***City of Houston***
日米野球でロジャー・クレメンスがロード用のユニフォームを着ていたおかげで、ヒューストンの知名度がぐっとアップした。ヒューストンは今年スーパーボウルとMLBオールスター・ゲームをホストしたが、2006年にはNBAオールスター・ゲームを開催することが決定した。NYやLAのように都会過ぎず、かと言ってアイオワのように田舎過ぎて退屈することもない、住むには良い街です。ノーラン・ライアンやクレメンスの自宅もある。
***「Lost」***
秋の新番組の中で断トツに面白いのが「Alias」のJ.J.エイブラムス製作による「Lost」(ABC)。航空機の墜落事故で太平洋の孤島に生き残った人々の恐怖を描く究極のサバイバル・ドラマだ。主演は「Party of Five」で頼れる長男を演じていたマシュー・フォックスと新星のエヴァンジェリン・リリー(彼女は次の「Superman」ムービーでロイス・レイン役が内定しているとか)。この番組は、外科医(フォックス)、ロックスター(「LOtr」でホビットの1人を演じたドミニク・モナハン)、警官、元イラク高官、妊婦、謎の東洋人夫婦など、多彩なキャラクターを1人1人かなり頑張って掘り下げている所がまず偉い。しかもそれ以外にも得体の知れない怪物や、まったく別の生き残りグループの存在が暗示されたり、サービス満点。常に次回への興味をつなぐ手法は「24」に通じるものがある。当分は楽しめそうだ。
***「Faithful」***
今、久し振りに面白い本を読んでいる。スティーブン・キングの新作――といってもホラーではなくこれが何と野球の本。サブタイトルは”Two diehard Boston Red Sox fans chronicle the historic 2004 season”。キングと友人の作家ステュワート・オナンとの、言わばレッドソックス狂同士の交換日記だ。野球ジャンキーですね、この人たちは。春のキャンプやオープン戦までカバーしている。私も見習わなくては。まだ読みかけなのだが野球ファンなら楽しめる箇所を1つ紹介します。
March 9th:
That night while we’re watching TV, Dunkin’ Donuts runs a commercial starring Curt Schilling. Schilling sits by his locker, eating a breakfast sandwich and listening to a language tape teaching him Bostonspeak. “Wicked hahd,” he repeats between bites. “Pahk. Play wicked hahd when I go to the pahk.” For several years now the spokesperson for Dunkin’ Donuts has been Nomar. Another sign he’s leaving? (キングの読み通り、スター選手のノーマー・ガルシアパーラは4ヶ月後の7月にシカゴ・カブスへトレードされた。)
以下はHoliday Season Movie10本のレヴュー。
1. 「Alfie」 B+
(出演: ジュード・ロウ、スーザン・サランドン、マリサ・トメイ、ニア・ロング、オマー・エプス、シェナ・ミラー、ジェーン・クラコウスキー)
マイケル・ケインが主演した’66年作品を、ライトタッチに仕上げたリメイク。ジュード・ロウ演じるアルフィーは、リムジンの運転手でマンハッタンきってのプレイボーイ。絶対に特定の相手にのめり込まず、次から次へ魅力的な女性を乗り換えていく。だが親友の恋人(ニア・ロング)を妊娠させてしまってから、次第に人生のしっぺ返しを受け始める。本作は主人公(アルフィー)がカメラに向かって話しかける形式を取っていて、前半はロマコメ調に、後半は若干シリアスに展開するが、いずれもジュード・ロウの魅力と演技力が際立っている。一方アルフィーにモノにされる女性たちも本作の大きな魅力で、シングル・マザーのマリサ・トメイ、欲求不満の人妻役のジェーン・クラコウスキー(「The Practice」)、有閑マダムのスーザン・サランドンと、目移りしてしまう。深みはないがセクシーでスタイリッシュ、「Sex and the City」を男が創るとこういう作品になるのではないか。
(オフィシャルサイト: http://www.alfiemovie.com)
2. 「The Incredibles」 A
(声の出演: クレイグ・T・ネルソン、ホリー・ハンター、サミュエル・L・ジャクソン、監督兼脚本: ブラッド・バード)
‘99年の感動アニメ「The Iron Giant」の監督兼脚本家ブラッド・バードが、今度はPixarと組んで放った傑作CG。保険会社に勤めるボブ(「The District」のクレイグ・T・ネルソン)と妻のヘレン(ホリー・ハンター)は、かつてはスパイダーマンのようなスーパーヒーローだったが、現在は一般人に混じって普通の生活をしている(スーパーヒーローは正義の戦いに巻き込まれた被害者達に訴えられて、皆姿を消してしまったといういかにもアメリカらしい設定)。ところが元スーパーヒーローたちが何者かの手によって次々に失踪し始め、ボブも敵の手に落ちてしまう。そこでヘレン、息子のダッシュ、娘のバイオレットがボブの救出に向かう、というのが基本ストーリー。「The Fantastic Four」、「スーパースリー」、「サイボーグ009」のような、それぞれが特異な能力を持つ複数のスーパーヒーロー物をCG化するという発想が秀逸で、CGの強みが最大限に発揮されている。群を抜くスピード感、躍動感、色彩感覚に加えてストーリー、キャラクター設定、ユーモアの質においても完全にDreamWorksのライバル作品「Shark Tale」を凌駕しており、特に後半の戦闘シーンの面白さは圧巻。
今年のオスカー(CG・アニメ部門)はこれで決まり。
(オフィシャルサイト: http://www.theincredibles.com)
3. 「After the Sunset」 B+
(出演: ピアース・ブロスナン、ウッディ・ハレルソン、サルマ・ハヤック、ドン・チードル)
バハマのアトランティス・リゾートを舞台にした、ちょっとしゃれたケイパー・ムービー。世界的な宝石泥棒のマックス(ピアース・ブロスナン)は、恋人のローラ(サルマ・ハヤック)と組んで、FBIエージェントであるスタン(ウッディ・ハレルソン)の鼻先から有名なナポレオン・ダイヤモンドを掠め取る。半年後、アトランティスで休暇を楽しむマックスとローラの前に復讐に燃えるスタンが現われ、ナポレオン・ダイヤモンドの片割れの話を始める。それはアトランティスに停泊中のクルーズ船内に展示中で、マックスに興味のない訳がない。本作はとぼけた味のウッディ・ハレルソンが粋でいい。ピアース・ブロスナンも上手くジェームズ・ボンド臭さを消しているし、サルマ・ハヤックはひたすらセクシー。ストーリーは底が浅く、宝石泥棒のストラテジーにももうひと工夫もふた工夫も欲しいところ。だが、カリブ海の雰囲気と軽いコメディ・タッチが上手くマッチしていて飽きさせない。おまけのB+。
(オフィシャルサイト: http://www.afterthesunset.com)
4. 「National Treasure」 A-
(出演: ニコラス・ケイジ、ダイアン・クルーガー、ジャスティン・バーサ、ショーン・ビーン、ジョン・ボイト、ハーベイ・カイテル)
「Pirates of the Caribbean」で味をしめたジェリー・ブラッカイマーとディズニーが再び組んだスーパー・アドベンチャー。フリーメーソンが永代に渡って守り続けてきた宝物を巡って、トレジャー・ハンターのベン(ニコラス・ケイジ)と手段を選ばない金満家のイアン(「LOtr」のショーン・ビーン)は仲間割れを起こす。宝への唯一の手懸りとなるアメリカの「独立宣言」をイアンの手から守るために、ベンは国立公文書館からオリジナルを先に盗み出す。ストーリーはその後1つの手懸りから次の手懸りへと目まぐるしく展開する。暗号解読などディテールは適当なのだが、追う側と追われる側の創意工夫がテンポ良く描写されているので、最後までまったく飽きさせない。また舞台は南極から始まるが、その後ワシントンDC、フィラデルフィア、マンハッタンとアメリカの歴史的都市で展開する。この舞台設定が意外に「宝探し物」としては新鮮だ。事件に巻き込まれる国立公文書館の安全責任者を演じるダイアン・クルーガー(「Troy」、「Wicker Park」)も大変キュートで、申し分のないエンターテインメントに仕上がっている。唯一の不満はダサいタイトルだ。
(オフィシャルサイト: http://nationaltreasure.com)
5. 「The Polar Express」 B-
(声の出演: トム・ハンクス、監督兼共同脚本: ロバート・ゼメキス)
「Forrest Gump」のコンビ、ロバート・ゼメキスとトム・ハンクスが組んだ子供向けCG。予告編を観るとわれわれの世代は松本零士の「銀河鉄道999」を思い出すが、この列車は夢と勇気のある子供達を乗せて、クリスマスイヴの夜に北極を目指す。登場人物は「LOtr」のゴラム同様に皆実際の俳優がモーション・センサー付きのスーツを着て演技をし、それがCGに加工される方式。トム・ハンクスが車掌を始め5役をこなして芸達者なところを見せてくれるが、動きがぎこちない上に各キャラには魅力がない。また色彩は鮮やかで列車のスピード感も重量感も出ているのだが、頻出するジェットコースターを真似たアクション・シークエンスには飽きてしまう(そもそも列車を走らせるだけで夜空に浮かべなかったのは致命的な失敗に思えるのだが)ピーターパンのクリスマス・バージョンを作るというアイディアは買うが、残念ながら大人をも感動させるパワーはなく、原作の絵本の枠を越えられなかった。「子供だまし」とは言わないが、「お子様向け」とは言わざるを得ず、興行成績で「The Incredibles」に大きく水をあけられたのは、当然と言えば当然か。
(オフィシャルサイト: http://www.polarexpress.com)
6. 「Finding Neverland」 A-
(出演: ジョニー・デップ、ケイト・ウィンスレット、ダスティン・ホフマン、ラダ・ミッチェル、ジュリー・クリスティー)
英国の劇作家J.M.バリーが「ピーター・パン」を創り出すきっかけとなったラブ・ストーリーを描く半伝記映画。スランプに喘ぐバリー(ジョニー・デップ)は、4人の子供を育てる若く美しい未亡人シルビア(ケイト・ウィンスレット)と出会う。妻と気持ちの通じないバリーはシルビアの子供たちとの交流を楽しみ、シルビアとプラトニックな恋を育むうちに、やがて「ピーター・パン」のアイディアを膨らませ始める。ところがシルビアが病床の身となり次第に衰弱して行くに伴って、「ピーター・パン」を完成させることがバリーにとって重要な意味を持ってくる。いかようにも陳腐になりえるストーリーだったが、ジョニー・デップのキャラクターが見事にピーター・パンの原作者にハマった。デップなしでは成立し得なかった、可笑しくも哀しい恋物語なのである。
(オフィシャルサイト: http://www.findingneverland.com)
7. 「Sideways」 A-
(出演: ポール・ジアマッティ、トーマス・ハーデン・チャーチ、ヴァージニア・マドセン、サンドラ・オウ、監督兼共同脚本: アレクサンダー・ペイン)
「Election」、「About Schmidt」のクセ者監督アレクサンダー・ペインによる、カリフォルニアワインをモチーフにした、ちょっと渋くて感動的なバディ・ムービー。作家志望でうだつの上がらない教師のマイルズ(ポール・ジアマッティ)は、親友のプレイボーイで売れない俳優のジャック(トーマス・ハーデン・チャーチ)の結婚式を前に、彼を1週間の「フリーダム旅行」に誘う。ワイン通のマイルズはジャックを連れてカリフォルニアのワインファームをせっせと回るが、ジャックは酒なら何でもいい口だ。ジャックは夜になると女の子を2人分調達しに行くが、実は妻に去られて鬱状態のマイルズを心配している。性格のまったく違う2人のルーザーが互いの友情を確認し、それぞれ人生を見つめ直して行くプロセスがワインと女性を通して淡々と描かれて行く。「American Splendor」のポール・ジアマッティはしみったれのダメ男を演じさせると天下一品。だが本作では、軽いが優しくて可笑しいジャックを演じるトーマス・ハーデン・チャーチの存在感が断然光っている。暗くてじめじめしているが、観終わると何故か元気が出る不思議で愛すべき小品だ。
(オフィシャルサイト: http://www.foxsearchlight.com)
8. 「Alexander」 C+
(出演: コリン・ファレル、アンジェリーナ・ジョリー、バル・キルマー、アンソニー・ホプキンス、クリストファー・プラマー、監督兼共同脚本: オリバー・ストーン)
1億5千万ドルの制作費をかけたが、内容・興行収入とも惨憺たる結果に終わったオリバー・ストーンによる歴史大作。アレクサンダー大王率いるマケドニア軍がペルシアの大軍を制圧し、やがてインドまでその勢力範囲を伸ばす大遠征が豪快に描かれる。しかしタイトルロールを演じるコリン・ファレルは完全に力不足(「Troy」のブラッド・ピットとは対照的だ)、その母親オリンピア役のアンジェリーナ・ジョリーはアンジェリーナ・ジョリーにしか見えない(この母子は顔が濃すぎるぞ)。全編を通してストーリーをまとめ切れなかった印象は拭えず、絢爛豪華な画面の中に映画的な魅力は極めて乏しい。この内容で3時間近くの上映時間は拷問に近いものがあった。
尚、コリン・ファレルは来年公開のテレンス・マリック作品「The New World」で主役を演じるが、予告編を見る限り連続三振となりそうだ。
(オフィシャルサイト: http://www.alexandermovie.com)
9. 「Blade: Trinity」 C-
(出演: ウェズリー・スナイプス、ジェシカ・ビール、ライアン・レイノルズ、ドミニク・パーセル、クリス・クリストファーソン)
マーベルコミック製ヴァンパイア・スレイヤー・シリーズの第3作は、製作も兼ねるウェズリー・スナイプスのB級マスターベーション映画と化した。FBIとの銃撃戦の結果親代わりのウィスラー(クリス・クリストファーソン)を殺され、自らも逮捕されたブレード(ウェズリー・スナイプス)だったが、ウィスラーの娘(ジェシカ・ビール)が率いるゲリラグループに救出される。ウィスラーの復讐に燃えるブレードに対して、ヴァンパイア軍団は超人的能力を持つドラキュラ(ドミニク・パーセル)を復活させてこれを迎え撃つ。ウェズリー・スナイプスのアクションは、「Passenger 57」の頃に比べてすっかり切れ味が鈍くなり、前作、前々作と比べても大きく見劣りする。またビデオゲームのようなアクションシーンとプロレスラーのようなドラキュラも全く興醒めだ。暇な人がレンタルで観るにしても、良く考えてからの方がいい。
(オフィシャルサイト: http://www.bladetrinity.com)
10. 「Ocean’s Twelve」 B-
(出演: ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、キャサリン・ゼータ・ジョーンズ、マット・デイモン、ジュリア・ロバーツ、アンディ・ガルシア、バーニー・マック、カール・ライナー、ドン・チードル、エリオット・グールド、監督: スティーヴン・ソダーバーグ)
スティーヴン・ソダーバーグがリメイクした前作「Ocean's Eleven」はオリジナルをしのぐ痛快作だっが、本作は脚本で手を抜いた結果失敗作に終わった。前作でダニ-・オーシャン(ジョージ・クルーニー)とその一味にカジノの売り上げ千六百万ドルをまんまと奪われたベネディクト(アンディ・ガルシア)は、執念の追跡の後ダニーとその仲間1人1人の居場所を突き止める。ベネディクトに利息付きの全額返済を迫られたダニ-たちはやむなく再度集結し、ヨーロッパに標的を定めて再度襲撃を謀るが…。ソダーバーグのシャープなカメラワークとスタイリッシュな雰囲気は健在、また今回美人刑事役で登場のキャサリン・ゼータ・ジョーンズも逆らい難い魅力だ。だが前作と違ってイレヴンのキャラクターが全く掘り下げられていない上に、全編を通して緻密さが決定的に不足している。それに前作で元恋人のテス(ジュリア・ロバーツ)の心を奪うために全てを賭けたダニーの男気は、一体どこへ行ってしまったのだ?
(オフィシャルサイト: http://www.oceans12.net)
次回はいよいよ「Flight of the Phoenix」、「Spanglish」、「The Aviator」、「Meet the Fockers」、「Million Dollar Baby」(クリント・イーストウッド!)を含む、Christmas movie特集だ!