![]() |
|
|
現在、センターでも確実に増えている英語以外の翻訳案件。「英語が専門の私には一生関わることはない話」と思っているあなた !今回、「さくらんぼ 母の愛」を訳されたお二人のインタビューを読んで、大いに驚いてください !
Q) まず、ディレクターの藤田さんにお伺いします。なぜ今回は二人の翻訳者さん、特に河野さんと角野さんにお願いしたのですか ?
藤田) 一人より二人のほうがいろんな角度から解釈や表現を判断できると思ったのが一つの理由です。実際、お二人は密に連絡を取り合って作業を進め、すばらしい連携を見せてくれました。また、お二人には何度かお仕事を発注したことがあり、作業がとても丁寧で「お願いすれば大丈夫」という信頼もありました。河野さんはドラマや、映画などの翻訳経験も豊富ですし、角野さんはネイティブのうえ、翻訳はもちろん、講師として日本人に中国語を教えるくらい日本語にも長けている。二人が組めば“鬼に金棒”と自信があったんです。
Q) センターでは、英語以外の翻訳も請け負っているのですか ?
藤田) 英語以外の言語はセンターが受注する翻訳案件の2割程度ですが、中国語をはじめ、スペイン語、韓国語など増加の傾向にあります。ほとんどに英文スクリプトがあるので、原語が理解できなくても、今回の角野さんのように監修者をつけて作業を進めるので、きちんと英日翻訳ができれば、どなたでも作業は可能です。
Q) 今回は字幕翻訳担当が河野さん、字幕監修が角野さんということです。お二人にお伺いします。具体的にはどういった工程で作業を進められたんですか ?
河野) まず、私が英文スクリプトを基に字幕翻訳した原稿を角野さんにチェックしていただきます。次にスクリプトには反映されていない細かなニュアンスや感情などを折り込み、再度字幕を練り直すといった手順で進めました。
Q) 河野さんは中国語がお出来になるのですか ?
河野) いいえ、まったく(笑)。英文スクリプトから訳出するのですが、情報がかなり省略されていたり、そうでなくとも、中国の文化を知らなければ、まったく解釈が違ってくる会話もあります。はっきり言って角野さんのお力添えなしではどうなっていたことかと思います(笑)。
角野) そんなことないですよ。原語が分からないとはいえ、経験豊富な河野さんのカンの鋭さには驚きました。映像から細かなニュアンスを読み取るセンスが備わっているんですね。私の役割は中国の文化や、生活習慣を踏まえたうえで、原文解釈や言わんとすることをできるだけ詳しく河野さんに説明することでした。繊細なニュアンスを伝えたい場合は、私から代案を提示したりもしました。
Q) 作業にあたって、工夫や苦労された点がありますか ?
角野) 劇中、学校でのシーンが登場します。中国では一般的に、校内で教師が生徒を呼ぶ時、“山田太郎”のようにフルネームで呼びます。友達同士でも校内ではフルネームです。ですが、学校から離れると“山田”とか“太郎ちゃん”と言った具合に苗字や愛称で呼んだりもする。文化的背景を説明しなければ視聴者は戸惑うのではないか ?と考慮し、今回は校内だろうと外だろうと、一つの表記で統一しました。そう決めるまでに、ずいぶん悩みましたよ(笑)。
河野) 映画としてはセリフが少なめで、どちらかと言うと映像で訴えかける作品だと思うんです。字幕が少ないということは、注意しないとセリフがブツ切れになりがちです。一つ一つの字幕に対し、常に“全体の流れ”を念頭に置いて訳すことを心がけました。言葉選びには苦労しましたね。あとは、角野さんから教えていただく、細かなニュアンスを限りなく忠実に反映させようと努力しました。
Q) 映画の見所と今後の抱負をお聞かせください。
角野) 主人公の母親役を務めるミャオ・プゥの体当たりの演技が本当にすばらしいんです。作業中もストーリーに入り込んじゃって何度も泣きました(笑)。私は実務翻訳の仕事もしているんですが、涙することはありません。こういったすばらしい作品に携わって感動できることも、映像翻訳の楽しいところですね。チャンスがあれば、今後もこういったお仕事を是非やりたいと思います。
河野) この映画は、物事を複雑に捉えがちな現代において、本当にシンプルに“人にとって大切なもの”を描いた作品です。是非、劇場に足を運んでください。また、映像翻訳者としてですが、私は特に“映画がやりたい”とか“ドラマがやりたい”というこだわりはなかったのですが、今回の作品からはたくさんのことを学びました。これを糧に、映画はもちろん、今後もいろいろなコンテンツに挑戦していきたいですね。
![]() ★河野さん、角野さん、ありがとうございました。★ |
![]() 河野浩子 <2005年3月実践コース修了>映画のDVDをはじめ、ドラマ、ドキュメンタリーと様々なジャンルで活躍。チーム・リアリティTVなどのグループ翻訳でもリーダーを務めた経歴も持つ。 ![]() 角野マリア <2005年4月修了>現在、翻訳会社で中・英翻訳、チェッカー、プロジェクト・マネージャーを担当する傍ら、中語語・英語の講師も兼業する。 ![]() 藤田庸司 <センター/ディレクター> |