今週の1本

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2007年4月 アーカイブ

Vol.1 『オール・ザ・キングスメン』 by 石井 清猛

『オール・ザ・キングスメン』 by 石井 清猛

1920年代アメリカに実在した政治家をモデルにした同名小説の2度目の映画化作品。叩き上げの州知事ウィリー・スタークと、彼の情熱に心引かれ、密着取材を始める記者ジャック・バーデン。価値観も階級も異なる2人の男の関係は、ダイナミックな政治の世界で果たしてどう変わっていくのか。

出演がショーン・ペン、ジュード・ロウ 、ケイト・ウィンスレット、そしてアンソニー・ホプキンスとくれば、彼らをスクリーンで見るためだけに劇場へ足を運ぶ気になるというもの。薦められなくても観にいくよと言われてしまいそうです。当然、見どころも満載。

ここであえて1つだけこの映画の魅力を挙げるなら、それはジュード・ロウの"闇"です。絶対に光が差し込むことのない、深く濁りきった心の闇。スクリーンの上で、目に見える暗さとして現れるこの闇は、ショーン・ペンの破滅的な情熱と好対照をなしていました。もちろん、それでも美しいのがジュード・ロウなのですが。
「悪は、善からも生まれる」のかもしれません...。


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『オール・ザ・キングスメン』
出演:ショーン・ペン 、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット
監督/脚本/制作: スティーヴン・ゼイリアン
製作年: 2006年
製作国: アメリカ
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Vol.2 『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』by 浅野 一郎

『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』 by 浅野 一郎

この世でもっとも面白く、もっともお下劣で、もっとも知的なコメディ集団「モンティ・パイソン」。これは、彼らの実質的な映画第1作目である。

映画のテーマはアーサー王と聖杯伝説の物語。アーサー王に関する伝説は諸説あるが、岩に突き刺さった剣を抜いて王となり、円卓の騎士と共にブリテンを統一したという話は有名。

しかし、この映画を作っているのは、神をも恐れぬモンティ・パイソン。神の恩寵を受けたアーサー王と勇敢な円卓の騎士たちは、聖人君子が大嫌いなパイソンの格好の餌食だ。間抜けでカリスマ性が皆無なアーサー王、血の気が多くすぐ剣を抜くランスロット卿、病的なまでに臆病なロビン、計算高く小心者なガラハッド...。
伝説のヒーローたちはパイソンの手で徹底的に貶められ、少年少女を虜にしたストーリーは不条理なギャグで汚染されていく。

ここまで読んでいただいて、"なんだ... ただのおバカ映画じゃないか..."と思った方も多いかもしれない。しかし、表面的には単なる悪ふざけに見えても、実は政治風刺や宗教・人種問題などが巧みに織り込まれているのだ。見直すたびに新たな解釈が生まれ、新たな魅力が見えてくる。一度、ダマされたと思って観てほしい。きっと深遠なパイソン・ワールドに引き込まれるはず!


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『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』
出演: モンティ・パイソン
監督: テリー・ジョーンズ、テリー・ギリアム
製作年: 1975年
製作国: イギリス
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2007.04.13

Vol.3 『クローサー』 by 柳原 須美子

劇作家パトリック・マーパーの2作目の戯曲「CLOSER」を基に、マーパー自身が新たに脚本を担当し映画化されたのが本作。

ロンドンを舞台に2人の男と2人の女が、偶然出会い、偶然引かれ合い、お互いの人生を翻弄し合う。そう、これはラブストーリーです。4人を演じるのは、ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン、ジュリア・ロバーツ、クライブ・オーウェン。

本作は、ほぼこの4人の会話で構成されています。

そこで肝心となってくるのが彼らから発する"言葉"です。これがあまりにも赤裸々。ウソもホントも豪速球で投げ合っています。その結果、本作は全編を通して緊張感に溢れています。

"緊張感"とは人を美しく見せるものなのでしょうか。キャラクターの性格はさておき、4人とも別の映画の5割増し(私の統計上)でキレイに見えた気がしました。

ここで、本作の魅力をもう1つ。
オープニングとエンディングに流れるテーマソング、Damien Rice(祝! フジロック出演決定)の「The Blower's Daughter」 は必聴です。オープニングでこの曲が流れた瞬間、本作は"マイ・フェイバリット・ムービー"リスト、上位入りが決定!音楽の力を改めて実感させられました。

このオープニングだけでも一見の価値アリ。是非ご覧あれ。


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『クローサー』
出演: ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン、ジュリア・ロバーツ、クライブ・オーウェン
監督: マイク・ニコルズ
製作年: 2004年
製作国: アメリカ
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Vol.4 『ホンコン・フライド・ムービー』 by 藤田 奈緒

私が香港好きを公言するようになり、広東語を習い始めたきっかけは、実は翻訳センターの仕事でした。40話の武侠ドラマが3シリーズ、さらに25話の現代ドラマが3シリーズも続き、まさに朝から晩まで香港漬けの日々。半年経った頃には、すっかり広東語の虜になっていました。

勢い勇んで広東語を習い始めたものの、仕事でのシリーズは終了。耳を慣らすために"香港映画"ってものを観てみようと思い立ち、近所のレンタルビデオ屋さんで借りたのが、この『ホンコン・フライド・ムービー』です。

これは「MR.BOO!」シリーズで有名なマイケル・ホイ監督の作品。味は一流だがドケチの老舗鴨料理店が、外資系のフライドチキン店に客を奪われ、負けじと大奮闘するコメディです。アメリカン・ファーストフードを皮肉った内容になっていて、東洋vs西洋のバトルが繰り広げられていきます。期待どおりのドタバタが楽しめるはず。

80年代の作品なので描かれているのは一昔前の香港ですが、かなりローカルな雰囲気が漂いまくり、「そうそう、香港ってこんな空気!」と観てるだけでテンションが上がります。マイケル・ホイは香港人の日常を描くことにこだわりを持っているとか。車や人でごった返す街、早口でまくし立てるように喋るおじさん、おばさん...などなど香港の人々の日常を垣間見ることが出来る、かなり興味深い作品です。

余談ですが、前出の現代ドラマにシェフ役で出演していた俳優がファーストフード店のオーナー、ダニー役で出ていたのを発見!香港映画&ドラマ界は予想以上に狭いらしく、あちこちの作品で見覚えのある顔が見られます。古い映画を観て、自分のお気に入りの俳優探しをしてみるのも面白いかもしれません。


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『ホンコン・フライド・ムービー』
出演: リッキー・ホイ、シルヴィア・チャン、ローウェル・ロー、グロリア・イップ
監督: マイケル・ホイ
製作年: 1988年
製作国: 香港
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