映像翻訳|海外のテレビ番組や映画の映像翻訳を仕事にするための学校です。多くの修了生、受講生がドラマ、アニメーション、ドキュメンタリー番組など多方面で活躍しています。

Tipping Point

Tipping Point

タイトルの‘Tipping Point(ティッピング・ポイント)’は、アメリカで近年注目されているマーケティングの用語。「まるで1本のマッチの火から野火が広がるように、小さなきっかけが人に影響を与え、連鎖し、やがて大きなトレンドや流行に変わっていく瞬間」のことです。
それを「自分が変わる瞬間、進歩する瞬間」に置き換えてみましょう。小さな発見や気づきが自分を良い方向に導くきっかけになった…そんな経験は誰にでもあるはずです。能力やスキルの向上はもちろんのこと、学校との関わりの中で一つでも多くの‘Tipping Point’を発見して下さい。受講生や講師・スタッフとのちょっとした会話、映画やテレビ番組、1冊の本…、視点を変えれば、そこは‘Tipping Point’の宝庫。このコラムを、そんなきっかけの一つとして楽しんでもらえれば幸いです。

日本映像翻訳アカデミー / English Clock 代表・新楽直樹

■Vol.1
「鉄腕アトム」の生みの親、手塚治虫氏は負けず嫌いだった(28.Jun.2002)

NHK-BSで不定期に放送されている「マンガ夜話」。話題のマンガや名作について文化人が熱く語り合うユニークな番組です。2004年4月の放送では手塚治虫さんを特集していました。私が興味を持ったのは「手塚治虫先生は、誰もが認める国民的マンガ家。なのに、どんなに尊敬される立場になっても負けず嫌いな性格は変わらなかった」というエピソードです。

若手のマンガ家に会うと必ず「私はキミと同じタッチで絵が書けるんだゾ」と、自分から議論を挑んできたのだそうです。‘神様’としてのたしなめではなく、本人は至ってまじめだったといいます。
まるで子供!究極の負けず嫌い!新しい作風やアイデアがいつも気になっていて、マンガ界のトップに立ってもまだ、「進化を続けよう、腕を磨いていくぞ」というわけです。同時に感心したのは、恐らく当時は“日本で最も忙しい人”の一人であったはずの手塚治虫さんが、続々と登場する新人マンガ家の作品の隅々までに目を通していたという事実です。それはトップとしての誇りなどとは無縁の、純粋な「負けず嫌いの気持ち」が生む力だったのではないでしょうか。


わが身を振り返ると、「忙しいから、仕事に直接つながらないことだから」などと自分自身に言い訳して、「ほんとうは今、腕を磨くために理屈抜きで没頭しなければいけないこと」を後回しにする機会が何と多いことか!
今、行動を起こすのに理屈が必要なら「負けず嫌いだから!」だけで十分なんだと思います。今、単語を覚える、ビデオを観る、映画を観に行く。それができない、やらない自分に言い訳は無用だと、手塚治虫さんのエピソードは教えてくれます。負けず嫌いだから知らなきゃ悔しい、できなきゃ悔しい、だから今やる…。それでOKなんです。(了)