発見!今週のキラリ☆

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2007年4月 アーカイブ

Vol.1-1 「第1回ってことで告白します、キラリ☆」 by 潮地 愛子


ある日、出社して、いつものようにメールをたちあげた。しかし、何かが違う。字がぼやけてしまって読めない。私は恐怖に襲われた。というのも、仕事柄、眼を酷使しすぎて視神経が炎症を起こしたとかで、しばらく通院していたことがあったからだ。眼が痛かったり、見えにくいという状態は非常につらい。気分までウツウツしてくる。

「見えない!」と大騒ぎする私に、代表をはじめ同僚たちも、ものすごく心配そうな顔で今すぐ病院へ行ってこいと言ってくれた。字が読めなければ、仕事にもならない。そんなわけで、同僚が探してくれた日本橋の眼科へ急いだ。
道すがら、いろんな恐怖が襲ってくる。「見えなくなってしまったら、どうしよう」と本気で思った。最近、はやりのスピリチュアル的にいえば、すべてのことに意味があるという。だとしたら、私が見えなくなってしまうことの意味は何なのか?

駆け込んだ病院は、意外にすいていて、すぐ診察してもらえることになった。診察のために、コンタクトをはずした。そうしたら、その下からまたコンタクトが現れた。そう、私はコンタクトを二重につけていた。見えるはずがない。

恐る恐る会社に戻ると、皆が心配そうな顔で待っていた。「なんか、大丈夫でした」というラチのあかない説明に、そう簡単に治るのか?といぶかしげな顔をしながらも、よかったねと言ってくれた皆ありがとう。

何でもネタにする私だが、この時ばかりはあまりに心配させたので、「コンタクト2枚つけてました!エヘヘ」とは言えず、今にいたる。

恐らく、この事件に意味があるとするなら、まわりの優しさに気づけよ、ってことだったのかもしれない。

後日、解禁ということで、ある人にこのネタを披露したところ、大笑いしてくれた。あまりに笑いすぎてその人の目じりには、涙がキラリ☆

Vol.1-2 「ハニカム44歳。ミュージシャン、KANさんのキラリ☆」 by 藤田 奈緒


皆さん、こんにちは。翻訳センターの藤田奈緒です。

4月8日の日曜日、KANさんの弾き語りライブに行って来ました。
そう、♪かーなーらーずぅ、最後に愛は勝つーっ♪(「愛は勝つ」(1990年)」の歌声で日本中に感動を与えてくれた、あのKANさんです。

KANさんは今年でデビュー20年。大ヒットを記録した以降も地道にミュージシャン活動を続け、いつの時代もコアなファンに支持され続けてきた、素敵なおじさまです。

「愛は勝つ」の頃からピアノのイメージが強いKANさんですが、弾き語りライブを始めたのは、意外にも、つい最近だそうです。

きっかけは「フランス留学」でした。
現地のピアノ学校で仲間たちと雑談していた時のこと。「日本で音楽活動してるんだ」と話すと、「なにか弾いてよ~」とせがまれたKANさん。ピアノが目の前にあったにもかかわらず、その時は「いやいや、いいよ...」と逃げ出してしまったそうです。

その日の出来事が心に引っかかったまま、2年前に帰国したKANさん。(仲間のリクエストに応えて即興演奏ができなかった自分...ピアノの弾き語り一つできないでアーティストなんてかっこ悪いな...)と反省しました。

「単独弾き語りツアー」をスタートしたのは、その直後でした。

しかし、意気込んで始めてはみたものの、"小心者"を自認するKANさん。ライブ開始前の緊張に耐え切れず、開始予定時刻の30分前からステージに登場。リハーサルを始め、いつの間にか満員になったお客さんに気づくと一旦ちょっと下がって、すぐに再登場。そのまま本番に突入!

めったにお目にかかれない"荒業"を披露してくれました。(笑)

ほんとうに幸せそうに歌うKANさん。
今回のツアーのために、KANさんが銀座で購入したというCole Haanの靴が、キラリ☆。

Vol.2 「キラリ☆翻訳者魂」 by 藤田 庸司


"原文に忠実に訳せ"。しばしばこの言葉が拷問になるときがある。下ネタである。

素材すべてがお堅いドキュメンタリー番組ばかりではないので、下ネタの1つや2つはあって当然といえば当然だが、訳すときの苦労は絶えない。

特に「普通の会話としてもとれるが、流れ的には"下"だろ?」のような、ダブルミーニング的な文は厄介だ。「こんな訳つけたらチェッカーさんに変態と思わるかも(汗)」という自分と「情報を正確に伝えろ、キラリ☆翻訳者魂を見せるんだ!」という自分との戦いが始まる。
まあ、結局はモンモンとしながらも翻訳者魂を見せるのだが(笑)

先日もオフィスで、原稿チェック中の同僚に意見を求められた。「この原文って普通の会話と思う?下ネタ?」。ひるむ僕に彼女、「前にお色気コメディを大量受注したときなんてさー、朝10時から丸1日下ネタチェックよ」。クールに言った。

翻訳者たるもの、大先生でもなければ自分の苦手な素材だろうと引き受けなければならないのは常だ。下ネタに限らず、いかなる素材(残酷・悲哀・宇宙・メカ・etc...)が来ようと平然と受け止められる度胸も、翻訳者にとっては必要な資質なのかもしれない。

Vol.3 「真実を真っ直ぐに見つめる人」 by 藤田彩乃


アカデミー賞で最優秀長編ドキュメンタリー賞と最優秀オリジナル歌曲賞の2部門を受賞した「不都合な真実」。アメリカのアル・ゴア前副大統領が、地球温暖化の惨状と人類が取るべき対策を訴えるドキュメンタリー映画だ。ロングラン上映中なので、ご覧になった方もいると思う。ゴア氏が執筆した同名の書籍版もアカデミー賞受賞後に人気が再燃し、発行部数はすでに18万部を突破した。ノンフィクションとしては異例の大ヒットだという。

映画の素晴らしさや主題である環境問題についてのコメントは、テレビ報道や新聞・雑誌の記事に譲るとして、今回はゴア氏を巡るもう1つの"真実"を紹介したいと思う。

この映画が全米で公開された直後、突如「You tube」に現れた、ある動画をご存知だろうか。その名も「Al Gore's Penguin Army」。アメリカ国内ではかなり話題になった、一般投稿者によるショート・ムービーだ。

その内容は、ゴア氏を徹底的におちょくるもの。ペンギンを相手に洗脳を試みるゴア氏から始まって、「温暖化を止めるには...息をしない。ベジタリアンになる。どんなに遠くても歩く。シャワーはお湯を使わない」などという馬鹿げたメッセージで締めくくられる。全編に渡りこんな調子のバッシングやブラックジョークが満載なので、興味のある方はご覧になっていただきたい。

シロウトが作ったにしてはずいぶん出来がいいこの動画。いったい誰が作ったのだろうか?

世界中の視聴者が抱いたこの疑問に答えてくれたのが、アメリカの有名な経済情報誌「Wall Street Journal」紙だった。

同紙の取材によると、なんと黒幕は世界の石油業界を牛耳るエクソンモービル社と、世界最大の自動車メーカーの座をトヨタと競い合っているゼネラル・モーターズ社だったのだ。

巨大石油会社にとって温暖化ほど厄介な問題はない。温暖化を防ぐための対策が本格的に実施されれば、石油会社は確実に儲からなくなってしまう。事実、エクソンモービル社には、長年に渡り組織的に温暖化対策を妨害しているという疑いもある。そのために、莫大な資金を有力政治家や温暖化の影響を低く見積もる研究者などに提供していると、多くのメディアが報じている。

もちろんクリーンなイメージをもつゴア氏だって、たたけばホコリの1つや2つは出てくるだろう。でも、敵がいくらそんなことをしたところで、ゴア氏が勇気をもって告発した「不都合な真実」を消し去ることはできない。

地球が直面している危険から目を背けずに、真っ先に声を上げて世に訴える。そして、とにかく行動を起こす――。そのためには、自分の失敗や弱みを、とりあえずは棚に上げたっていいと、私は思う。

ゴア氏は、温暖化対策に消極的なアメリカや、現状維持を望む企業群に対して、今のままでは地球が滅ぶという「不都合な真実」を突きつけた。しかしそれだけではなかった。この星の住人でありながら、まるで他人事のように温暖化問題から目をそむけている我々に対してもまた、「行動を起こさないから危機が拡大しているんだよ」という「不都合な真実」を突きつけているのだ。

行動を起こした人の粗ばかりを探すような傍観者は、行動を起こした人を批判できるような立場にないと、私は思う。

巨額のマネーに目がくらみ、良心まで売り渡してしまう政治家が多いなかで、果敢に環境問題と戦うゴア氏。そして、メディアとしての本来の役割を果たそうとした「Wall Street Journal」紙。

こんな人たちがいることを知って、私の心の片すみに、キラリ☆と小さな灯が灯った。

※問題の動画と「Wall Street Journal」紙の記事は、
下記URLにて閲覧可能です。
http://online.wsj.com/public/article/SB115457177198425388-0TpYE6bU6EGvfSqtP8_hHjJJ77I_20060810.html?mod=blogs