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***「第8回 輝け!Texas Movie Awards」***
2006年度を総括する、「第8回 輝け!Texas Movie Awards」をお届けする。過去2〜3年は本賞とアカデミー賞ノミニーの重複が多く、ちょっと気にはなっていた。だが今回のオスカーノミネーションは退屈作品のオンパレードなので、久しぶりにオリジナリティのある選出が出来たと自負している(今年のオスカーで主演女優賞にノミネートされた5人の主演作品は、一本も観ていない。え、菊地凛子のオスカーノミネーション?冗談でしょ?)。
そんな中で、作品賞には感動だけでなく大作としての"華"がある「Dreamgirls」を選んだ。日本で話題の「Letters from Iwo Jima」も良い作品だが、最近のクリント・イーストウッド作品(「Mystic River」、「Million Dollar Baby」)に比べると、胸を締め付けるような圧倒的な感動がない。アクターは「The Last King of Scotland」のフォレスト・ウィッテカーに尽きる。彼の前ではエドワード・ノートンやレオナルド・ディカプリオですら、存在感の薄い技巧派の職人俳優に見えてしまう。
もっとも2006年度で特筆すべき点は、映画よりTVドラマのほうが断然面白かったことで、中でも「Grey's Anatomy」、「24」、「Battlestar Galactica」には、まさに「やめられないとまらない状態」になってしまった。
2006年度のキーワードは、「Dreamgirls」、「フォレスト・ウィッテカー」、それに「Grey's Anatomy」である。
それでは以下各賞の発表です。
* 最優秀作品賞&ベストテン
最優秀作品賞: 「Dreamgirls」
第2位 「The Illusionist」
第3位 「The Departed」
第4位 「Superman Returns」
第5位 「Letters from Iwo Jima」
第6位 「Blood Diamond」
第7位 「V for Vendetta」
第8位 「United 93」
第9位 「Pan's Labyrinth」
第10位 「Little Miss Sunshine」
* 最優秀アニメーション/CG: 「Flushed Away」
(その他の候補)
「Cars」、「Over the Hedge」、「Happy Feet」、「Charlotte's Web」
* 最優秀監督賞: マーティン・スコセッシ(「The Departed」)
(その他の候補)
クリント・イーストウッド(「Letters from Iwo Jima」)、ビル・コンドン(「Dreamgirls」)、ブライアン・シンガー(「Superman Returns」)、ギレルモ・デル・トロ(「Pan's Labyrinth」)
* 最優秀主演男優賞: フォレスト・ウィッテカー(「The Last King of Scotland」)
(その他の候補)
エドワード・ノートン(「The Illusionist」)、クリスチャン・ベイル(「The Prestige」)、レオナルド・ディカプリオ(「Blood Diamond」)、ダニエル・クレイグ(「Casino Royale」)
* 最優秀主演女優賞: ナタリー・ポートマン(「V for Vendetta」)
(その他の候補)
ショウナ・マクドナルド(「The Descent」)、ビヨンセ・ノウルズ(「Dreamgirls」)、アビゲイル・ブレスリン(「Little Miss Sunshine」)、イバナ・バケロ(「Pan's Labyrinth」)
* 最優秀助演男優賞: エディ・マーフィー(「Dreamgirls」)
(その他の候補)
モス・デフ(「16 Blocks」)、ジャイモン・フンスー(「Blood Diamond」)、ベン・アフレック(「Hollywoodland」)、アダム・ビーチ(「Flags of Our Fathers」)
* 最優秀助演女優賞: ジェシカ・ビール(「The Illusionist」)
(その他の候補)
アドリアナ・バラザ(「Babel」)、ジュリア・ロバーツ(「Charlotte's Web」)、ジェニファー・ハドソン(「Dreamgirls」)、ケイト・ボスワース(「Superman Returns」)
* 最優秀脚本賞: ウィリアム・モナハン(「The Departed」)
(その他の候補)
アイリス・ヤマシタ(「Letters from Iwo Jima」)、ビル・コンドン(「Dreamgirls」)、マイケル・アーント(「Little Miss Sunshine」)、ギレルモ・デル・トロ(「Pan's Labyrinth」)
* 最優秀主題歌賞: "Listen"(「Dreamgirls」)
* ワースト映画: 「The Fountain」
(その他の候補)
「Basic Instinct 2」、「The Pink Panther」、「Lady in the Water」
* 最優秀TVドラマ賞: 「Grey's Anatomy」
(その他の候補)
「24」、「Battlestar Galactica」、「The Shield」、「Veronica Mars」
以下は2006年作品の残り4本のレヴュー。
1. 「The Last King of Scotland」 B+
(出演: フォレスト・ウィッテカー、ジェームズ・マカヴォイ、ケリー・ワシントン、ジリアン・アンダーソン)
オスカーノミネーションを受けたフォレスト・ウィッテカー(「The Shield」)が、30万人の自国民を虐殺したウガンダの大統領イディ・アミンを演じるフィクションの映画化。ボランティアでウガンダへやって来たスコットランド出身の医師ニコラス(ジェームズ・マカヴォイ)は、アミンの怪我の手当てをしたことから彼の寵愛を受けるようになる。ニコラスは次第に大統領の本性を知って怖れをなすようになるが、狡猾なアミンは先手を打ってニコラスを自国に封じ込める。
チャーミングなモンスターであったアミンを圧倒的迫力で怪演するフォレスト・ウィッテカーは、元々「Bird」のチャーリー・パーカー、「The Crying Game」のテロリスト、「The Color of Money」のハスラーなど、癖のある役を演らせると断然光るアクターだ。今回のアミン役はまさに一世一代のはまり役で、スクリーンの彼から目が離せない(一昨年レイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックスに通じるものがある)。
(オフィシャルサイト: http://www2.foxsearchlight.com/thelastkingofscotland)
2. 「Children of Men」 B
(出演: クライブ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン、クレア=ホープ・アシティ、ピーター・ミュラン)
P.D.ジェイムズ原作による、2027年のイギリスを舞台にした近未来Sci-fiドラマ。世界中でテロの嵐が吹き荒れ、人類は繁殖力を失って既に18年が経過。そんな状況下で、ずぼらな役人セオ(「Derailed」のクライブ・オーウェン)はテロリストとなった元妻(ジュリアン・ムーア)から接触され、やがて奇跡的に妊娠した娘キー(クレア=ホープ・アシティ)と行動を共にすることになる。
近未来といってもSFらしい小道具はほとんどなく、時代設定だけを借りて生命の尊厳を訴えかける人間ドラマだ。ジュリアン・ムーア、マイケル・ケインが特に良い味を出していて無難にまとまってはいるが、監督(アルフォンソ・キュアロン)の意図したほど感動的ではない。"21世紀の「Blade Runner」"と言ううたい文句にはだまされないようにしよう。
(オフィシャルサイト: http://www.childrenofmen.net)
3. 「Pan's Labyrinth」 B+
(出演: イバナ・バケロ、アリアドナ・ヒル、セルジ・ロペス、マリベル・ヴェルドゥ、監督: ギレルモ・デル・トロ)
「Hellboy」の気鋭監督ギレルモ・デル・トロが放つ、内乱後のスペインを舞台にしたR指定のダーク・ファンタジーの佳作。夢見る少女オフェリア(イバナ・バケロ)は、残忍で冷酷なヴィダル大尉(セルジ・ロペス)の妻となる母親に連れられて、とある前線基地まで旅をして来る。今だ反乱軍と政府軍の小競り合いが続く中、オフェリアは森の神パーンに導かれて、プリンセスに戻るための3つのテストを受ける。
「復讐・拷問・皆殺し」が吹き荒れる、かつてのマカロニ・ウェスタンのような反乱軍ゲリラ対政府軍の戦いと、奇抜で魅力的なクリーチャーが登場する森の中でのオフェリアの冒険が平行して描かれるデル・トロの巧みな演出は、斬新で最後まで緊迫感が持続する。スペイン語作品なので英語字幕を読むのはかったるいが、舞台設定を考えれば自然でリアリティもある。2006年度の隠し技とも言える好編。
(オフィシャルサイト: http://www.panslabyrinth.com)
4. 「Letters from Iwo Jima」 A-
(出演: 渡辺謙、二宮和也、井原剛志、中村獅童、監督: クリント・イーストウッド)
先に公開された「Flags of Our Fathers」に続き、再びクリント・イーストウッドがメガホンを取った「硫黄島の戦い」2部作の第2作。日本側からの視点で描かれる本作は、総司令官として硫黄島に赴任した栗林中将(渡辺謙)を中心に、孤立無援で物資は困窮し、赤痢に悩まされながらも、火力で圧倒的に勝る米軍を相手に任務を全うしようとする日本軍の絶望的な戦いが活写される。
本作は「Flags of Our Fathers」より断然出来が良いのだが、アイリス・ヤマシタの脚本によるところが大きい。「七人の侍」の如く、戦闘がはじまる前に栗林中将、物語の語り手的立場となる新兵の西郷(二宮和也が好演)など、主要なキャラクターの性格付けをきちんと行っているから、感情移入しやすいのだ。小道具としての手紙の使い方も秀逸で、特に負傷した米兵が持っていた母親からの一通には泣かされる。
思い返せば、イタリアへ渡ってマカロニ・ウェスタンに出演していた役者としてのイーストウッドをもっとも早く評価したのは、アメリカ人でもイタリア人でもなく、われわれ日本人だった。"Directed by Clint Eastwood"の文字がエンドクレジットに浮かぶのを見て、何だか恩返しをされたような気になった。
(オフィシャルサイト: http://iwojimathemovie.warnerbros.com)
1月14日から「24」の第6シーズンがスタートした。前シーズン同様2夜連続の4時間スペシャル版は、放映翌日(16日)に何とDVD($9.99)を売り出す念の入れようで、FOX気合入りまくりである。内容的にもいきなりXXXXは死ぬは、○○○は起こるはで、ついにあのジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)をして、"I can't do this anymore, I'm done."と弱音を吐かせてしまった。今シーズンはジャックの兄や父親(ジェームズ・クロムウェル)も登場予定で、またしても月曜の夜は、何があっても8時までに帰宅しなければならない状態である。
では映画ファンの皆さん、本年も良い映画に出会えますように。 |