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映画『M.I.S.―人間秘密兵器―(仮題)』内覧試写会鑑賞レポート
日本映像翻訳アカデミーの修了生4人が字幕を手がけました!
2011年12月26日(月)、新宿のK's cinemaにて、映画『M.I.S.―人間秘密兵器―(仮題)』の内覧試写会が開催されました。会場には、すずきじゅんいち監督と夫人で女優の榊原るみさんをはじめ、同映画制作に携わった関係者の皆さんが集まりました。この作品の日本語字幕を日本映像翻訳アカデミーの修了生4人が手がけています。この日はMTCスタッフと共に、翻訳チームの宮川恵美子さん(写真右)と馬場愛さん(写真中央)が来場し、すずき監督(写真左)とお話をさせて頂く場面もありました。

戦時下の日系アメリカ人の姿を描く3部作 待望の最終章が完成


『M.I.S.―人間秘密兵器―(仮題)』は、すずき監督が手がけてきた日系アメリカ人シリーズ3部作の最終章。太平洋戦争のさなか、その語学力を“武器”にMIS(日系陸軍情報部)として日本軍と戦うことを余儀なくされた日系アメリカ人の姿に迫るドキュメンタリーです。すずき監督は、第1弾『東洋宮武が覗いた時代』(2008年制作)では、第二次世界大戦下の日本人・日系人収容所の様子を、第2弾の『442日系部隊 アメリカ史上最強の陸軍』では、アメリカに忠誠を誓うためにアメリカ軍兵士として戦場に赴いた日系アメリカ人の姿を描いてきました。『M.I.S.―人間秘密兵器―(仮題)』はいわば3部作の集大成とも言える作品なのです。

現在はロサンゼルス在住のすずき監督。この3部作を手がけた理由を尋ねてみたところ、次のように話してくれました。「ロサンゼルスで日系アメリカ人の人たちと交流を重ねるうちに、太平洋戦争によって日米両国の間で翻弄された彼らの証言を残さなければならないと強く感じました。日本人として、その実像を日本人があまりに何も知らないことに危機感を覚えましたね」(すずき監督)

70人以上の証言を撮影したフィルムは500時間


この作品で取材をしたのは約70人?80人。撮影時間は実に500時間にも及ぶといいます。その膨大なフィルムの中からまず、OKシーンとNGシーンを見極め、いらない箇所を捨てていく作業から始まりました。そして4時間くらいに凝縮した段階から編集作業を開始し、構成を考えていったとのことです。「MISの隊員だった方々は現在80代から90代になっています。この映画は、出演者だけでなく観客もご年配の方が多いと予想されるので、本編が長すぎると疲れてしまうでしょう。休憩を挟まなくてもいいギリギリのラインである1時間40分になんとかまとめました」と語るすずき監督。上映前の挨拶で「日系人の歴史としてだけでなく、同じ民族同士である日本人と戦わなければならなかった人たちの歴史として、“日本人とは何か?”ということも考えてほしいと考えています。多くの日本人に観てほしいですね」と静かに語りました。

作品の冒頭には、ハワイ出身で日系5世のアメリカ人ウクレレ奏者、ジェイク・シマブクロさんと沖縄生まれの日系人女優、タムリン・トミタさんが登場。その後は、実際にMISで活躍した人たちのインタビューを中心に、MIS誕生秘話から太平洋戦争勃発、終戦、終戦後のアメリカ統治下でのMISの活躍などが時系列で紹介されていきます。グラミー賞を受賞した喜多郎さんが手がける荘厳な音楽も印象的でした。

すずき監督が描きたかったのは当事者が語るリアルな姿


日本では、フジテレビ系列で放送された『99年の愛 JAPANESE AMERICANS』(2010年11月に放送、2011年12月再放送)で最近442部隊の存在を初めて知ったという人も多いのではないでしょうか? すずき監督によると、442部隊を描いた第2部の日本公開がドラマの放送時期と前後したこともあり、「ドラマを観て興味を持ち、この映画を観に来ました」という人もいたそうです。一方、MISの存在は、2011年8月に放送された『最後の絆 沖縄 引き裂かれた兄弟 鉄血勤皇隊と日系アメリカ兵の真実』(TBS系)の中でも描かれていました。すずき監督は、「日本人の目線から見た日系アメリカ人に対する認識と当事者から見た認識にはかなりギャップがあることは否めません。これらのドラマを制作する際にも多くに監修が入ったと聞いています。また、数十年前に日本で作られた日系アメリカ人のドラマは、当事者の間では評判が良くなかったそうです。ですから私は、当事者が語るリアルな姿を伝えたかったのです」と話してくれました。

翻訳を担当した修了生は、「その存在を秘密にされてきただけに資料が少なく、調べ物には本当に苦労しました。想像を超えた壮絶な体験談を翻訳し、戦争に関するあらゆる調べ物をするうちに、もらい泣きをしてしまうこともありましたね」と話していました。

『M.I.S.―人間秘密兵器―(仮題)』は、今春からハワイやニューヨークなどで公開されるほか、日本では今年12月に公開が予定されています。この作品には日本人が知っておくべき事実があります。日本公開時には皆さんも是非会場に足を運んでみてください。

『M.I.S.―人間秘密兵器―(仮題)』 公式サイト
http://mis-film.com
※クレジットのページにJVTAと翻訳者さん4人の名前も記載されています。
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