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Mr.DOBASHI no テキサス映画通信

”Houston, we have a problem!(55)

Dobashi Shuichiro 土橋 秀一郎


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何とアンディ・ペティットに続いて、300勝投手のロジャー・クレメンスまでが、今シーズンAstrosのために投げることになった。2人とも元Yankeesのエース格というだけでなく、Houston nativeだ。クレメンスに到っては引退を撤回しての契約で、現在シーズンチケットが飛ぶように売れている。AstrosはWorld Series出場という悲願達成に大きく踏み出し、もはや来月当地で開催されるSuper Bowlどころではない。
2004年はAstrosの年、"It's our turn"なのである。

さて、2003年度のアメリカ映画を総括する「第5回 輝けTexas Movie Awards!」を発表する。2002年はデニス・クエイド(「The Rookie」、「Far from Heaven」)の年であったが、昨年はショーン・ペン(「Mystic River」、「21 Grams」)が席巻した年であった。女優ではニコル・キッドマンの君臨(「Human Stain」、「Cold Mountain」)が続き、ナオミ・ワッツ(「21 Grams」)の躍進が目立った。またクエンティン・タランティーノが「Kill Bill」(「怨み節」付き)で6年ぶりに復活し、「The Lord of the Rings」3部作が堂々完結、そしてクリント・イーストウッドが、オーソドックスな演出スタイルで傑作「Mystic River」を物にした。また昨年は、ハリウッド映画がインディペンデント作品群から覇権を取り戻した年でもあった。

選考に関しては、例年通り最激戦区の助演男優賞で苦労した。今回は最優秀TVドラマ賞を除いてノミニーを5作品又は5人としたため、クリス・クーパー(「Seabiscuit」)、ロバート・デュバル(「Open Range」)、ベニシオ・デル・トロ(「21 Grams」)、ウィリアム・H・メイシー(「Seabiscuit」)、ケビン・ベーコン(「Mystic River」)、そして渡辺謙(「The Last Samurai」)を落とさざるを得なかった。


第5回 輝け、Texas Movie Awards!」

*最優秀作品賞&ベストテン

最優秀作品賞  「Mystic River」
第2位       「Seabiscuit」
第3位       「The Lord of the Rings: The Return of the King」
第4位       「Finding Nemo」
第5位       「The School of Rock」
第6位       「Cold Mountain」
第7位       「Kill Bill: Volume 1」
第8位       「The Last Samurai」
第9位       「Open Range」
第10位       「The Cooler」

*最優秀監督賞

クリント・イーストウッド(「Mystic River」)

(その他の候補)
ピーター・ジャクソン(「The Lord of the Rings: The Return of the King」)、クエンティン・タランティーノ(「Kill Bill: Volume 1」)、ゲイリー・ロス(「Seabiscuit」)、エドワード・ズウィック(「The Last Samurai」)

*最優秀主演男優賞

ショーン・ペン(「Mystic River」)

(その他の候補)
ジョニー・デップ(「Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl」)、ベン・キングスレー(「House of Sand and Fog」)、ウィリアム・H・メイシー(「The Cooler」)、ジュード・ロウ(「Cold Mountain」)

*最優秀主演女優賞

ユマ・サーマン(「Kill Bill: Volume 1」)

(その他の候補)
ニコル・キッドマン(「Cold Mountain」)、ジェニファー・コネリー(「House ofSand and Fog」)、ナオミ・ワッツ(「21 Grams」)、ジェイミー・リー・カーティス(「Freaky Friday」)

*最優秀助演男優賞

ティム・ロビンス(「Mystic River」)

(その他の候補)
ジェフ・ブリッジス(「Seabiscuit」)、アレック・ボールドウィン(「The Cooler」)、ショーン・アスティン(「The Lord of the Rings: The Return of the King」)、ポール・ベタニー(「Master and Commander: Far Side of the World」)

*最優秀助演女優賞

レニー・ゼルウィガー(「Cold Mountain」)

(その他の候補)
メリッサ・レオ(「21 Grams」)、マリア・ベロ(「The Cooler」)、アネット・ベニング(「Open Range」)、クイーン・ラティファ(「Bringing Down the House」)

*最優秀脚本賞

「Mystic River」

(その他の候補)
「Lost in Translation」、「Big Fish」、「Bad Santa」、「The Cooler」

*最優秀主題歌賞

"Into the West" performed by Annie Lenox(「The Lord of the Rings: The Return of the King」)

*ワースト映画賞

「Gigli」

*最優秀TVドラマ賞

「24」

(その他の候補)
「CSI: Crime Scene Investigation」、「Line of Fire」、「The Shields」、「Without a Trace」、「CSI: Miami」、「Law & Order」


以下は2003年作品の残り3本のレヴュー。


1.  「House of Sand and Fog」  B+
(出演: ジェニファー・コネリー、ベン・キングスレー、ロン・エルダード)

「Mystic River」、「21 Grams」に続いてまたまた暗くて重いドラマの佳作が登場。夫に去られ、父親の残してくれた海辺の家で1人暮らしをしていたキャシィ(ジェニファー・コネリー)は、ある日突然税金の未払いを理由にその家を差し押さえられる。後で郡当局のミスであったことが判明するが、家は競売にかけられ、イラン人移民のベラーニ(ベン・キングスレー)が落札する。ベラーニが郡の買い戻し要求を拒否したために、キャシィは彼女を気遣う保安官補(「ER」のロン・エルダード)と共に、自分の家を強引に取り戻そうとする。「何だ、家の取り合いの話か」と言うなかれ、加害者/被害者の立場が入れ替わりながら進行する展開が極めて斬新かつスリリングで、物語は終盤の悲劇に向かってばく進する。クーデターで祖国を追われ、かつての栄華を夢見る筋金入りの元空軍大佐というベラーニのキャラクターが秀逸で、演じるベン・キングスレーが圧巻のひと言。ジェニファー・コネリーも熱演だが、キングスレーのオーラが凄い。既にゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネートされたキングスレーだが、彼がオスカー・ノミネーションも受けたら、ショーン・ペン(「Mystic River」)の最大のライバルになるだろう。
(オフィシャルサイト: http://www.dreamworks.com/houseofsandandfog


2.  「Cold Mountain」  A-
(出演: ジュード・ロウ、ニコル・キッドマン、レニー・ゼルウィガー、ドナルド・サザーランド、ナタリー・ポートマン、フィリップ・シーモア・ホフマン、監督&脚本: アンソニー・ミンゲラ)

「The English Patient」のアンソニー・ミンゲラが、南北戦争を舞台に描く壮大なメロドラマ。アパラチア山脈のCold Mountainで出会った、農夫のインマン(ジュード・ロウ)と裕福な家の娘アイダ(ニコル・キッドマン)は、お互いを良く知る間もなく戦争によって引き裂かれる。従軍し負傷したインマンは、アイダの元に帰るために徒歩で遥かなる故郷を目指す。一方アイダは父親(ドナルド・サザーランド)の突然死によって生活の当てがなくなり、自力でのサバイバルを余儀なくされる。この2人の主役はどちらも魅せる。次第にしたたかに、タフになっていく南軍兵士を演じるジュード・ロウは格好良く、さらにニコル・キッドマンの美しさときたらどうだ、これ以上華のある女優は逆立ちしたって見つからないぞ(それにオスカー受賞後もきっちりと脱ぐところは脱いでいるのがいい)。しかもこの2人以上に凄いのが、アイダにサバイバル教育を与える使用人ルビーを演じるレニー・ゼルウィガーで、彼女と行方不明だった父親との再会シーンは胸に迫る。2時間30分の物語は、インマンとアイダの再会までの苦難の道程を交互に描くが、ラブ・ストーリーもここまで正攻法で攻められると観ていて屈託がなく、むしろ気持ちがいい。「The English Patient」よりずっととっつきやすいので、デートムービーとしてもお勧めだ。
(オフィシャルサイト: http://www.miramaxscreening.com


3.  「The Cooler」  A-
(出演: ウィリアム・H・メイシー、マリア・ベロ、アレック・ボールドウィン)

ラスベガスを舞台に、現代のおとぎ話をシリアスドラマに仕立てたクリスマス映画の
スリーパー。ウィリアム・H・メイシー(「Seabiscuit」)演じるバーニーは、生涯ツキから見放された見るからにさえない男で、昔の借金を返済するために、シェリー(アレック・ボールドウィン)が経営するカジノで"クーラー"をしている。バーニーがツキまくっている客に近づくだけで、彼の不運が客に伝染してしまうので、ホットな客に対抗する"クーラー"という訳。ストーリーは、バーニーとウェイトレスのナタリー(「ER」のマリア・ベロ)とのラブ・ストーリーに、借金完済が間近のバーニーを手放したくないシェリーの策略が交錯する。優しいルーザーのバーニー、薄幸のウェイトレスのナタリー、それに冷酷非情の剛腕社長シェリーの各キャラクターが見事に描き分けられ、とりわけアレック・ボールドゥインの迫力が凄い。ウィリアム・H・メイシーが呼ぶ悲しい笑いを作品の表に出しながら、絢爛豪華なラスベガスの底辺で生きる男女の寂しさを浮き立たせる演出は粋で、エンディングも鮮やかだ。
(オフィシャルサイト: http://www.thecoolermovie.com


次回は第76回Academy Awardsの感想と、2004年度作品の紹介に入る。今年も宜しく。