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Mr.DOBASHI no テキサス映画通信

”Houston, we have a problem!(59)

Dobashi Shuichiro 土橋 秀一郎


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5月6日に放映された「Friends」の最終回は、30秒のスポットCMに2百万ドルの値がついた。スーパーボウル並みだ。全米の視聴者は5200万世帯。これはズバ抜けた数字ではあるが、それでも「Seinfeld」が最終回(’98年9月)に記録した7600万世帯には遠く及ばない。4月は過去最多のエミー賞を獲得した「Frasier」も終了した。
タイトルロールを演じたケルシー・グラマーのギャラは史上最高で、1エピソードあたり170万ドルだった。コメディシーンでは当面「Everybody Loves Raymond」と「Will and Grace」の天下が続きそうだ。「Friends」のマット・ルブランクは、引き続きスピンオフの「Joey」に主演予定。元々「Cheers」からのスピンオフだった「Frasier」のように大ヒットとなるか、ちょっと注目している。尚、この秋からはいよいよ「Seinfeld」がDVD化されるとのことで、これは嬉しいニュースだ。

ドラマシリーズの方は、「24」の第3シーズンが終了した。後半の展開はテンションを上げることだけに終始して説得力に欠け、このシリーズはここまでかなという感じ。でも第2シーズンは歴史に残る迫力と臨場感で、火曜の夜が楽しみだった。FOXに感謝。

さて、今面白いのはNBCの「Law & Order」と、CBSの「CSI」による全面対決だ。’90年にスタートした老舗の「Law & Order」は、既に第14シーズンに入っているが、その間’99年に「Law & Order: SVU (Special Victims Unit)」を、’01年に「Law &Order:CI (Criminal Intent)」を続けざまに成功させた。一方、日本でも放映されているラスベガスを舞台にした「CSI: Crime Scene Investigation」は、元々は人気リアリティー・ショー「Survivor」の後番組だったことから人気に火が点き、今や視聴率トップの常連だ。一昨年からは「CSI:Miami」をスタートさせたが、「NYPD Blue」を降りてから低迷していたデヴィッド・カルーソを起用して、これも大成功。「Law & Order」のような志の高さはないが、とっつき易い知的エンターテインメントだ。
で、更に面白いのはこれから。「CSI」プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーは、この秋から第3弾「CSI:New York」をスタートさせる。「Law & Order」のお膝元であるNYを攻め込むわけだ。主演は嬉しいことに「Forrest Gump」、「Apollo 13」のゲイリー・シニーズで、共演が「Providence」のメリナ・カナカレデスという豪華キャスト。これに対し「Law & Order」のクリエーターであるディック・ウルフは、第4弾「Law & Order: Trial by Jury」で対抗。主演にはオリジナル「Law & Order」の”顔”であるジェリー・オーバックを持って来るという気合の入れようで、楽しみがまた増えた。

コメディにしろドラマにしろ、あるいはリアリティ・ショーにしろ、こちらでは同じようなテーマの番組が、常にしのぎを削っている。民放、シンジケート系、ケーブル系が互いに競うからだ。その結果より質の高い番組が生まれると同時に、他局の物真似番組も頻出する。駄目なものは2週間で打ち切られ、競争の激しさはとても日本の比ではない。たかがテレビ番組といっても、面白いもの、良いものを選別する目と勘がないと、とてもついて行けないのである。


以下はサマー・ムービー第1弾7本のレヴューだ。



1.  「Van Helsing」  B+
(出演: ヒュー・ジャックマン、ケイト・ベッキンセイル、デヴィッド・ウェンハム、リチャード・ロクスバーグ、監督: スティーブン・ソマーズ)

2004年サマー・ムービーの口火を切るのは、「The Mummy」シリーズのスティーブン・ソマーズ監督によるアクション・ホラー巨編。ピーター・カッシングが演じて有名なこのタイトル・ロールに、「X-Men」のウォルヴェリンことヒュー・ジャックマンが扮する。ヴァン・ヘルシングはバチカンに仕えるモンスター・ハンターで、トランシルヴァニアで悪だくみをするドラキュラ伯爵(リチャード・ロクスバーグ)を殲滅せよとの密命を受ける(この設定は次期ジェームズ・ボンドと噂されるヒュー・ジャックマンを意識してか、007のパロディーそのもの)。ヘルシングは”Q”のような秘密兵器作りの天才カール(デヴィッド・ウェンハム)と、ヴァンパイア・スレイヤーのアンナ(「Underworld」のケイト・ベッキンセイル!)をお供に従えて、ドラキュラ城を目指す。2億ドルとも言われる巨額の予算をふんだんに使ったSFXとノンストップ・アクションは、観客に考える暇を与えないローラーコースターライドだ。また、ドラキュラ、狼男、フランケンシュタインの怪物、ハイド氏と、かつての英国ハマーフィルムの怪物たちがスクリーンに勢揃いする光景も一見に価する。評論家諸氏からは「最低」の評価を次々と与えられているが、頭を空っぽにして楽しむエンターテインメントとしては一級品だ。

ヒュー・ジャックマンは現在ブロードウェイ・ミュージカル「The Boy from Oz」に
出演中だが、今年のトニー賞で司会、パフォーマンスを行い、最後はミュージカル部門の主演男優賞を取ってしまった。アクション、ロマコメに加えて歌って踊れるマルチアクターとして、今ハリウッドで最もホットな存在だ。
(オフィシャルサイト: http://www.vanhelsing.net


2.  「Mickey」  A-
(出演: ハリー・コニック・Jr.、ショーン・サリナス、ミッシェル・ジョンソン、脚本: ジョン・グリシャム、監督: ヒュー・ウィルソン)

これはサマー・ムービーとは無縁の低予算映画だが、ベストセラー作家ジョン・グリシャム(「The Firm」、「Runaway Jury」)の脚本による感動の野球映画。ハリー・コニック・Jr.扮するトリップ・スペンサーは、生活費を捻出するために脱税をして国税庁から追われる身。刑務所暮らしを恐れるトリップは、息子のデレックを連れてラスベガスに逃れ、そこで2人は身分を偽って新しい生活を始める。ところが13才の天才野球少年であるデレックが、偽の出生証明書にあわせて12才のミッキー・ライアンとしてリトル・リーグに出場したことから話がややこしくなる(リトル・リーグは12才が上限)。チームが全米ファイナルまで勝ち進んだことから、ミッキーの正体が国税庁にバレてしまうのだ。とにかくタイトルロールのミッキーを演じるショーン・サリナスがクールで、その野球センスが抜群にいい。チームの仲間も良く描き分けられている上に、ゲームのシーンは圧倒的な臨場感。とりわけワールド・シリーズで激突するキューバ戦は、手に汗握る面白さ。リトル・リーグを知り尽くしたグリシャムの脚本は、良く練られている上にエンディングも実に爽快で、野球映画の最高位に置かれるべき作品だ。本作の企画にはスポンサーがつかず、グリシャムと彼の隣人の映画監督ヒュー・ウィルソン(「First Wives Club」)が、それぞれ約6百万ドルの私財を投じて製作・配給まで行い、ようやく限定公開までこぎつけた。DVDが出たら必ずレンタルすること。
(オフィシャルサイト: http://www.mickeythemovie.com


3.  「Troy」  B+
(出演: ブラッド・ピット、エリック・バナ、オーランド・ブルーム、ダイアン・クルーガー、ブライアン・コックス、ピーター・オトゥール、ショーン・ビーン、監督: ウルフガング・ピーターゼン)

「The Perfect Storm」のウルフガング・ピーターゼンが、ギリシャ-トロイ戦争を映像化した2時間40分の一大スペクタクル巨編。トロイのプリンスであるパリス(「LOtr」のオーランド・ブルーム)が、スパルタ国王の美貌の妻ヘレン(ダイアン・クルーガー)を寝取った事から両国が大戦争に突入する。スパルタの切り札がブラッド・ピット演じる無敵の戦士アキレスで、それを迎え撃つのがパリスの兄ヘクター(「The Hulk」のエリック・バナ)。ブラッド・ピットは神の子というよりも、ステロイドで筋肉をつけた「Fight Club」のタイラーという感じで重みはないが、その戦闘スタイルはシャープでひたすら格好いい。一方予想外に良かったのがヘクターを演じたエリック・バナ。次期トロイ国王としての貫禄、戦士としての存在感とも充分で申し分ない。この2人の一騎討ちは、本作のハイライトだ。ストーリーが神話部分を無視していることから低い評価を付ける評論家も少なくないが、逆に単純で分かり易く、テンポが良いので最後まで飽きさせない。サム・ペキンパーの言葉を借りて言えば、「娯楽としてはいいじゃないか」ということだ。
(オフィシャルサイト: http://www.troymovie.com


4.  「Shrek 2」  B+
(声の出演: マイク・マイヤーズ、エディ・マーフィー、キャメロン・ディアズ、アントニオ・バンデラス、ジェニファー・サンダース、ジョン・クリーズ、ジュリー・アンドリュース、ルパート・エベレット)

既にオリジナルの米国興行成績(2億6700万ドル)を超えてしまった3年ぶりの続編は、質的にはオリジナルには及ばないものの、十分楽しめるエンターテインメントに仕上がった。前作でめでたく夫婦となったシュレック(マイク・マイヤーズ)とフィオーナ(キャメロン・ディアズ)は、ドンキー(エディ・マーフィー)を伴ってフィオーナの両親が住むファー・ファー・アウェイ王国に赴く。だがそこではフィオーナの名付け親(英国製爆笑コメディ「Absolutely Fabulous」のジェニファー・サンダース)が、自分の息子であるプリンス・チャーミング(ルパート・エベレット)をフィオーナと結婚させようと画策していた。続編ゆえの斬新さに乏しいのは致し方ないとしても、今回は全体のトーンが映画のパロディに終始した印象で、”おとぎ話の世界で炸裂する現代的なギャグ”というオリジナリティが余り感じられない点には不満が残る。とは言え今回の新キャラ、アントニオ・バンデラスによる猫の暗殺者プス(”Puss”)がかなり可笑しいし、当然エディ・マーフィーのマシンガン・トークも健在だ。既に第3作と第4作の製作は決定しているので、ここで降りる手はない。
DVDになるのを待つなんて言わないで、きちんと映画館に足を運ぼう。
(オフィシャルサイト: http://www.shrek2.com


5.  「The Day After Tomorrow」  B+
(出演: デニス・クエイド、ジェイク・ギレンホール、セラ・ワード、エミー・ロサム、監督: ローランド・エメリッヒ)

「Independence Day」、「Godzilla」の破壊・災害愛好症監督ローランド・エメリッヒの放つ、大仕掛けのパニック映画。温暖化によって溶け出した大量の南極の氷が海流のパターンを変えた結果、地球の北半分に1万年ぶりの氷河期が訪れるという実に夏向きのストーリー(この理屈は良く分からないけど)。そしてこの異変を予告していた気象学者のジャック(デニス・クエイド)が、マンハッタンの公立図書館で生き残りを賭ける息子(「Moonlight Mile」のジェイク・ギレンホール)の救出に向かう、というのがサイドストーリー。想像はつくと思うが、エイリアンとゴジラを自然の脅威に換えただけで、人間ドラマや環境保護へのメッセージの部分は付け足しに過ぎない。また、氷づけの船のドアが簡単に開いたり、凍った手擦りに平気で素手で触ったりと細部の描写にも手抜きが目立つ。しかしSFXによるトルネードやマンハッタンの大洪水シーンは圧巻で、手堅く2時間にまとめられていて飽きさせない。エンターテインメントとしては立派に合格点を付けられる。
(オフィシャルサイト: http://www.thedayaftertomorrow.com


6.  「Raising Helen」  B
(出演: ケイト・ハドソン、ジョアン・キューザック、ジョン・コーベット、ヘクター・エリゾンド、監督: ゲイリー・マーシャル)

実生活でも母親になったばかりのケイト・ハドソン主演による子育てドラマ。ヘレン(ケイト・ハドソン)はマンハッタンのモデル・エージェントに勤めるやり手のキャリア・ウーマンで、3人姉妹の末っ子。ある日年長の姉夫婦が交通事故で死亡し、なぜか姉の遺言により残された3人の子供たちの後見人に、堅実な次女(「School of Rock」のジョアン・キューザック)ではなくヘレンが指定される。ここからヘレンの災難が始まるのだが、コメディタッチとは言え子育てをメインに据えたストーリーの割りには、それほど困難さが伝わってこない。一方サイドストーリーとして描かれる、ヘレンと子供たちの通う学校の校長(「My Big Fat Greek Wedding」のジョン・コーベット)とのロマンスは結構ほのぼのしていて楽しい。監督のゲイリー・マーシャル(「Pretty Woman」)の意図が脚本に反映されなかったようで、結局ケイト・ハドソンの魅力に頼っただけのロマコメの凡作という印象しか残らなかった。
(オフィシャルサイト: http://raising-helen.com


7.  「Harry Potter and the Prisoner of Azkaban」  A-
(出演: ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、ゲイリー・オールドマン、デヴィッド・シューリス、エマ・トンプソン、アラン・リックマン、監督: アルフォンソ・キュアロン)

2年ぶりのシリーズ第3作は、かつてハリーの父親を裏切った脱獄囚シリウス・ブラックが登場。ハリーは父の友人で、新しくホグワーツ校の対黒魔術教師となったルーピン(デヴィッド・シューリス)の助けを借りて、来たるべきシリウス・ブラックとの対決に備える。このシリーズの強みは常に最新鋭のSFXの恩恵を受けられることと(個人的には「LOtr」の特撮よりずっと良く出来ていると思う)、原作の基本ストーリーがしっかりしている点。過去2作の監督クリス・コロンバスはその原作にひたすら忠実な演出で一応の成功を見た。だが今回バトンタッチされたアルフォンソ・キュアロン(「Y Tu Mama Tambien」)は、ハリーの心象に踏み込んだような奥行きのあるショットを多用し、より大人も楽しめる作品に仕上げて見せた。ジョージ・ルーカスなら「Harry Potter and His Dark Side of the Force」とでも呼ぶのではないか。キャストは、故リチャード・ハリスに代わってダンブルドア校長に扮するマイケル・ガンボンに魅力がないのが難点だが、シリウス・ブラックを演じるゲイリー・オールドマンはいつもながら危なげなく、しかも見ていて楽しい。ハリー、ロン、ハーマイオニーを演じる3人は本作で最後となるだろうが、シリーズ中最高の出来栄えで、有終の美を飾った。
(オフィシャルサイト: http://www.harrypotter.com


次回はニコール・キッドマン主演の「The Stepford Wives」、トム・ハンクス主演、S・スピルバーグ監督の「The Terminal」、「Spider-Man 2」を含む、サマームービー第2弾だ。