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Mr.DOBASHI no テキサス映画通信

”Houston, we have a problem!(35)

Dobashi Shuichiro 土橋 秀一郎


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3月24日のアカデミー賞は、残念ながら「The Lord of the Rings」が「A Beautiful Mind」の前に惨敗、予想通りの結果になってしまった。結局かつての「スター・ウォーズ」、「E.T.」、「レイダース」と同じ扱いを受けた訳だが、「The Lord of the Rings」には、やはり「Texas Movie Awards」の方が良く似合う。長嶋茂雄のように「記録」に残らず「記憶」に残る作品なのだから。
という訳で以下は「第74回アカデミー賞の○と×」。

× 4時間17分の史上最長のアカデミー賞授賞式: おまけに開始時間も例年より30分遅かった。
× ウーピー・ゴールドバーグの司会: 悪趣味な上あまり面白くない。去年のスティーブ・マー ティンの方がずっと洗練されていた。
○ 新しく会場となったKodak Theater: Shrine Auditoriumより小さいが豪華絢爛(ただし身 障者用のアクセスがないとのことで現在訴えられているのは×)。
× 冒頭のトム・クルーズのスピーチ: 不要。ところでクルーズは何を話したんだっけ?
○ 最高に魅力的だった女優5人: ヘレン・ハント、ジョディ・フォスター、リース・ウィザー スプーン、ナオミ・ワッツ、キルステン・ダンスト。
× ジェニファー・ロペスの髪型: 最低。高校の時通ったパーマ屋のオバサンみたいだ。
○ デンゼル・ワシントンの主演男優賞受賞: 実力・品格ともにもはやラッセル・クロウの敵で はない。
× 主演男優賞発表の時なぜか会場にいなかったウィル・スミス:???
○ シドニー・ポワティエの名誉賞: デンゼル・ワシントン&ハリー・ベリーの黒人による主演 賞ダブル受賞と合わせて絶妙のタイミングとなった。
○ 主題歌賞ノミニーのパフォーマンス: スティング、ポール・マッカートニー、エンヤ、ジョ ン・グッドマン+ランディ・ニューマン、フェイス・ヒル、とオリジナルのミュージシャンが 勢揃いした(でもランディ・ニューマンのノミネート16回目にしての初受賞はお手盛りだった けど)。
○ 主演女優賞を受賞したハリー・ベリーのスピーチの前半: 感動した。
× 主演女優賞を受賞したハリー・ベリーのスピーチの後半:長くて途中からうざったくなった。
○ ウッディ・アレンのスピーチ: スタンディング・オベーションの後、NYを語るでもなくア ホらしいことを最後まで語り続けたアレンが、この日一番おかしかった。
○ ロバート・レッドフォードの特別賞: 初めて彼の"Sundance Institute"が正当に評価された 。またテロ事件に関しての有名人のスピーチとしては今まで聞いた中で最も良かった。
× 特別賞3人(シドニー・ポワティエ、アーサー・ヒラー、ロバート・レッドフォード): 多 すぎて有り難みがなかった。
△ シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマンス: 凄い。でも映画のマジックとはちょっと違うん じゃないか?(続きが観たい人はラスベガスで「O」をどうぞ)
× 「Memento」がオリジナル脚本賞を取れなかったこと:「Gosford Park」なんて、アガサ・ク リスティーの出来の悪い作品を気取らせただけじゃないか。オジさんは怒っているぞ。

以下、今回の8作品のレヴューをどうぞ。

1. 「Dragonfly」 B-

(出演: ケビン・コスナー、スザンナ・トンプソン、キャシー・ベイ ツ、ジョー・モートン)
'94年の「ワイアット・アープ」以来ヒット作に恵まれないケビン・コス ナーだが、これも今一つの出来でカムバックからはほど遠い。冒頭コス ナー扮するERの医師ジョーは、妻エミリー(スザンナ・トンプソン)を 事故で失う。エミリーは赤十字の医師で、ベネズエラの奥地でボラン ティアをしていたのだ。その後ジョーの周りで超自然現象が起き始め、 やがてジョーはそれをエミリーからのメッセージだと思い込む。「ゴー スト」と良く似たストーリーだが、「ゴースト」ほど観客を引きつける 力はない。またこの作品には意外でかつ感動的なエンディングが用意さ れているのだが、いかんせんそこへ行き着く過程が単調で長すぎる。題 材に新鮮味がない上にコスナー自身にも魅力がないからだ。 「For Love of the Game」や「Thirteen Days」のような質の高い作品 でも、コスナーは客を呼べなかった。離婚とワンマンなプロデューサー 業で誠実なイメージを失ってしまったツケは重い。もともとメル・ギブ ソンやブルース・ウィリスのように、鋭いアクションの切れや卓越した ユーモアのセンスがある訳ではないので、この低迷は今しばらく続きそ うだ。佳作「American Flyer」('85)以来のコスナーファンとしては寂 しい限りなのだが。
(オフィシャルサイト:http://www.dragonflymovie.com/)

2. 「We Were Soldiers」 B

(出演: メル・ギブソン、マデリーン・ストウ、サム・エリオット、 グレッグ・キニア、クリス・クライン、バリー・ペッパー)
ベトナム戦争初期の「死の谷の戦い」を描く戦争映画。メル・ギブソン が米国陸軍中佐ムーアに扮し、450人の米兵を率いて2000人のベトコンと 敵対する。全編ほとんどが戦闘シーンで、しかも米兵の半分以上、ベト コンの9割以上が死ぬから、ペキンパー作品並みに血がドバドバ。また 新兵のクリス・クライン、叩き上げの軍曹サム・エリオット、ヘリコプ ター・パイロットのグレッグ・キニアと、脇役にきれいどころを揃えて はいるが、良くも悪しくもメル・ギブソンの映画。今回はちょっと力が 入り過ぎている感じで、観ている方は腰が引けてしまう。 歯を食いしばって、"I'll never forgive myself that my men died and I didn't."なんて陳腐なセリフを言うギブソンよりも、無精髭を撫ぜな がら、「また生き残ってしまったなあ」などと寂しく呟く「七人の侍」 の志村喬の方が遥かに重みがあるのだ。
(オフィシャルサイト:http://www.weweresoldiers.com/)

3. 「The Time Machine」 B

(出演: ガイ・ピアース、ジェレミー・アイアンズ、シエンナ・ギロ リー)
H.G.ウェルズによる1895年の原作を、孫のサイモン・ウェルズが舞台を ロンドンからマンハッタンに移して映画化。昨年9月11日のテロ影響で 公開が延びていたが、ようやく再編集しての公開となった。 1950年代。天才科学者のアレキサンダー(「Memento」のガイ・ピアー ス)は、強盗に殺された婚約者エマ(シエンナ・ギロリー)が忘れられ ない。アレキサンダーは時間を遡ってエマの殺害を防ぐために、4年の 歳月をかけて遂にタイムマシーンを完成させる。このクラシックなタイ ムマシーンと、華麗なSFXによるタイムトラベルが描かれる前半は文句な しに面白く、SFの醍醐味が味わえる。このままストーリーを展開してく れれば傑作SFラブストーリーになったかもしれなかった。だが原作通り 近代文明が破壊された80万年後の未来で、怪物モーロック(ジェレミー ・アイアンズが怪演)との戦いが描かれる後半は陳腐で何の工夫もな い。ガイ・ピアースはB級アクションヒーローに成り下がるし、おまけに 新世界でのヒロイン(サマンサ・ムンバ)は安室奈美恵そっくりで可愛 くない。惜しい。
(オフィシャルサイト: http://timemachine.countingdown.com/)

4. 「Ice Age」 B+

(声の出演: レイ・ロマノ、ジョン・レグイザモ、デニス・リーリ イ)
ドリームワークスの「Shrek」、ディズニーの「Monsters, Inc.」に対す る20世紀フォックスの回答が、タイトルの示す通り氷河期を舞台にした 本作。ナマケモノのシド(声:「Moulin Rouge」、「Collateral Damage」のジョン・レグイザモ)とマンモスのマニー(声:人気コメ ディ「Everyone Loves Raymond」のレイ・ロマノ)が人間の赤ちゃんを助けた ことから、2匹はサーベルタイガーの群れに狙われる羽目になる。 「Shrek」、「Monsters, Inc.」と比べるのは酷というもので、シュレッ ク(マイク・マイヤーズ)+ドンキー(エディ・マーフィー)、サリー (ジョン・グッドマン)+マイク(ビリー・クリスタル)の2組の最強 タッグが相手では、ちょっと勝負にならない(ただし、コミックリリー フとして数回登場するドングリを持ったリスのキャラクターは馬鹿受 け)。だがストーリー、キャラクター、CGの出来栄えとも合格点で、観 て決して損はない。CGアニメの快進撃はまだ当分続きそうだ。 尚本作は公開3日間で46.3百万ドルを稼ぎ、3月公開作品のオープ ニング・レコードを打ち立てた。
(オフィシャルサイト: http://www.iceagemovie.com/)

5. 「Showtime」 B

(出演: ロバート・デニーロ、エディ・マーフィー、レネ・ルッソ、 ウィリアム・シャトナー)
昨年ロバート・デニーロがエドワード・バーンズと組んだ「15 Minutes」のコメディ版のような作品だが、出来は今ひとつ。LAPDの剛 腕刑事ミッチ(デニーロ)は、上司の命令で俳優志望の警察官トレイ (エディ・マーフィー)と組まされ、"TV Cop"として今流行りのリアル TVの新番組「Showtime」へ出演させられる。その超強引なプロデュー サーがレネ・ルッソで、監督がウィリアム・シャトナー。設定は秀逸だ し、演技の駄目なミッチと、出たがり屋のトレイの対比で実際幾つかの 笑いを取っている。だが「48時間」のようなバディ・ムービーとしての 魅力が希薄な上に、メディアへの皮肉は中途半端だし、悪役(武装強盗 団)の存在感はゼロに等しい。要するに映画としてのまとまりに欠ける のだ。
「Analyze This」、「Meet the Parents」とコメディの傑作をものにし てきたデニーロだが、そろそろ本職に復帰してもいい頃だ。尚、最後の NG集で、"Do you punk?"――これ誰のセリフだ?なんてとぼけるデニー ロが見られる(勿論「ダーティーハリー」のクリント・イーストウッド のセリフだ)。
(オフィシャルサイト: http://www2.warnerbros.com/showtime/)

6. 「The Rookie」 A-

(出演: デニス・クエイド、レイチェル・グリフィス、ブライアン・ コックス、ジェイ・ヘルナンデス)
これは嬉しい、メジャー・リーグのタンパベイ・デビルレイズの投手で あったジム・モリスの実話をベースにした感動の野球ドラマ。2002年第 1四半期のベストワンはこれに決まりで、地元人気も手伝ってか試写会 も超満員だった。
デニス・クエイド扮するジム・モリスはテキサスの高校教師兼野球部の コーチ、若い頃家庭の事情でメジャー・リーグ入りの夢を断たれた過去 を持つモリスは、野球部員と取り交わしたちょっとした約束がもとで、 30代半ばでメジャー・リーグに初挑戦することになる。実話の持つ説得 力に加えて、甦る男の夢を体現するデニス・クエイドの格好良さ、それ を支える充実の脇役陣(中でもレイチェル・グリフィス、ブライアン・ コックスがそれぞれモリスの妻、父親役で好演)、過酷なマイナー生活 まで描ききるジョン・リー・ハンコックの実直な演出と、野球ドラマと してはちょっと文句の付けようのない出来栄え。また「Frequency」、 「Traffic」と最近とみに良くなって来ていたデニス・クエイドの、これ はブレイク・スルーだ。野球ファンもデニス・クエイドのファンも必 見。
(オフィシャルサイト: http://disney.go.com/disneypictures/rookie/)

7. 「Resident Evil」 B+

(出演: ミラ・ジョヴォヴィッチ、ミシェル・ロドリゲス、エリック ・メビウス)
ビデオゲーム「バイオハザード」の映画化だが、昨年の「Lora Croft: Tomb Raider」なんかよりずっといい。"Umbrella Corporation"が極秘で 研究していた"T-ウィルス"のブレイクアウトにより、怪物リッカー、ゾ ンビ犬、ゾンビ化した無数の社員が出現し、これらと敵対する特殊ス ワットチームの壮絶な戦いがテンポ良く描かれる。ヒロインのアリスを 演じる美形のミラ・ジョヴォヴィッチ(「Fifth Element」、 Messenger」)の脱ぎっぷりの良さとタフなファイターを演じるミシェル ・ロドリゲスの魅力に加えて、切れの良いアクションと絶え間ないサス ペンスが全編味わえる。R指定の低俗なB級アクション映画としてはトッ プクラスの面白さで(どういうホメ方だこれは)、なまじゲームの内容 を知らない人の方が、楽しめるはずだ。
(オフィシャルサイト: http://www.spe.sony.com/movies/residentevil/)

8. 「Blade II」 B

(出演: ウェズリー・スナイプス、クリス・クリストファーソン、レ オノア・ヴァレラ)
半分ヴァンパイア、半分人間のヴァンパイア・ハンター、ブレイドの戦 いを描くマーヴェル・コミックを映画化した'98年作「ブレイド」の続 編。
今回ブレイド(ウェズリー・スナイプス)は、ヴァンパイアの進化種 "Reaper"を倒すために、普通ヴァンパイア(表現力が乏しいな)の特殊 部隊"Blood Pack"(かつてトム・クルーズ、マット・ディロン、パト リック・スゥエイジたちがこう呼ばれてなかったっけ?)から応援を求 められる。
だがアクロバットをするゾンビのようなReaperとの戦いを延々と描く後 半は途中で飽きてしまう。むしろブレイドの父親代わりのクリス・クリ ストファーソンをヴァンパイアたちから救出し、さらにBlood Packに夜襲 をかけられる前半の方が数段エキサイティングだ。前半のスナイプスは得意の マーシャル・アーツが切れるし、歌舞伎のように大見得を切ってから敵を なぎ倒すスタイルは、馬鹿馬鹿しいが作品の雰囲気に合っていて面白い。 まあ本人は楽しくて仕方がないのだろうが、3作目は止めといた方がい いだろう。
(オフィシャルサイト: http://www.blade2.com)


今年のサマームービーは5月16日公開予定の「Episode II:Attack of the Clones」からスタートするが、この間にはまだまだ期待作が 控えている。「E.T.」の20年ぶりのリバイバルは既に始まったし、ジョ ディ・フォスター+デヴィッド・フィンチャー監督の「Panic Room」、 ロビン・ウィリアムズとエドワード・ノートンが共演するコメディ 「Death to Smoochy」、アシュリー・ジャドとモーガン・フリーマンの リーガルスリラー「High Crimes」、サンドラ・ブロックとベン・チャッ プリンの心理スリラー「Murder by Numbers」、「The Mummy」からのス ピンオフでThe Rock主演の「The Scorpion King」、アンソニー・ホプキ ンスとクリス・ロックによるアクション・コメディ「Bad Company」、ベ ン・アフレックとサミュエル・L・ジャクソン共演の「Changing Lanes」、キャメロン・ディアスのロマンティック・コメディー 「The Sweetest Thing」、などなど。前座と呼ぶにはあまりにも豪華だ。