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PLAY HARD 蘇れ!日本男子バレー 〜北京への道〜
執筆名:山岡 恵

■第12回  「世界バレー」観戦記(その2)


■祝・全日本男子24年ぶりのベスト8入り!

▲2つの放送局が中継する同じ試合を、両方観て楽しむ法
2年前、全日本男子チームの監督に就任した植田辰哉氏が掲げた目標のひとつが、この世界バレーで「ベスト8」に入ることだった。我らが全日本男子チームは、見事この快挙を成し遂げた。
大会の第2次ラウンドの舞台は仙台。日本の総当たり戦の相手は、カナダ、チュニジア、セルビア・モンテネグロ、ロシアだった。
今回は全試合をテレビ観戦。まずは地上波TBS系列で"ドラマチック"に味付けされた実況中継を楽しむ。しかし、ほんとうのファンはこれだけでは終わらない。
試合結果を知った上で、今度はスポーツ専門チャンネルで放送する同じ試合を観る。1度目とは違って、今度は落ち着いて選手たちの活躍ぶりをウォッチできる。これがまたなんともいえず面白いのだ。

▲日本、破竹の勢いで2連勝を飾る!
初戦のカナダ戦、日本は実に気持ちよく勝った。チームの良いところばかりが目立ったと言ってもいい。この大会に限っては圧倒的なブロック数を誇っていたカナダ(世界ランキング12位)のお株を奪うように、日本のセンター陣がカナダを圧倒した。
第2戦の相手は、アテネ五輪で11位のチュニジア。カナダ戦の勢いとは一転し、日本は第1次ラウンドで見せたような苦しい競り合いを演じてセットを奪われる。しかし結果はフルセットの末の見事な逆転勝ちとなった。

▲ファンを熱くさせた植田監督のインタビュー
チュニジア戦のあと、コート上でのテレビ・インタビューで植田辰哉監督はこう観客に呼びかけた。
「夏場から厳しい厳しい練習を選手たちに求めて、選手はその苦しい練習に耐え、こういう粘り強いチームになりました!まだまだ先はありますけど、選手たちをほめてやってください!日本男子バレーに光が見えてきたと思います。ありがとうございました!」
他の会場での試合結果と照らし、この試合の勝利によって日本の24年ぶりのベスト8入りが決定した。アナウンサーがそのことを伝えると、植田監督は
「最高です!最高です!」と叫んだ。男泣きだった。
ふだん沈着冷静で感情をあらわにしない監督が、全身で喜びを表現している。その想いがひしひしとテレビの前の私にも伝わってきて、思わず涙…。

▲歴史上最も厳しい合宿の成果は、「全員バレー」
生まれ変わった全日本。
第1、2次ラウンドを通じて、随所にその変貌ぶりが見えた。私の頭に浮かんだ言葉は「全員バレー」。
レギュラーと控え選手の間に垣根がない。その時調子がよい選手や前の試合で活躍した選手がどんどん抜擢される、試合の流れが悪くなればすぐにベンチの選手が呼ばれる…。誰もがいつでも準備万端でスタンバイし、試合に出ることができる。
また、一人のナイスプレイを全員で喜び称える姿を、数え切れないほど目にした。コートに出ていない選手も自分と同じポジションの選手に声がけやアドバイスする。(チーム一丸となるというのはこういうことなんだ)と思った。
みんながライバルであり大事な仲間――。
近年の全日本チームの歴史の中でも、最も厳しく苦しかったともいわれる合宿を、共に乗り越えてきたメンバーだからこそできる「全員バレー」だ。

▲個性的なアタッカー陣で、戦術面も進化した!
戦術の面では、アタッカー陣の特色(攻撃型、守備型)が明確になり、戦い方のバリエーションが広がった。攻撃型エースは、山本隆弘選手、直弘龍治選手、石島雄介選手、越川優選手。守備型エースには荻野正二選手と千葉進也選手がいる。
この6人のアタッカーを自由自在に組み合せた布陣を各試合で敷くことができるのだ。そういった布陣を見るたびに、「おー、こういうかたちでも戦えるんだ!」と、頼もしく感じた。

第2次ラウンドでベスト8入りが確定すると同時に、日本チームのファイナルラウンド進出が決定。正直いって、日本がここまで行けるとは予想していなかった。
12月2日と3日、私は国立代々木競技場で行なわれたファイナルラウンドに足を運ぶ。強豪国同士の戦いぶりを間近で見られることはもちろん、進化した日本チームが強豪国をどう迎え撃つのかを想像すると、ワクワクする。
次回は、その模様をお届けしたい。


●バレーボールの豆知識(7)

タッチネット

▲タッチネットは"ビミョー"な反則
プレイ中に選手がネットやアンテナに触れること。主審は、反則を犯した選手がいるチームの側のネット側面に手で触れるハンドシグナルで示す。
この反則により、相手チームに1点とサービス権が与えられることになる。例えば、スパイクを打った選手が着地した時にネットに触れただけでも反則を取られる。
ただし、ボールに対して直接関わらない動きの途中での接触、例えばスパイクを打った選手が一度着地してから次の動作に移る時などは、「プレイに影響無し」と見なされて反則にはならない。
ネットをはさんで両チームの選手が同時にネットに触れることも稀にだがある。これは「ダブルフォールト」あるいは「ダブルタッチネット」と呼ばれ、続行中のプレイはノーカウントとなる。
▲敵のチームでさえ、「触ってないんじゃない?」
タッチネットの判定は、観客はもちろん、ベンチや当事者の選手たちにすら判断が難しい場合がある。そのため、試合の見せ場ともいえる息詰まるラリーの最中にこの判定が出されると、試合会場全体が一瞬興ざめした状態になる。

ここ数年、日本で行なわれる国際大会をいくつか観てきたが、微妙なタッチネットをはじめ、「ホームゲームなのに日本が細かな反則を取られすぎではないか。まるでアウェイのようだな」と感じるケースが多々あった。
審判の決定は絶対であり、その判定はフェアな精神に則ったものであると信じたい。しかし、両チームの選手、ベンチ、そして観客の誰もが首をかしげるような判定は、やはりあってはならないものだと思う。