ここヒューストンでは、学校の新学年が今週スタートした。高校生の息子はぼやきながらも、取得したばかりの自動車免許を携えて、スクールバスの代わりにジープで通学し始めた。
さて、4ヶ月に渡る長丁場も終盤に差しかかり、2005年サマームービーもほぼ出尽くした感がある。これから突入する映画秋の陣、更にThanksgivingとX’masを控えて、とりあえずこれまでのベスト5を発表しておく。
(2005年1月〜8月)
第1位: 「Batman Begins」
第2位: 「Episode III: Revenge of the Sith」
第3位: 「Cinderella Man」
第4位: 「Fever Pitch」
第5位: 「Sin City」
ちょっとミーハー過ぎる選択だが、まあいいか。ちなみにワーストムービーは、ブッちぎりでキアヌ・リーブスの「Constantine」だ。
以下はサマームービーの続き7本のレヴュー。
1. 「Fantastic Four」 B
(出演: ジェシカ・アルバ、マイケル・チクリス、ヨアン・グリフィス、クリス・エヴァンス、ジュリアン・マクマホン)
最近スーパーヒーロー物には食傷気味だが、またまた登場するマーベル・コミック最長シリーズの映画化。宇宙空間で被爆した科学者とその仲間4人は、地球に帰還後DNAに変化をきたし、それぞれMr.Fantastic(ヨアン・グリフィス)、HumanTorch(クリス・エヴァンス)、Invisible Woman(ジェシカ・アルバ)、The Thing(「The Shield」のマイケル・チクリス)としてスーパーヒーローとなる。悪役は、同様の被爆を受けて全身がメタルへ変化した邪悪なドクター・ドゥーム(ジュリアン・マクマホン)。ストーリー、キャラクター、SFX、どれを取ってもチープな感は否めず、なまじサマームービーとして大々的に公開したものだから、「X-Men」や「Spider-Man」と比較してしまい、大きく見劣りする訳だ。まあ製作者には、はなから傑作を作る意図はなかったような内容なので、B級Sci-fiムービーとして割り切って楽しめば良い。
(オフィシャルサイト: http://www.fantasticfourmovie.com)
2. 「Wedding Crashers」 B+
(出演: オーウェン・ウィルソン、ヴィンス・ヴォーン、レイチェル・マクアダムス、クリストファー・ウォーケン、イスラ・フィッシャー)
オーウェン・ウィルソンとヴィンス・ヴォーンのコンビによる、とびきりナンセンスなロマンティック・コメディ。ジョン(オーウェン・ウィルソン)とジェレミー(ヴィンス・ヴォーン)は離婚専門の弁護士で、大の親友。2人の生きがいは、結婚式のシーズンになると身分を偽って他人の披露宴に入り込み、口八丁手八丁で狙いをつけた女の子をベッドに誘うこと。彼らは調子に乗って財務長官(クリストファー・ウォーケン)の娘の結婚式へ乗り込むのだが、そこでジョンが長官のもう一人の娘クレア(「The Notebook」のレイチェル・マクアダムス)に一目ぼれしてしまい、収拾がつかなくなる。この映画、一見ソフトだがしたたかなウィルソンと、「Dodgeball」、「Mr.and Mrs. Smith」と最近すっかりコメディアンとしての地位を確立してしまったヴィンス・ヴォーンの掛け合いが絶妙で、特に前半の2人の”crasher”ぶりには爆笑する。後半はジョンとクレアの平凡なロマコメにトーンが変わってしまうが、最後の最後にお馬鹿な大物コメディアンがカメオ出演し、無理矢理ナンセンス・コメディに引き戻してしまう強引な脚本が凄い。まあ万人向けとは言えないが、「American Pie」シリーズが好きな人にはお薦めだ。
(オフィシャルサイト: http://weddingcrashersmovie.com.)
3. 「Bad News Bears」 C+
(出演: ビリー・ボブ・ソーントン、マーシア・ゲイ・ハーデン、グレッグ・キニア、サミー・クラフト、ジェフ・デイヴィス)
’76年の傑作ベースボール・コメディのお粗末なリメイク。元(瞬間的な)メジャーリーガーでアル中のバターメイカー(ビリー・ボブ・ソーントン)は、小遣い稼ぎにリトルリーグのお荷物チーム、ベアーズの監督を引き受ける。ベアーズの余りの弱小ぶりに困り果てたバターメイカーは、実の娘アマンダ(サミー・クラフト)をエースピッチャーとしてチームに引き入れる。ストーリーはオリジナルに忠実だが、各キャラクターの魅力、子供たちの心理描写、更に野球の素晴らしさを謳うその精神において、オリジナルには遠く及ばない。とりわけ主演のビリー・ボブ・ソーントン(オリジナル:ウォルター・マッソー)、グレッグ・キニア(敵チームの監督役。オリジナル:ビック・モロー)、サミー・クラフト(この娘はNBCでは実際に100キロの速球を投げて見せた。オリジナル:テイタム・オニール)の存在感の弱さは隠しようもない。「School of Rock」の監督(リチャード・リンクレイター)が、「Bad Santa」の主演(ソーントン)・脚本家と組んだこのリメイクだが、ソーントンが「Bad Santa」そのもののキャラクターでこの役にアプローチしたのはちょっとなめ過ぎだ。本作は無視して、この機会にマイケル・リッチー監督のオリジナルを観ることをお薦めする。
(オフィシャルサイト: http://badnewsbearsmovie.com)
4. 「The Island」 B-
(出演: ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン、ショーン・ビーン、スティーブ・ブセミ、ジャイモン・フンスー、監督: マイケル・ベイ)
「The Rock」、「Armageddon」のマイケル・ベイが放つ、壮大なSci-fiアクションの失敗作。深刻な環境汚染が進み、高度に管理される近未来の地球(と言うかアメリカ)。毎日単調な生活を営む住人たちの唯一の希望は、抽選に当たって”The Island”に行き、夢に見た生活をすること。そんな生活に疑問を持つリンカーン(ユアン・マクレガー)は、偶然自分が生きている世界の隠された秘密を知る。そんなおりに、リンカーンのガールフレンド、ジョーダン(スカーレット・ヨハンソン)が、”The Island”に行くことになる。”埋め込まれた偽の記憶”は、SF小説界の巨匠フィリップ・K・ディックの得意とするテーマだが、このオリジナルストーリー自体は悪くない。ユアン・マクレガーも観ていてオビワン・ケノービを全く感じさせず、きちんとリンカーンを演じ分けている。最大(そして唯一)の問題はマイケル・ベイの演出だ。
無意味にスケールアップさせただけのアクションシーンはストーリーから浮いていて、むしろ緊迫感をスポイルしている。ストーリー、キャストはOKだが、監督でコケた一作。
(オフィシャルサイト: http://www.theisland-themovie.com)
5. 「Stealth」 C+
(出演: ジョッシュ・ルーカス、ジェシカ・ビール、ジェイミー・フォックス、サム・シェパード、ジョー・モートン)
予算は一流だがキャストとストーリーは二流、全く集客能力のない脳天気な「Top Gun」のハイパー・バージョン。対テロリスト用に最高度の訓練を受けた空軍のエリート・パイロット・チーム(ジョッシュ・ルーカス、「Blade」のジェシカ・ビール、ジェイミー・フォックス)に、人工知能を備えた無人戦闘機”Eddie”が加えられる。
ところが作戦遂行中に“Eddie”が暴走し始め、パイロット・チームは”Eddie”と戦わざるを得なくなる。ふんだんに使われたSFXは魅せる。だが一応後半ツイストをつけてあるとは言え、ストーリーは大味でチープ。その上頼みのジェイミー・フォックスが脇へ回ったキャストはB級そのもの。ダークサイドへ堕ちたハリウッド大作の典型。
(オフィシャルサイト: http://fearthesky.com)
6. 「Must Love Dogs」 B+
(出演: ダイアン・レイン、ジョン・キューザック、エリザベス・パーキンス、クリストファー・プラマー、ストッカード・チャニング)
「High Fidelity」、「Serendipity」など、ジョン・キューザック主演のロマコメはまずは安心して観ていられる。キューザック演じるのは気の良いボートビルダーのジェイク。一方ダイアン・レインが扮するのは美人で気立ても良いのだが、なぜか男に去られてしまうサラ。なかなか生涯のパートナーに巡り会えない2人は、それぞれの友人、家族が勝手に申し込んだネットによるブラインド・デートで知り合う。取り立てて新鮮なストーリーではないのだが、キューザックとレインの大人の魅力、強力な脇役陣(特にサラの父親役のクリストファー・プラマーがいい)、そして誤解と障害をほど良く織り込みながら、各キャラクターの出入りを巧みに処理した脚本が光る。アメリカ人の開放的で積極的な性格があって初めて成立するストーリーは、日本人には興味深く楽しめる。タイトルはネット登録の際に入れられた、デートを希望する相手の条件の1つで、頻繁に見られる表現。
(オフィシャルサイト: http://www.mustlovedogsmovie.com)
7. 「Four Brothers」 B+
(出演: マーク・ウォルバーグ、タイリース・ギブソン、ギャレット・ヘドランド、アンドレ・ベンジャミン、フィオヌラ・フラナガン、テレンス・ハワード、監督: ジョン・シングルトン)
「Boyz N the Hood」のジョン・シングルトンによる鮮烈なバイオレンス・アクション。タフで心優しい慈善家のイヴリン(フィオヌラ・フラナガン)に育てられた、白人2人(マーク・ウォルバーグとギャレット・ヘドランド)と黒人2人(タイリース・ギブソンとアンドレ・ベンジャミン)のやくざな兄弟が、イヴリンの葬式で久し振りに再会する。4人はイヴリンが、コンビニ強盗に処刑されるように射殺されたことを知り、復讐に乗り出す。だが犯人が単なる町のチンピラではなかった為に、やがて暴力が暴力を呼ぶ展開は加速度的にエスカレートして行く。かつてはコリン・ファレルが尼さんに見えるくらいに筋金入りのワルだったマーク・ウォルバーグは、リーダー格のボビー役にぴったりで、「2 Fast 2 Furious」のタイリース・ギブソンとの息の合った「暴力野郎ぶり」が楽しめる。冬のデトロイトを舞台に、血の復讐に兄弟の絆を絡めて描く、ハリウッド版「男たちの挽歌」―と言ったらほめ過ぎか。
(オフィシャルサイト: http://fourbrothersmovie.com)
次回は、前評判の高いラルフ・フィアンズ、レイチェル・ワイズ共演のスリラー
「The Constant Gardener」を含む秋の陣第1弾をお届けする。