(同じ原作者だから仕方ないか)。シニーズは「フォレスト・ガンプ」や「身代金」のように、一流監督に乞われて脇 に回ると真価を発揮するのだが。
(オフィシャルサイト:http://www.impostorthemovie.com

4. 「The Royal Tenenbaums」 B+

(出演: ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、グゥイ ネス・パルトロウ、ベン・スティラー、ルーク・ウィルスン、ダニー・ グローバー、オーウェン・ウィルスン、ビル・マーレイ)
「Rushmore」の監督・脚本家コンビ(監督:ウェス・アンダースン、脚本:ウェス・アンダースン&オーウェン・ウィルスン)によるオフビート ・コメディ第2弾。破産したために自分は癌だと偽って捨てた家族の元に帰ってくる厚顔な父親(ジーン・ハックマン)と、曲者揃いの家族 (アンジェリカ・ヒューストン、グゥィネス・パルトロウ、ベン・スティラー、ルーク・ウィルスン)とのやり取りとリユニオンが描かれ る。各キャラクターは驚くほど良く描かれ、「Rushmore」が好きな人は本作も楽しめるだろう。ジーン・ハックマンの可笑しさも只事ではな い。
(オフィシャルサイト:http://www.royaltenenbaums.com

5. 「The Shipping News」 B-

(出演: ケビン・スペイシー、ジュリアン・ムーア、ジュディ・デン チ、スコット・グレン、ケイト・ブランシェット)
「The Cider House Rules」、「Chocolat」のレッセ・ハルストロム監督による人間ドラマ。あばずれの妻(ケイト・ブランシェット)を交通事 故で失った生まれつきのダメ男クオール(ケビン・スペイシー)が、一人娘と叔母の住むニューファウンドランドに移り、地方記者として再生 する物語。暗い過去を持つ叔母を演じるジュディ・デンチ、障害者の息子を持つ母親役のジュリアン・ムーアなど実力派俳優が揃ったが、 何よりクオールというキャラクター自体に魅力が乏しく、爽快感もない。
(オフィシャルサイト:http://www.miramaxhighlights.com/theshippingnews

6. 「I Am Sam」 A-

(出演: ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー、ダイアン・ ウィースト)7才の知能しかないスターバック・コーヒーの店員サム(ショーン・ペン)が、今では自分より知能が高くなった最愛の娘の養育権を巡って 奮闘するコメディタッチのドラマ。ついにいつもの恐面を捨て去りその天才ぶりを証明した本作のショーン・ペンは、「レインマン」のダス ティン・ホフマン、「セント・オブ・ウーマン」のパチーノ、「レナードの朝」のデニーロより上手く、かつ感動的だ。サムのキャラクターが 「健常人から見た好ましい障害者」として描かれているいるという点が気になるが、堂々たる"tearjerker"で冒頭10分で目頭が熱くなる。 ショーン・ペン恐るべし。
(オフィシャルサイト:http://www.iamsammovie.com

7. 「Black Hawk Down」 A-

(出演: ジョッシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、トム・サ イズモア、サム・シェパード)「Gladiator」のリドリー・スコット監督が、'93年の米軍によるソマリアへの武力介入をリアルに活写する戦争巨編。最近円熟どころか作品毎 にパワフルになるリドリー・スコット作品だが、本作もなまじスター俳優がいない分「プライベート・ライアン」より迫力と臨場感がある。作品的 には文句の付けようもないが、「任務失敗」という史実(米軍死者18名)は重く、観終わって脱力感が残るのは致し方ないか。
(オフィシャルサイト:http://www.spe.sony.com/movies/blackhawkdown


次回からは2002年度の作品の紹介になります。今年も面白い映画の当た り年となりますように。