1. 「Pirates of the Caribbean: Curse of the Black Pearl」 B+
(出演: ジョニー・デップ、ジェフリー・ラッシュ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトリー)
昨年の「Country Bears」に続く、ディズニーランドのアトラクションをモチーフにした本作は、魅力的なキャストを得て楽しい娯楽作に仕上がった。とにかくジョニー・デップ演ずる、アイシャドウをしてなよっとした海賊ジャックのキャラが秀逸で、その一挙手一投足がやたら可笑しい。で、ストーリーは呪いをかけられ生ける屍と化した海賊船の船長(ジェフリー・ラッシュ)、彼らに誘拐される総督の娘(「BendIt Like Beckham」のキーラ・ナイトリーがキュート)、彼女を慕って救出に向かう鍛冶屋(「Lord of the Rings」のオーランド・ブルーム)を中心に進み、これにジョニー・デップがヒップに絡む。骨太なストーリーラインが存在しないのが欠点といえば欠点だが、各キャラクターは適材適所に配置され、スタントを中心としたアクションは、SFX全盛の今ではむしろ斬新に映る。やっぱり海賊ってカッコいいよな。
尚、ディズニーランド・アトラクション・シリーズの第3弾は「Haunted Mansion」(主演: エディー・マーフィー)で、このThanksgivingに公開予定。
(オフィシャルサイト: http://pirates.movies.com)
2. 「The League of the Extraordinary Gentlemen」 B
(出演: ショーン・コネリー、シェーン・ウエスト、ナシラディン・シャー、ステュアート・タウンゼント、ペータ・ウィルソン)
アラン・ムーアのコミックブックを映画化した本作は、ショーン・コネリー扮するアラン・クォーターメイン(H.R.ハガード原作「King Solomon's Mines」の主人公)が、ネモ船長、トム・ソーヤー、透明人間、吸血鬼、ジキル博士、ドリアン・グレイを率いて、世界戦争を引き起こそうと画策するファントム一味と対決する、奇想天外アクション。ストーリーの後半は思い出せないというか、良く分からないというかかなり適当で、プロデューサーも兼ねるコネリーがいなければ典型的なB級ムービーだっただろう。だがここはあまり固いことは言わずに、「The Hulk」より良く出来たCGや、19世紀の英国の雰囲気を楽しめば良い。それから二重に仕組まれた意外な真犯人の正体は、ミステリーファンならにやりとすること受けあいの、ちょっとしたボーナスだ。
(オフィシャルサイト: http://www.lxgmovie.com)
3. 「Bad Boys 2」 B
(出演: マーティン・ロレンス、ウィル・スミス、ジョー・パントリアーノ、ゲイブリエル・ユニオン、監督: マイケル・ベイ)
「Bad Boys」、「The Rock」、「Armageddon」、「Pearl Harbour」に続く、製作ジェリー・ブラッカイマー+監督マイケル・ベイによる、実に2時間30分のR指定アクション・コメディ。マイアミ警察のマイク(ウィル・スミス)とマーカス(マーティン・ロレンス)が、キューバ・マフィアのドラッグビジネスを殲滅するストーリーには何の新規さもなく、かと言って脚本の工夫もなく、ただとんでもなく増幅されたカーチェイスと銃撃戦あるのみである。当然批評家諸氏の評価も例外なくクソミソ。だがフリーウェイを使ったカーチェイスの迫力は圧倒的で、この夏の「TheMatrix: Reloaded」、「2 Fast 2 Furious」、「T3」のそれを子供だましに見せてしまうほどなので、これだけでも観る価値がある(これ以上のカーチェイスは、おそらく'81年の「マッドマックス2」まで遡らねばお目にかかれないのではないか)。また直情型でアクションの切れるウィル・スミスと、神経質で笑いを一身に受けるマーティン・ロレンスのコンビも絶妙で、KKKの儀式に侵入する冒頭シーンから、キューバに舞台を移して展開する大銃撃戦までお気楽に楽しめる。低俗と言ってけなすのは簡単だが、世の中ブラッカイマーやベイのような不必要悪があってもいい。
(オフィシャルサイト: http://Showtimes.SonyPictures.com)
4. 「Seabiscuit」 A
(出演: トビー・マグワイヤ、ジェフ・ブリッジス、クリス・クーパー、エリザベス・バンクス、ウィリアム・H・メイシー、ゲーリー・スティーヴンス)
この夏心からの感動を運んでくれた、実話に基づいた人間ドラマ/スポーツドラマの傑作。舞台は1930年代、大恐慌下のアメリカ。金融恐慌で財産を、事故で1人息子を失った実業家チャールズ・ハワード(ジェフ・ブリッジス)、老いと頑固さで職のない生まれながらの調教師トム・スミス(クリス・クーパー)、そしていつまでたってもどん底の騎手生活から這い上がれないレッド・ポラード(トビー・マグワイヤ)。この失意の3人が、小さいながらも高いポテンシャルを秘めた競走馬Seabiscuitを通じて知り合った時、男たちの再生のドラマが幕を開ける。ひと通りの成功物語が語られる前半だけでも相当なレベルだが、後半は更に波乱万丈のストーリーが怒涛の疾走感を持って展開し、心に染み渡るエンディングまで一気に突き進む。このストーリー展開の妙、ど迫力のレースシーン、魅力的なキャラクター達、監督兼脚本のゲーリー・ロスによる手綱さばきは見事としか言いようがない。そして主演3人の演技は正に圧巻で、不屈のレッドを演じるトビー・マグワイヤは「Spider-Man」以前の名演技を思い起こさせ、昨年ついに大化けしたクリス・クーパーの渋さはただ事ではなく、度量のでかいハワードを演じるジェフ・ブリッジスと来た日には、生涯最高の演技ではないか。実際この3人はちょっと甲乙つけ難く、作品賞、監督賞、脚本賞と共に、来年のオスカーレースに絡んでくることはまず間違いない。更にひょうきんなラジオアナウンサー役のウィリアム・H・メイシー、殿堂入り騎手のゲーリー・スティーヴンスが演じるレッドのライバル、ジョージ・ウルフの存在感も忘れ難い。心を揺さぶる本当に面白い映画で、アメリカ映画の良心を見る思いがする。こういう作品に巡り会えるから映画は止められないのだ。
(オフィシャルサイト: http://www.seabiscuitmovie.com)
5. 「Lara Croft Tomb Raider: The Cradle of Life」 B-
(出演: アンジェリーナ・ジョリー、ジェラード・バトラー、監督: ヤン・デ・ボン)
アンジェリーナ・ジョリーは嫌いなのだが、この女性版インディ・ジョーンズの「Tomb Raider」シリーズは観ることにしている。元々演技は上手な上に(一応オスカー女優だ)、アクションは切れるし、セクシーで、格好いい。今回は元恋人(ラッセル・クロウ似のジェラード・バトラー)とチームを組んで、ギリシャ、カザフスタン、上海、香港、ケニアを舞台に、究極の人類抹殺兵器「パンドラの箱」の謎を追って大冒険を繰り広げる。前半から中盤にかけては「Twister」のヤン・デ・ボンによる演出が冴え、ジェットコースターのようなアクションで飽きさせない。しかし後半の謎解きになるとアクションが途切れてスピード感が失速する上に、不要なCGによるモンスターの登場や退屈な会話が続いて興醒めする。悪役が弱くて魅力が全くないのも減点だ。ビデオゲームの原案は知らないが、ちょっと勿体無かった。
(オフィシャルサイト: http://TombRaiderMovie.com)
6. 「Gigli」 C
(出演: ベン・アフレック、ジェニファー・ロペス、ジャスティン・バーサ、アル・パチーノ、クリストファー・ウォーケン)
キャストは一見豪華だが、映画館から出ると「さて私は一体何を観たのだろう?」と真面目に考えさせられてしまう困った作品。ベン・アフレックが演じる、タイトルロールでチンピラのジーリ(Gigliをこう発音する)は、兄貴分に命じられて連邦検察官の知恵遅れの弟ブライアン(ジャスティン・バーサ)を誘拐する。そこに現れるのが、ジーリの見張り役として派遣される美貌のレズビアン、リッキ−(ジェニファー・ロペス)。ストーリーは、リッキーの気を引こうと絶望的な努力をするジーリのおかしさと、ジーリとブライアンの「レインマン」的関係が描かれるが、一向におかしくなく、感動もなく、かと言って誘拐犯の緊張感もない。脚本に主題がないかのようで、しかも起承転結というものが完全に抜け落ちているのだ。クリストファー・ウォーケンとアル・パチーノが各々ワンシーン登場するが、これも機能していない。ジェニファー・ロペスは魅力的だが、この程度なら彼女のミュージック・ビデオの方が良い。結局のところ、今ハリウッドで2番目に熱いカップルのアフレックとロペス(第1位はデミ・ムーアとアシュトン・カッチャー)によるロマコメ――としか売りようがないだろうが、デートムービーとしても薦められないほとんど仮死状態の作品。
(オフィシャルサイト: http://www.Showtimes.SonyPictures.com)
7. 「American Wedding」 B+
(出演: ジェイソン・ビッグス、アリソン・ハニガン、ショーン・ウィリアム・スコット、ジャニアリー・ジョーンズ、トマス・イアン・ニコラス、ユージン・レヴィ)
「……だがこのシリーズが下品でナンセンスだけの学園ものと一線を画すのは、根底に流れる主人公たちの純真さと良心だ。彼らはみな優しく、この映画も優しい」これは一昨年の「American Pie 2」(B+)のレヴューだが、本作もこの表現がそっくり当てはまり、主人公たちの愛、友情、そしてSEXへの飽くなき追求が活写される。今回はクリス・クレイン、タラ・リード、ミーナ・スバリらレギュラーが何人か抜けたものの、ジム(ジェイソン・ビッグス)のミッシェル(アリソン・ハニガン)への仰天プロポーズから、ウェディング・パーティーまでの数週間の大騒動が楽しめる。特にショーン・ウィリアム・スコットが怪演するパワーアップしたスティフラーのおかしさは尋常ではなく、ミッシェルの両親との夕食会で始まってしまうバチェラー・パーティー、犬に食べられてしまった結婚指輪を取り戻すシークエンス、更にジムのおばあちゃんとのセックス騒動など、大爆笑シーンすべてにスティフラーが絡む。すっかりショーン・ウィリアム・スコットのファンになってしまった。本作をもってこのシリーズは最終回になるだろうが、そう思うとちょっと寂しい。DVDで揃えておこうっと。
(オフィシャルサイト: http://www.ameircanweddingmovie.com)