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ブロードウェイで4年間sold outを記録したミュージカル「Lion King」 が、この夏Houstonにやって来る。先日その前売券が売り出されると知っ て、初日に劇場まで足を運んだ。オーケストラ席の前半分だけは電話や オンラインでは購入できないシステムなので、朝9時に着いた時は既に 劇場の周りを人垣が一周していた。寒いだけでなく、とにかく進み方が 遅い。で、購入手続が終わったのが何と午後3時40分。6時間半も待っ ていたことになる。家族4人で締めて540ドル。この時間と出費、果たし てペイするのかどうか。結果は8月に報告するぞ。
今回は新春特別企画「Pops in Movies」をお届けする。70年代後半から 現在までの、映画で使われたポップスの名曲60選を発表するもので、自 分で言うのもなんだが労作だ。
まずは今月のムービーレヴューから。
1. 「Gosford Park」 B
(出演: マイケル・ガンボン、クリスティン・スコット・トーマス、 マギー・スミス、ライアン・フィリップ、ヘレン・ミレン、クライブ・ オーウェン、エミリー・ワトソン)
1930年代。イギリス郊外の狩猟パーティで起きた殺人事件を描く、ロ バート・アルトマン監督の最新作。英国人俳優をずらりと揃えて、イギ リスの古き良きミステリー的雰囲気を醸し出している。焦点は犯人捜し ではなく、パーティに集まった人々の微妙な人間関係に絞られており、 かなり退屈。しかも言葉が分かりにくい上に登場人物がやたらと多い。 アカデミー賞7部門ノミネート(作品、監督、助演女優(マギー・スミ ス、ヘレン・ミレン)他)は、「イギリス」に弱いアカデミー賞を象徴 しているかのようだ。「サラ・パレツキーやメアリ・ヒギンズ・クラー クより、アガサ・クリスティーやドロシー・セイヤーズが好き」なんて 人なら楽しめるだろうが、決して万人向きではない。
(オフィシャルサイト:http://www.gosfordparkmovie.com)
2. 「The Count of Monte Cristo」 B+
(出演: ジム・カヴィーゼル、ガイ・ピアース、リチャード・ハリ ス、ダグマラ・ドミンシィク)
今更デュマの「モンテ・クリスト伯」でもないだろうと敬遠すると損を する、気分爽快な復讐アクション・メロドラマ。嫉妬に狂う親友 (「Memento」のガイ・ピアース)の罠にはまってフィアンセを奪われ、 14年間孤島の監獄に幽閉されていた男エドモンド(「Frequency」、 「Angel Eyes」のジム・カヴィーゼル)。彼はリチャード・ハリス扮す る囚人仲間に剣の使い方、教養、マナーなどすべてを教え込まれてから ついに脱獄し、海賊の秘宝を発見する。莫大な富を使ってモンテ・クリ スト伯として華麗な変身を遂げるエドモンドの復讐の小気味良さ、悪党 ガイ・ピアースの憎々しさ、好々爺のようなリチャード・ハリスのおか しさ。このアンサンブルが実に楽しい。それにジム・カヴィーゼルは 思っていたよりずっといいアクターだった。
「In the Bedroom」や「Gosford Park」より、こっちの方がずっと面白 いぞ。
(オフィシャルサイト:http://bventertainment.go.com/movies/montecristo)
3. 「Birthday Girl」 B
(出演: ニコール・キッドマン、ベン・チャップリン、ヴィンセント ・カセル)
お堅い銀行マンのベン・チャップリンが、インターネットでロシア人の ガールフレンドを申し込んだことから起こる悲劇を描くブラック・コメ ディ(このウェブサイトが"From Russia with Love"というのがいい)。 ロシアからやって来たナディア(ニコール・キッドマン)は英語が話せ ず、しかも怪しいロシア人のボーイフレンドまで一緒だ。どうしていい か分からないベン・チャップリンのおとぼけ演技は結構笑える。しかし 達者な演技とは言え黒髪でロシア訛りの英語をぼそぼそと話すニコール ・キッドマンを、一体誰が観たいと思うだろうか?DVDで「Moulin Rouge」をもう一度観たくなった。
(オフィシャルサイト:http://www.miramax.com/birthdaygirl)
4. 「Mothman Prophecies」 B
(出演: リチャード・ギア、ローラ・リネイ、ウィル・パットン、デ ボラ・メシング)
オハイオ州で起きた実話をベースにした、超自然現象を扱ったスリ ラー。ワシントン・ポストの記者に扮するリチャード・ギアが、妻 (「Will and Grace」のデボラ・メシング)が交通事故で死ぬ直前に見 たらしい"Mothman"(まあ、「蛾人間」でしょうか)の謎を追う。果たし てMothmanは実在するのか? MTV出身ながら、マーク・ペリントンの演出 は正統で好感が持てる。全編ヒッチコック張りのサスペンスも効いてい るのだが、いかんせんテーマが何となく安っぽくて損をしている感じ だ。
(オフィシャルサイト:http://www.spe.sony.com/movies/mothman)
5. 「Monster's Ball」 B+
(出演: ビリー・ボブ・ソーントン、ハル・ベリー、ピーター・ボイ ル、ヒース・レジャー、ショーン・コムズ)
差別主義者の両親を持つ看守ハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)と、 死刑囚の夫を失ったばかりの黒人未亡人レティシア(ハル・ベリー)と の恋を描く、南部を舞台にしたひたすら重いラブ・ストーリー。話題が 先行してしまった2人のセックス・シーンは噂通り強烈だが、あまりに も寂しく、貧しく、切なくて、見ていて痛々しい。そのくらいソーント ンとハル・ベリーの演技は優れている。問題は観終わってからこっちの 気持ちが重くなることで、遥か昔「ディア・ハンター」を見た後のよう だ。
(オフィシャルサイト:http://www.monstersballthefilm.com)
6. 「Rollerball」 C
(出演: クリス・クレイン、ジャン・レノ、L.L.クールJ、レベッカ・ ロミン・ステイモス)
'75年のジェームズ・カーン主演のSF「ローラーボール」のリメイク。今 回はSFではなく現実世界が舞台で、視聴率アップのために手段を選ばな い悪徳プロデューサー(ジャン・レノ)と、これに立ち向かうスター選 手クロス(「American Pie 2」のクリス・クレイン)の戦いが描かれ る。前半は見応えのあるローラーボールのシーンが展開するが、後半は 尻すぼみで結末も今ひとつ爽快感に欠けていて、B級映画の域を出ない。 かつては「ダイ・ハード」や「レッドオクトーバーを追え」などで力強 い演出を見せたジョン・マクティアナンだが、ここに来て力尽きたか。
(オフィシャルサイト:http://www.rollerball.com)
7. 「Collateral Damage」 B
(出演: アーノルド・シュワルツェネッガー、クリフ・カーティス、 イライアス・コティーズ、ジョン・タトゥーロ)
昨年9月11日のテロ事件の影響で公開が4ヶ月延びたシュワルツェネッ ガー最新作。LAの消防士のシュワちゃんが、テロの犠牲となった妻子の 復讐のために単身コロンビアへテロリストを追う。だが飽きさせないと は言え、「ターミネーター」でも「コマンドー」でもないのにこのス トーリーはいくらなんでも無理。せめて「イレイザー」くらいの設定と 脚本の書き込みは欲しいところだ。おまけに後半のミエミエの展開の中 で、シュワちゃんは"Collateral Damage"(戦下の民間被害)を増大し てしまったぞ。
とりあえずこの4月から撮影開始の「T3」に期待するしかないか。
(オフィシャルサイト:http://collateraldamage.warnerbros.com)
8. 「Hart's War」 A-
(出演: ブルース・ウィリス、コリン・ファレル)
これは文句なく今のところ今年のベストだ。第2次大戦下、ブルース・ ウィリス扮する米軍大佐らが捕らえられているドイツ軍捕虜収容所内で 差別主義者の米軍曹長が殺される。略式の軍事法廷が開かれ、そこで容 疑者の黒人大尉を弁護するのがエール大法学部生のハート大尉 (「American Outlaw」のコリン・ファレル)という設定だ。アクション はほとんどないが、黒人差別、裏切り、脱走、などの要素が絡み合って なかなか先の展開が読めず、しかも全編スリリングだ。「第17捕虜収容 所」と「大脱走」と「ア・フュー・グッドメン」を足して3で割ったよ うな面白さで、最近の戦争ものとはひと味もふた味も違うぞ。
(オフィシャルサイト:http://www.mgm.com/hartswar)
9. 「John Q」 B+
(出演: デンゼル・ワシントン、ロバート・デュバル、ジェイムズ・ ウッズ、アン・ヘッシュ、レイ・リオッタ)
息子の心臓移植手術の費用が払えないブルーカラーの父親(デンゼル・ ワシントン)が、精神的に追いつめられてERに立てこもる「人質も の」。雰囲気は'75年のシドニー・ルメット監督の傑作「狼たちの午後」 に酷似しているが、脚本も演出も弱い。その上、外科医役のジェームズ ・ウッズや、警察署長のレイ・リオッタはミスキャストだ。しかし、こ の映画にはデンゼル・ワシントンがいる。「Hurricane」、「Training Day」と、今やハリウッドでも頭ひとつ突き抜けてしまった感すらあるワ シントンのカリスマ性と迫力にはもはや誰もがお手上げ状態で、「狼」 のアル・パチーノさえも色褪せて見える。それくらい今のワシントンは 凄い。
気丈な私の妻も本作の前でほとんど泣きっぱなしであった。
(オフィシャルサイト:http://www.iamjohnq.com)
10. 「Return to Neverland」 B
(声の出演: ハリエット・オーウェン、ブレイン・ウィーバー、コ リー・バートン)
実に49年ぶりに製作された「ピーター・パン」の続編。ピーター・パン は昔のままだが、ウェンディは2児(ジェインとダニー)の母親になっ ていて、今回は「現実的な娘」のジェインとピーター・パンの冒険が描 かれる。ティンカーベル、フック、スミーなどおなじみのキャラクター 達と心暖まる基本的なストーリーは健在だが、アニメーション自体がオ リジナルと同じタッチで作られているせいか、全編を通じて同じ映画を 観ているようで新規さはない。音楽も凡庸だし今回のディズニー、まる で気合いが入ってない。
(オフィシャルサイト:http://disney.go.com/disneypictures/neverland)
次回は3月24日発表のアカデミー賞授賞式の結果が出てから。ショーン・ペンの主演男優賞は、やっぱり無理だろうな。 |