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Mr.DOBASHI no テキサス映画通信

”Houston, we have a problem!(87)

Dobashi Shuichiro 土橋 秀一郎


Backnumber

2007年6月28日

「Entertainment Weekly」が選んだオールタイム・アクションムービーのベストワンに、見事オリジナルの「Die Hard」が選ばれた。これに関しては「異議なし」であるが、2位以下については多少違和感がある。そこで今回は、「EW」のベスト10と、マイベスト10を載せて比較してみた。

「EW」ベスト10

1 「Die Hard」(1988)
2 「Aliens」(1986)
3 「Raiders of the Lost Ark」(1981)
4 「The Road Warrior」(1981)*「マッドマックス2」
5 「The Matrix」(1999)
6 「Seven Samurai」(1954)
7 「Gladiator」(2000)
8 「Saving Private Ryan」(1998)
9 「Hard-Boiled」(1992)
10 「Terminator 2: Judgment Day」(1991)

「マイ」ベスト10

1 「Die Hard」(1988)
2 「Seven Samurai」(1954)
3 「Dirty Harry」(1972)
4 「The Terminator」(1984)
5 「The Road Warrior」(1981)
6 「The Wild Bunch」(1969)
7 「Lethal Weapon」(1987)
8 「Aliens」(1986)
9 「The Guns of Navarone」(1961)
10 「A Better Tomorrow」(1986)*「男たちの挽歌」

今回は続編大集合のサマームービー10本のレビュー。お勧めはロマコメの佳作「Knocked Up」と、ブルース・ウィリスのシグニチャー・シリーズ第4弾「Live Free or Die Hard」だ。

 

1.「Shrek the Third」B
(声の出演:マイク・マイヤーズ、キャメロン・ディアス、エディ・マーフィー、アントニオ・バンデラス、ジャスティン・ティンバーレイク、ジョン・クリーズ、ルパート・エベレット、ジュリー・アンドリュース)

そつなくまとまっているものの、アクを抜かれて多少失速気味のシリーズ第3弾。国王(ジョン・クリーズ)の死去により、シュレック(マイク・マイヤーズ)は自分がファーファーラウェイ王国を統治する身となることを知らされる。さっさと家に帰って寝ていたいシュレックは、フィオナ(キャメロン・ディアス)のいとこであるアーサー(ジャスティン・ティンバーレイク)を捜し出し、自分の代わりに王様に据えようと画策する。だがアーサーはルーザーで、しかもシュレックへの復讐を謀るチャーミング王子(ルパート・エベレット)は、キャプテン・フックら物語に登場する悪役たちを結集させて密かに王位奪還を計画する。
ドンキー(エディ・マーフィー)、プス(アントニオ・バンデラス)を始めとして、レギュラーのキャラクターたちが繰り広げるセンスの良いギャグは健在だ。だが良い子になったシュレックは魅力に乏しく、また93分という上映時間はこのシリーズには短すぎて、結果として”シュレック・スタンダード”に届かなかった。手抜きのDreamWorksには猛省を促したい。
(オフィシャルサイト:http://shrekthethird.com)

2.「Bug」B+
(出演:アシュリー・ジャド、マイケル・シャノン、ハリー・コニック・Jr.、リン・コリンズ、監督:ウィリアム・フリードキン)

「The French Connection」、「The Exorcist」のウィリアム・フリードキンとアシュリー・ジャドという、一見ミスマッチの組み合わせによる、オクラホマの田舎を舞台にした異色のスリラー。アグネス(アシュリー・ジャド)は、前科者の夫(ハリー・コニック・Jr.)との離婚歴のある孤独なウェイトレス。彼女は独り者の退役軍人ピーター(マイケル・シャノン)と知り合うが、やがてピーターは自分の体内で微生物が繁殖しているという、軍事機密にまつわる不思議な話を始める。
この映画、ミソは“Bug”の実体が伏せられているので、一体これがホラーなのかサイコスリラーなのか分からないところ。これは観る側にとって心理的に不安定になり、スリルが増幅される。アシュリー・ジャドはノーメーク、フルヌードの熱演で(役柄の設定上全然セクシーではないのが残念だが)、何もしなくても十分不気味なマイケル・シャノンの怪演ぶりも圧巻。元々は舞台劇なので、アクションは最小限でエンターテインメントとしての派手さはないが、観ていると体中がかゆくなってくる怪作だ。
(オフィシャルサイト:http://www.bugthemovie.com)

3.「Pirates of the Caribbean: At World's End」 B+
(出演:ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトリー、ジェフリー・ラッシュ、ビル・ナイ、チョウ・ユンファ)

「Spider-Man 3」、「Shrek the Third」に続く、これも人気シリーズの第3弾。冒頭ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)は、帰る当ても無く”死の砂漠”をさまよっている。一方ウィル(オーランド・ブルーム)、エリザベス(キーラ・ナイトリー)、バーボッサ(ジェフリー・ラッシュ)らは、デイビー・ジョーンズ(ビル・ナイ)と組んだ英国海軍と戦うために“伝説の9人の海賊”を集めようとする。だが何とジャックがその一人だと判明する。
今回はどうでも良いサイドストーリー(エリザベスと父親の再会とか)が幾つもあって煩わしく、そのために2時間40分もある。だがいざ本筋の海戦シーンとなると豪快なアクション、群を抜くCG、これにジョニー・デップの絶妙のギャグがかみ合って一気に盛り上がる。あら捜しをしないで悠然と構えて観ると、夏休みのディズニーランド気分が満喫できる。
(オフィシャルサイト:http://pirates.movies.com)

4.「Knocked Up」A-
(出演:セス・ローゲン、キャサリン・ヘイグル、ポール・ラッド、レスリー・マン、監督兼脚本:ジャド・アパトー)

「The 40 Year-old Virgin」のジャド・アパトーがまたまた放つ、この夏のスリーパーとなったロマコメ。チャンネル“E!”(エンターテインメント・チャンネル)のレポーターに抜擢されたアリソン(「Grey's Anatomy」のイジーことキャサリン・ヘイグル)は、出世祝いに酔った勢いで、冴えない無職の男ベン(セス・ローゲン)とベッドインする。その結果妊娠したアリソンは絶望的な気分になるが、ベンを捜し出して赤ん坊を産むことを打ち明ける。
ベンに興味は無いが赤ん坊の父親は必要な美人のアリソンと、アリソンを大好きになる映画おたくのベンとのギャップがまず笑わせる(ベンは有名女優のオッパイが観られる映画専門のインターネットサイトを立ち上げようとしている)。この2人に絡むのが、美人だが強烈な個性で男をコントロールしようとするアリソンの姉(アパトーの実生活での妻レスリー・マン)と、そのすっとぼけた夫(ポール・ラッド)で、このコンビは爆笑もの。
シャープな会話とユニークなサブキャラクターたちでかなり笑えるが、これで結構真面目に人生の機微を描いていて、単にロマコメの佳作と言って済ますには勿体ない一本。
(オフィシャルサイト:http://www.knockedupmovie.com)

5.「Mr.Brooks」 B
(出演:ケビン・コスナー、ウィリアム・ハート、デミ・ムーア、デイン・クック、ダニエル・パナベイカー)

ケビン・コスナーが「A Perfect World」以来のシリアルキラーを演じるサイコスリラー。アール・ブルックス(コスナー)は成功した実業家だが、実は若い頃から殺人中毒となっているシリアルキラー。ある日ブルックスは、彼の殺人を偶然盗撮した若い男(スタンダップ・コメディアンのデイン・クック)の訪問を受ける。男はブルックスと一緒に次の殺人に立ち会いたいと申し出る…
ブルックスの“架空の親友”マーシャルを演じるのがウィリアム・ハートで、この配役は絶妙。ブルックスとマーシャルの殺人をめぐる掛け合いシーンは背筋が凍るようなブラックな面白さで、本作のハイライトだ。だが問題は脚本が破綻し始める中盤以降で、デミ・ムーア扮するブルックスを追う殺人課の刑事の離婚騒動、ハングマンと呼ばれる別のシリアルキラーの存在など、陳腐なサイドストーリーによって完全に焦点がボケてしまう。ブルックス/マーシャルの視点に絞って演出すれば、サイコスリラーの傑作にもなり得たと思うのだが。
(オフィシャルサイト:http://www.mgm.com/mrbrooks)

6.「Waitress」 B+
(出演:ケリー・ラッセル、シェリル・ハインズ、ネイサン・フィロン、ジェレミー・シスト、監督兼脚本:マドリーン・シェリィ)

「Felicity」のケリー・ラッセルがスクリーンで光り輝く、コメディドラマの佳作。ラッセル演じるジェナは、片田舎にあるダイナーのウェイトレスで、短気で負け犬の夫(「Kidnapped」のジェレミー・シスト)との生活には嫌気がさしている。ジェナはある日妊娠している事に気づき、自分の人生が更に惨めになることを嘆くが、産婦人科の医師ジム(「Firefly」のネイサン・フィロン)が自分に好意を持っていることを知る。
美味しいパイを焼くことが生きがいのジェナが、自分の気持ちやその日の出来事を日記のようにパイに託すのが微笑ましくも悲しい。ロマコメの骨格を巧みに使いながらも女性の自立を描いた物語で、監督兼脚本のマドリーン・シェリィの切り口は多くの女性ファンを得るはずだ。ケリー・ラッセルのブレイクスルー的演技に加えて、脇役1人1人の存在感も見事で、この夏お薦めの1本。
尚、マドリーン・シェリィは不幸にも本作品を完成後にNYで殺された。
(オフィシャルサイト:http://www.foxsearchlight.com/waitress/)

7.「Ocean's Thirteen」 B+
(出演:ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、エディ・イザード、アンディ・ガルシア、ドン・チードル、バーニー・マック、エレン・バーキン、アル・パチーノ、監督:スティーブン・ソダーバーグ)

シリーズ第3作は、これまでで最も楽しめる”Caper movie”に仕上がった。今回ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)は、カジノ王ウィリー・バンクス(アル・パチーノ)に騙されて資産を失ったポン友ルーベン(エリオット・グールド)の仇を討つために、親友ラッシュ(ブラッド・ピット)を始めとするフルメンバーを集結させる。
このシリーズの最大の売りは“粋”だ。ソダーバーグの職人芸的なカット、クルーニー、ジャジーな音楽、舞台となるラスベガスと、全てがスタイリッシュに決まっている。敵役のアル・パチーノと、その右腕となるエレン・“セクシー”・バーキンというキャスティングも文句なくはまっていて、善玉悪玉のバランスも良い。更に難攻不落のセキュリティシステムを破壊し、バンクスのカジノにある全てのマシンからあがりをせしめるという壮大な計画は、綿密とは言い難いがそのプロセスは充分楽しめる。肩の力を抜いて楽しむハイセンスなコメディ・エンターテインメントとして、得難い魅力がある一作。
(オフィシャルサイト:http://www.oceans13.com)

8.「Surf's Up」 B+
(声の出演:シャイア・ラブーフ、ジェフ・ブリッジス、ズーイ・デシャネル、ジョン・ヘダー)

これは「Big Wednesday」と「Karate Kid」を併せたような、“ペンギン”アニメーションの爽快作。子供の頃から伝説的サーファー、ビッグZ(ジェフ・ブリッジス)に憧れてきたコディ・マーヴェリック(「Transformer」のシャイア・ラブーフ)は、念願かなってメジャーなサーフィン大会の出場を果たす。だがコディがそこで偶然出会ったのは、今では世捨てペンギン(?)となって変わり果てたビッグZだった。
ハンディカメラを駆使したドキュメンタリータッチの演出は、パロディとしての面白さを際立たせている。さらにジェフ・ブリッジスが吹き替えるビッグ・Zの存在感、CGならではの色彩とスピード感、70年代の青春映画を髣髴させる脚本のおかげで、時に感動的でさえある。最近食傷気味のペンギン物のせいか興行成績は期待を裏切っているが、CGに抵抗がなくて'70年代アメリカンシネマのファンには必見の1本。
(オフィシャルサイト:http://www.surfsup.com)

9.「Fantastic Four: Rise of the Silver Surfer」 B
(出演:ヨアン・グリフィズ、ジェシカ・アルバ、クリス・エバンス、マイケル・チクリス、アンドレ・ブロワー、ジュリアン・マクマホン)

ペンギンのサーファーに続き、今度は“T-1000”もどきのサーファーが登場するマーヴェル・コミックスの人気シリーズ第2弾。“ゴム人間”ミスター・ファンタスティック(「Amazing Grace」のヨアン・グリフィズ)と“透明美女”スー(「Sin City」のジェシカ・アルバ)は、結婚式を間近に控えていてメディアも大騒ぎ。しかし、地球抹殺の命令を受けたシルバーサーファーの出現により、“人間トーチ”ジョニー(クリス・エバンス)と“岩石男”ベン(「The Shield」のマイケル・チクリス)を加えた4人のスーパーヒーローが、これを迎え撃つ。
前作同様キャストもSFXもショボイと思って正直全く期待していなかったが、アニメ並みの89分と言う上映時間も手伝って、割りと飽きさせず脳天気に楽しめた。このストーリーからして「Spider-Man」や「Batman」に比べて底が浅く、サマームービーとして勝ち抜くのはしんどいのだが、最も原作のコミックスに近い作風ではある。
(オフィシャルサイト:http://www.riseofthesilversurfer.com)

10.「Live Free or Die Hard」 A-
(出演:ブルース・ウィリス、ジャスティン・ロング、ティモシー・オリファント、マギー・Q、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ケビン・スミス)

続編ラッシュのサマームービーの中で、これこそ真打ちのシリーズ第4弾!今回ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)は、殺されかかった凄腕ハッカー、マット(ジャスティン・ロング)を助けたことから、全米のコンピュータ・システムを掌握するサイバーテロリスト(ティモシー・オリファント)を相手にする羽目になる。
「デジタルワールドで路頭に迷いながらも、アナログ思考で何とか突破口を開いていくマクレーン」という基本ストーリーが上手い。12年ぶりの続編、今や52才のブルース・ウィリスだが、そのアクションとワイズクラッキングはいささかも衰えず、我らがジョン・マクレーンは健在だ。実際に撮影したという車でヘリを撃墜するスタントもいいが、最後の逆転シーンのアイディが気に入った。最高の悪役(アラン・リックマン)を得て大技小技を縦横無尽に展開したオリジナルには及ばないものの、最近のアクションムービーの中では群を抜いて面白い、この夏の決定打。
(オフィシャルサイト:http://www.livefreeordiehard.com)


次回は「Transformers」を含むサマームービー特集第3弾をお届けする。