|
***「24」第5シーズン、衝撃の結末で次回へ!***
5月22日に第5シーズンが終了した「24」。内容が書けないのが残念だが、2時間スペシャルのファイナル・エピソードは、感動と興奮の中で幕を閉じると同時に、衝撃的なラストで来シーズンに繋がる。ファースト・エピソードからファイナル・エピソードまで、先を読ませないスピーディな展開と登場人物の魅力で過去最高の視聴率を獲得した今シーズン。これを受けてキーファー・サザーランドは新たにFoxと3年契約を結び、第6シーズンは2007年1月からオンエアーの予定だ。映画化も検討されている上に、"24 Magazine"なるものまで発刊され、当分目が離せないシリーズなのである。
***Superman Returns!***
といっても映画ではなく、野球の話。Houston市民が熱望していたロジャー・クレメンスが、Yankees、Red Sox、Rangersからの誘いを蹴って、5月31日にAstrosと再々契約した。資金不足でフルシーズンの年俸約21億円が払えないので、月割りにして6月中旬から約13億円という変則的な契約だ。今シーズンのAstrosは、15勝6敗という球団史上最高の開幕ダッシュで飛び出したが、6月12日現在で貯金を使い果たして32勝32敗。ナ・リーグ中部地区で既に首位のCardinalsから6ゲーム差、ワイルドカード・レースでも6位に甘んじている。打てない、守れないの現状打破には、選手の心理的効果を含めて、クレメンス獲得による先発ローテーションの立て直しが唯一の方策だ。Astrosの本拠地、Minutes Maid Parkから車で15分の所に自宅を持つ43才のクレメンス。引退をまた1年延ばして、Astros救済のために23年目のシーズンに挑む。実にあっぱれなオヤジなのである。
以下は'06年サマー・ムービー第1弾7本のレヴュー。
1. 「Mission: Impossible III」 A-
(出演: トム・クルーズ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ミシェル・モナハン、ヴィング・レイムス、ジョナサン・リス・マイヤーズ、マギー・Q、ケリー・ラッセル、ローレンス・フィッシュバーン、監督兼共同脚本: J.J.エイブラムズ)
監督に「Alias」、「Lost」のクリエイターであるJ.J.エイブラムズを、悪役に「Capote」のオスカー・ウィナー、フィリップ・シーモア・ホフマン(!)を迎えて贈る、興奮のシリーズ第3弾。今ではフィールドワークを離れているIMFエージェント、イーサン・ホーク(トム・クルーズ)は、任務の途中で殺されたかつての愛弟子(「Felicity」のケリー・ラッセル)のために、国際武器商人ダヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)への復讐を誓うが…。ドイツでの人質奪回シークエンス、白昼のヴァチカンにおけるダヴィアンの誘拐シーン、とどめは上海でのクライマックスと、J.J・エイブラムズを起用した効果は随所に見られ、126分を全く飽きさせない。トム・クルーズは、依然としてアクション・スターのトップの座に君臨していることを証明する。だが圧巻なのはフィリップ・シーモア・ホフマンだ。コミック・リリーフ的でもなく、過剰演技をすることもなく、ただ恐怖とか情感に係わる神経が生まれつき抜け落ちてしまったようなダヴィアンを淡々と演じるその姿には、背筋がぞくぞくしてくる。今年のサマー・ムービーのトップを切る、ハリウッドらしい贅沢なアクション・エンターテインメントだ。
(オフィシャルサイト: http://www.missionimpossible.com)
2. 「Poseidon」 B
(出演: ジョッシュ・ルーカス、カート・ラッセル、リチャード・ドレイファス、アンドレ・ブラウワー、エミー・ロッサム、マイク・ボーゲル、監督: ウォルフガング・ピーターゼン)
70年代パニック映画の先駆けとなった傑作「The Poseidon Adventure」('72)のリメイク。大晦日のパーティーを終えて新年を迎えた大型豪華客船ポセイドン(実際は"ポサイドン"と発音される)は、巨大な高波に巻き込まれて転覆し、上下逆さまの状態で海上を漂い始める。上(つまり船底)へ向かわないと救出される見込みがないと信じるギャンブラー(「The Glory Road」のジョッシュ・ルーカス)、元消防士(カート・ラッセル)、実業家(リチャード・ドレイファス)ら9人は、救出を待たずに独自で運命を切り開いていく(実にアメリカ人らしい)。CGによる特撮技術はオリジナルとは比較にならないほど進歩したし、「Das Boot」(「Uボート」)、「The Perfect Storm」の監督ウォルフガング・ピーターゼンの描く、差し迫る水の恐怖は大迫力だ。だが、オリジナルで忘れ難い演技を見せたジーン・ハックマン(進歩的な牧師)、アーネスト・ボーグナイン(元売春婦の妻を持つ刑事)、レッド・バトンズ(生涯独身の優しい男)、さらにシェリー・ウィンターズ(ハックマンを助けて命を落とす水泳教師!)不在の本作は、およそキャラクターの造形に関しては何もする気がなかったようで、観終わってもまるで余韻がない。むしろこれを機会にオリジナルだけは押さえておこう。
(オフィシャルサイト: http://www.poseidonmovie.com)
3. 「The Da Vinci Code」 B-
(出演: トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン、ポール・ベタニー、ジャン・レノ、監督: ロン・ハワード)
消化不良で期待はずれに終わった、ダン・ブラウンによる桁外れのスーパー・ベストセラーの映画化。ある晩ルーブル美術館の館長が怪死し、パリに滞在していた宗教象徴学の教授ラングドン(トム・ハンクス)が参考人として呼ばれる。ラングドンはそこで館長の孫娘ソフィ(オドレイ・トトゥ)と知り合い、2人は残されていたダイイング・メッセージの謎を追い始める。だが事件の裏では、カソリック教会の過激派オプス・デイのヒットマン、シラス(「Firewall」、「Wimbledon」のポール・ベタニー)が暗躍しているのだった。世界的な論争を巻き起こしたキリスト教にまつわる秘密、世界同時公開、豪華なキャスト、史上初めて実現したルーブル美術館内の撮影と、話題は尽きない。だが脚本は原作のシノプシスのようで、映画的な広がりや映像的な驚きは何も感じられず、緊迫感もゼロに等しい。この工夫のない脚本のおかげで、トム・ハンクスをもってしてもラングドンの薄っぺらなキャラクターに深みを与えることは出来なかった。一方原作の強みであるスピーディな謎解きの面白さも2時間20分では短すぎて再現できず、原作を読んでいない人はストーリーについて行けないのではないか。昨年公開された「National Treasure」は、似たような雰囲気の謎解きスリラーだが、こちらの方がよほど気がきいている(ヒロインも美人だったし)。
(オフィシャルサイト: http://sodarktheconofman.com)
4. 「Over the Hedge」 A-
(声の出演: ブルース・ウィリス、ゲイリー・シャンドリング、スティーブ・キャレル、ワンダ・サイクス、ウィリアム・シャトナー、ニック・ノルティ、トーマス・ハーデン・チャーチ)
これはDreamWorksが放つ、楽しくて心暖まるコメディ・CG。ラクーンのRJは、冬眠中のクマから食料を盗もうとするが、誤って全てを台無しにしてしまう。クマに命の保証と引き換えに失った食料の返済を迫られたRJは、人の良いカメのバーンに率いられる食糧不足で困っている小動物たちをだまして、人間のコミュニティーから食料を盗み出す計画を持ちかけるが…。このアニメ、まず動物たち一匹一匹の動きとキャラが際立っている上に、声優陣が素晴らしい。口八丁手八丁のRJ:ブルース・ウィリス、人は良いが保守的なカメのバーン:コメディアンのゲイリー・シャンドリング、せっかちで落ち着きがないリスのハミー:「40 Years Old Virgin」のスティーブ・キャレル、冷酷非情なクマ:ニック・ノルティ、口うるさいスカンク:コメディエンヌのワンダ・サイクス、演技過剰のフクロネズミ:ウィリアム・シャトナー、といった具合で、全てが見事にはまっている。ストーリーもスラップスティックの中に巧みに家族愛と友情を盛り込む手際の良さで、時に感動的ですらある。最近低迷気味のCGアニメに涼風を吹き込む快作だ。
(オフィシャルサイト: http://www.overthehedgemovie.com)
5. 「X-Men: The Last Stand」 B
(出演: パトリック・スチュワート、イアン・マッケラン、ヒュー・ジャックマン、ファムケ・ジャンセン、ハリー・ベリー、ケルシー・グラマー)
オリジナルキャストとしてはこれが最終作となるMarvel Comicの人気シリーズ第3弾。本シリーズの良心ともいえる前2作の監督ブライアン・シンガー(「Usual Suspects」)が、「Superman Returns」に専念するために降板したが、変わりにブレット・ラトナー(「Rush Hour」)を起用したのが間違いの元だった。ストーリーはミュータントを普通の人間に戻すワクチンが開発され、その結果善(X-Men)と悪のミュータントの対立が決定的になる。マグニトー(イアン・マッケラン)は全軍を率いて人類抹殺を謀るが、ウォルヴェリン(ヒュー・ジャックマン)らX-Menの精鋭がこれに立ちはだかる。タイトルの通り、今回はX-Menとマグニトーの全面戦争を期待していたのだが、SF的ストーリーの掘り下げ、世界観の確立、キャラクターの造形、アクションの切れ、いずれも前2作に遥かに及ばない。中でも、ミュータントの1人に多大なパワーを持たせてしまい、さらに2人の人気キャラを早々に殺してしまう脚本はいただけない。また前作でアラン・カミングが演じたホットなキャラ、ナイトストーカーの出番がなかったのも寂しい。イアン・マッケランとヒュー・ジャックマンの存在感は相変わらず際立っているが、作品を救いきれなかった。一方ブライアン・シンガーの「Superman Returns」だが、予告編を見る限り大いに期待できそうで、6月30日の公開が待ち遠しい。
(オフィシャルサイト: http://www.x-menthelaststand.com)
6. 「The Break-Up」 B
(出演: ヴィンス・ボーン、ジェニファー・アニストン、ジョン・ファブロー、ジュディ・デイヴィス)
実生活でも恋人同士になってしまったヴィンス・ボーン(「The Wedding Crusher」)と、ジェニファー・アニストン(「Derailed」)のアンハッピー・ロマンティック・コメディ。ボーン演じるゲイリーはシカゴ市内のバスツアーのガイドで、カブスの試合とビデオゲームにしか興味がない。一方アニストン扮するブルックはアート・ギャラリーに良い仕事をもっていて、何事もきちんとしていないと気がすまないタイプ。2人は別れ話を始めるが、同棲しているマンションが共同所有のためにそうも行かず、お互いに好き勝手な生活を始める。この作品、予告編を見れば典型的なロマコメだと信じてしまうが、随所にギャグを散りばめながらも、2人の心の痛み、嫉妬、怒りが次第に増幅していくプロセスが描かれ、ロマコメとしては違和感があり期待を裏切られる。作品の冒頭、リグレーフィールド(カブスの本拠地)で、ゲイリーが口八丁手八丁で強引にブルックをナンパする2年前のシーンが笑えるのだが、むしろ2人がハッピーだった初めの2年間のストーリーが観たかった。
(オフィシャルサイト: http://www.breakupmovie.net)
7. 「Cars」 A
(声の出演: オーウェン・ウィルソン、ポール・ニューマン、ボニー・ハント、ラリー・ザ・ケーブルガイ、トニー・シャルーブ)
今回のイチ押しはPixarがCG本家の実力を見せつける、この底抜けに楽しいスーパー・コメディ・CGだ。"コルベット"のライトニング・マックィーン(「The Wedding Crusher」のオーウェン・ウィルソン)は、飛ぶ鳥を落とす勢いの傲慢で自己中心的で自惚れ屋のルーキー・レースカー。彼はロサンゼルスで開催されるカーレースの最高峰"ピストン・カップ"での優勝を狙っているが、ロスへの移動中にスピード違反で捕まり、うらぶれた町ラジエーター・スプリングで足止めを食らう。そこでマックィーンは自分でも意外なことに、人生の大切な事を学び始める。「Love Bug」など車の擬人化は珍しくはないが、NASCARの世界を細部まで模倣した舞台設定はユニークで斬新。オンボロレッカー車のメンター(ブルーカラー・コメディアンのラリー・ザ・ケーブルガイ)、マックィーンの師となる"ハドソン"のドク(ポール・ニューマン)、ガールフレンド"ポルシェ"のサリー(ボニー・ハント)、メカニックの"フィアット"ルイジ(「Monk」のトニー・シャルーブ)など、各キャラクターの描き分けも完璧。レースシーンの迫力、繰り出すギャグのタイミングの良さ、優しさが溢れるストーリーと、映画の面白さを全て兼ね備えた、今年のサマー・ムービー・レースをアクセル全開で突っ走る必見作だ。
(オフィシャルサイト: http://carsthemovie.com)
次回は「Superman Returns」、「Miami Vice」(コリン・ファレル+ジェイミー・フォックス)、「World Trade Center」(オリバー・ストーン+ニコラス・ケイジ)、「Click」(アダム・サンドラー)、「Pirates of the Caribbean: Dead Man's Chest」、「Lady in the Water」(S・ナイト・シャマラン)、「The Fast and the Furious 3: Tokyo Drift」、「The Lake House」(ジョン・グリシャム原作)、「Nacho Libre」(ジャック・ブラック)など、サマー・ムービー後半戦のレヴューをお届けする。 |