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PLAY HARD 蘇れ!日本男子バレー 〜北京への道〜
執筆名:山岡 恵

■ 第16回 2007 ワールドリーグ(その1)


■秋のワールドカップに向けての前哨戦、いよいよスタート
▲日本男子バレーボールチームは強豪国揃いのグループに !
第9回と10回のコラムでご紹介したワールドリーグ。毎年開催されるこの男子バレーボールの国際大会も今年で18回目を迎えた。世界16ヵ国が4グループに分かれ、ホーム・アンド・アウェイで、2試合ずつ戦っていく。同じグループ内で4カ国の各チームが「総当たり、合計12試合」を戦い、決勝トーナメントへの進出を目指す。

毎週末2試合が終わると、国から国へと空の旅の繰り返しであるため、各チームはコンディション調整に苦心しているようだ。しかし、ファンにとっては週末が待ち遠しくてたまらない“夏の恒例行事”でもある。
今回のワールドリーグは、今秋開催されるワールドカップの「前哨戦」と呼ばれている。さらにワールドカップで上位3位以内に入れば来年の北京五輪出場権を獲得できる。こうしたステップの起点となるワールドリーグに対して、各国チームの思い入れが強くなるのは当然と言えば当然なのだ。よってワールドリーグでは、各国の期待の新人や最強メンバーが選抜され、本格的なチーム作りが行われる。

日本のグループBは、フランス、アメリカ、イタリアといういずれ劣らぬ強豪が居並ぶグループだ。世界の中で全日本メンバーの実力が試される場としては最適といえよう。

▲新たなる全日本選抜メンバーを紹介 !
植田辰哉監督率いる全日本男子チーム。今回のワールドリーグには18名の選手が登録された。
前回のVリーグでMVPに選ばれた越川優選手、ブラジル武者修行から帰国したばかりの“ゴッツ”石島雄介選手、昨年秋の世界バレーでブレイクした千葉進也選手などを含むメンバー構成である。

この登録メンバーの中で、今回は4人の選手に注目してみた。全日本に初めて選抜された3名と、昨年代表に選ばれながらも故障で出場できなかった1名。チームの鍵を握るメンバーばかりなので、ぜひ皆さんにも注目いただきたい。

まずは、松本慶彦(まつもと  よしひこ)選手。1981年生まれのミドルブロッカーであり、NECブルーロケッツに所属している。日本で最高到達点が一番高いといわれるトップクラスのセンター。バレーボール選手には細身の人が多いが、松本選手はその細面も手伝ってか、一見きゃしゃな感じさえする。身長は193cm、体重80キロ(雑誌では77キロという記録もある)。昨年、国際試合の会場にスーツ姿で観戦にきている様子を見かけたことがあるが、めがねをかけ、まじめそうな雰囲気が漂う選手だった。

松本選手は、1昨年の第12回(2005年)Vリーグではスパイク賞を獲得し、ベスト6にも選ばれた。その実力を買われ、昨年の全日本男子の選抜メンバーにその名を連ねたが、小指骨折のため国際大会への出場の機会を逃している。試合中は淡々としたプレイで、大声を出したりするタイプではないが、真剣な眼差しにひたむきさを感じる選手だ。
今回全日本にカムバックし、ようやく国際舞台でプレイできることで、人一倍燃えているであろう松本選手。世界の強豪相手にどんどんブロック、クイックを決め、観衆をあっといわせてほしい。

富松崇彰(とみまつ  たかあき)選手は、1984年生まれのミドルブロッカー。東レアローズに所属している。「彗星のごとく現れた」という言葉がピッタリの期待のセンターだ。大学を出たばかりの新人だが、昨シーズンは大学4年生でありながらVリーグで「内定選手」として活躍し、ブロック賞を獲得。さらにはベスト6にまで選ばれてしまった大物である。
同い年の越川優選手とは、高校時代に全国高校バレーボール選抜優勝大会(春高バレー)の決勝で火花を散らしたよきライバルの関係だ。前回のリーグ中も、越川選手の所属するサントリーサンバーズとの試合後、お互いに駆け寄って握手を交わしていた。その時の富松選手の顔は恥ずかしそうでありながら実にうれしそうで、同い年の越川選手に丁寧に頭を下げる様子が印象的だった。ベビーフェースで笑顔がとてもかわいらしい。
身長は191cmと、センターとしては小さい。だが、腕がおそろしく長いのが特徴だ。その長さはサーブを打つ姿でよくわかる。失礼ながら、「なんだか手長ザルみたい…」といつも思ってしまう…。
しかし、その長い腕から繰り出すサーブは強烈で、一般的にはサーブポイントを期待されないセンターにあって、貴重な存在だ。北京五輪に向けて、全日本に欠かせない存在となるだろう。

今田祐介(いまだ  ゆうすけ)選手は、1981年生まれのウイングスパイカー。東レアローズに所属する大きくて、強い光を放つ瞳の持ち主だ。ずばり、「ビジュアル系」の選手である。スパイクを打ってコートを走り回るたびに髪がさらさらとなびく。まるでアニメのキャラクターのように絵になる人だなあと常々思っていた選手だ。
その見た目とは裏腹に、声は低音で話し方はさっぱりとした体育会系。今田選手は東レアローズに入るまでは、ほとんど無名だった。東レが第11回リーグ(2004年)で優勝した際、その立役者となった時から名前が知られるようになっていった、「遅咲きの選手」といえよう。
そのプレイスタイルはガッツにあふれ、勢いと思い切りのよさが印象的だ。全日本メンバーに選ばれたとはいえスタメン入りの競争は激烈だが、コートに立つチャンスをどう生かし、自分をアピールしていくか、じっくりと見ていきたい選手だ。

島野俊一(しまの  しゅんいち)選手は、1981年生まれのセッター。豊田合成トレフェルサに所属しており、身長は180cmとかなり小柄である。現在は髪を坊主頭にしていて、試合中はずっとポーカーフェース。「まるでお寺のお坊さんみたいだなあ」と、その姿を目にするたびに思う。豊田合成の公式サイトでプロフィールをチェックしてみたところ、マイブームはなんと「お香」だった。似合いすぎる!
島野選手も、今田選手と同様、その名が知られるようになったのは最近のことだ。豊田合成トレフェルサは、リーグで長年下位に甘んじていたが、昨シーズンに初めて4強入りを果たした。島野選手のトスアップの巧みさあっての成果と、高く評価されている。
豊田合成の松田明彦監督は、長年にわたり全日本の司令塔として活躍し、パルセロナ五輪に出場。攻撃的なバレーを好む、強気なセッターとして知られた人だ。その監督から直伝のテクニックを伝授されてきたのが島野選手である。
国際大会の経験がまったくない島野選手を、今回植田監督があえて抜擢した理由のひとつがここにあると私は考えている。植田監督が主将(センタープレイヤー)としてチームを率いたバルセロナ五輪でセッターを務めた松田監督の秘蔵っ子。植田監督が大きな期待を寄せるのはよくわかる。

また、今回の大会からは全日本男子チームのコーチとして、NECでプレイしていた大竹秀之氏が加わった。大竹氏といえば現役時代は日本人離れした長身(208cm)を生かし、センタープレイヤーとして活躍。バルセロナ五輪を植田監督とともに戦った一人だ。この人選からは、植田監督がセンター線の強化を重視したチーム作りに取り組んでいることがよくわかる。

次回は、ワールドリーグ、日本チームの全12試合の中で、これぞという試合をピックアップする。強豪国との熱戦と、選手たちの成長ぶりを、ぜひ皆さんにお伝えしたい。

- 参考資料 -
今回のワールドリーグにエントリーされた日本代表選手
→http://www.jva.or.jp/world/2007/worldleague/list.php

●バレーボールの豆知識(11)

選手交代

1チームは、1セットにつき6回まで選手交代が可能。
1人の交代を1回と数えるので、同時に2人なら2回分、3人なら3回と数えることになる。いわゆる「2枚変え」といわれるのは、一度に2人の選手を交代させるもの。ここが勝負!という大事な局面で、強いサーブを打てるアタッカーと、相手チームから自分のチームにボールが戻る際に、ブロックでシャットアウトできるセンターを選ぶ、というねらいの交代を、試合ではよく目にする。
なお、守備の要であるリベロの交代は交代の回数には数えない。リベロは、ローテーションでバック(後衛)に来る選手となら誰とでも交代できる。
ただし、この交代が許されるのは、
1)各セットの開始時 
2)タイムアウトのとき 
3)どちらかのチームが得点し次のサービスが行なわれるまで 
のいずれかでなければならない。センタープレイヤーがバックに回った際にリベロと交代する局面はよくある。