発見!今週のキラリ☆

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2007年7月 アーカイブ

Vol.11 「チェリーパイのある世界へ」 by 石井 清猛


今週のテーマは私がこよなく愛する、少し昔の海外ドラマ。最初にちょっとしたクイズに付き合ってください。次のキーワードから、このドラマのタイトルが思い浮かぶでしょうか?

赤いカーテンの部屋、"ダイアン"、ふくろう、チベット式、夢の演繹的捜査法、そして"丸太おばさん"。

ここまでで分かったあなた。すばらしい。今度ぜひご連絡ください。お茶でも飲みながらドラマの思い出話で盛り上がりましょう。この先は特に急いで読む必要はありませんよ。書いてあるのはすべて、あなたがよく知っていることですから。

チェリーパイ、ローラ・パーマー、カイル・マクラクラン、そしてデイヴィッド・リンチ。

ここまでで分からなかったあなた。うらやましい。恐らくまだご覧になったことがないということは、あの世界に初めて足を踏み入れる興奮をこれから味わえるのですね...。この先は特に急いで読む必要はありませんよ。それより、早くレンタルビデオ店に行って、店の人に尋ねてください。"すみません、『ツイン・ピークス』って置いてますか?"

アメリカ本国で1989~1991年にTV放映されるやすぐに世界中で熱狂的な人気を獲得し、90年代アメリカ文化の象徴の1つとなった伝説的ドラマ、それが『ツイン・ピークス』です。今年に入って全30エピソードがDVD化され、先月から日本語字幕版のレンタルが始まりました。

物語はアメリカ北西部にある架空の町ツイン・ピークスを舞台に、ある連続殺人事件の顛末を描いたものです。捜査の過程で明らかになる小さな田舎町の入り組んだ人間関係。若く優秀でありながら風変わりな性癖をもつFBI捜査官が犯人を追う中、事件は次第に怪奇的な様相を帯びていきます。
いわゆる"スモールタウン物"の人間ドラマを基調として、そこに推理サスペンスとオカルト要素を取り入れた重層的な作品となっているのですが、このドラマの魅力の1つに、作品全体を包み込む、ある"ムード"があります。そのムードとは、製作者独自のユーモアと世界観の反映に他なりません。

『ツイン・ピークス』の製作、原案、脚本、監督を担当しているのはデイヴィッド・リンチ。彼はこの作品について、"ダークなソープオペラを作りたかった"と語っていますが、その言葉は『ツイン・ピークス』が持つ"ムード"を簡潔に言い表していると思います。

その"ムード"を言葉で説明するのは(何といってもムードなので...)難しいのですが、たとえるなら「オー!マイキー」で戯画化されている50年代アメリカの幸せな家庭のポートレートを、ネガで見た時に感じるであろう、微妙にグロテスクな感覚です。

「ダンボ」という空飛ぶピンクの象を生み出したウォルト・ディズニーが、ある種の薬物の影響下にあったという(ウソか本当か分からない)有名なエピソードがありますが、ポップなイメージの世界が持つ二面性は、90年代以降のアメリカの映画作家に共通したテーマなのかもしれません。例えばティム・バートンやコーエン兄弟の映画がもつ"暗さ"が、常にポップな明るさと隣り合わせであるように、イメージとしての"ポップさ"は、もはやかつてのように透明なものではありえません。

『ツイン・ピークス』のもう1つの魅力は、音楽です。アンジェロ・バダラメンティによるオリジナルサウンドトラックは、50年代アメリカンポップスとモード・ジャズをアンビエント風にミックスしたような、かなりクセになる"ムード"音楽集となっています。
当時はテーマ曲のハウスミックスが出されたり、他のアーティストによるコンピレーションアルバムが発売されたりしました。日本からも、確か細野晴臣が参加してましたね。

別にパラマウントの回し者でもないのですが、だまされたと思って、お時間のある時に1話だけでも見てみてください。内容にあまり興味が持てなかったとしても、関冬美さんの今も古びない字幕を見て勉強するというウラの活用法(→キラリ☆)もありますし。

さあ、みなさんの週末の予定は決まりですね。DVDを借りて、TVの前に座って、買ってきたチェリーパイを口いっぱいに頬張って...。

Vol.12 「ラテン流ドラマに学べ!~愛と略奪の大げさフレーズ8連発~」 by 杉田 洋子


皆様こんにちは。キラリ☆初登場のビリーこと杉田(♀)です。もう7月も半ばを過ぎたというのに、今年の夏は涼しいですね。
せっかくバーゲンで買いためた夏服たちもクローゼットで出番待ち。何だかちょっと物足りないな...。今週はそんな皆様のハート
を熱くするべく、私が担当しているテレノベラ(ラテン流スペイン語ドラマ)から、最高にホットな厳選フレーズ集をお届けします!


テレノベラとは、ラテンアメリカ諸国で制作される連続もののメロドラマのことです。今ではすっかり人気の定着した韓流に続き、日本の市場に電光石火の勢いで進出しています。昼ドラを思わせるドロドロのシナリオは、今回も全国の女性の心をしっかりとつかんだよう。テレノベラによく見られる特長をいくつか挙げると...

・とにかく長い。平均1時間×100話~200話。
・とにかく登場人物が多い。家族や親戚まで巻き込み50人は優に超す。
・美男美女がせいぞろい。露出度高し。
・ある日突然、貧乏⇔金持ちに。双方向型シンデレラストーリー。
・定番のキーワードは、一目ぼれ、遺産争い、刑務所、マフィア、復讐、狂おしき愛。そして真実の愛。

愛すべきテレノベラを翻訳したりチェックしたりしながら、思わず手を止めてうなってしまうのが、人物たちのこじゃれたセリフの数々です。彼らは本当に褒め上手のけなし上手。大げさな例えを駆使し、あらゆる場面に対応できる豊富なラインナップを常備しています。それでは参りましょう!

~ビリーpresents大げさフレーズヒット集~
※今回は英語/日本語バージョンでお送りします。

<ポジティブ編>
【究極の出会い系】
車に引かれて意識を失った少女。ドライバーの青年に抱き起こされ、開"眼"一番の一言。
"Are you an angel?"
「あなたは天使?」
待っていたのは"死"か、"運命の出会い"か!?かゆ~い一言です。

【胸キュン系】
落胆した様子で目に涙を浮かべた女性に、ハンサムな好青年が一言。
"Now you can tell me what's wrong... and please, don't tell me that you caught something in your eye because I won't believe you."
「何があったか話してくれないか?まさか目にゴミが入ったわけじゃないだろう?」
落ちますね。恋に。

【インテリ口説き系】
"複雑な事情だから..."と悩みを打ち明けるのをためらう女性に対し、好青年が一言。
"Well, it happens that I am very good in algebra... I specialize in complicated problems. Tell me about it."
「ちょうどよかった。僕は代数学が得意でね。複雑な問題は専門分野なんだ。」
う~ん、スマート!

<ネガティブ編>
【逆ギレ系】
兄弟ゲンカで弟に追い詰められた兄の苦しい一言。
"Sure, sure, sure, if an atomic bomb's dropped on the other side of the planet, that's my fault too, isn't it?"
「この星の裏側で原子爆弾が投下されたとしても、俺のせいだっていうんだろ?」
凝ってますねー。実は余裕?

【けなし系】
学生時代の思い出話を友達に聞かせる弟のセリフから。
"He told the poor girl that she was uglier than the under part of a car."
「兄貴はその女の子に"車の裏側よりブサイクだ"と言い放った」
もちろん、この後女の子は泣いてしまいます。

【嘲笑系】
裕福な一家から財産を奪い取った腹黒い母子。一文無しになった令嬢の陰口を叩く母親の、勝ち誇った一言。
"Now she doesn't have a place to drop dead in."
「もうあの娘には入る墓もない(葬式を出す金もない)」
とても貧しい様子を表す決まり文句です。

【自虐系】
厨房の窓からお客のファッションチェックをする従業員のセリフ。
"Check out the dress she is wearing...and those shoes, they must cost the same as my house!"
「見てよ、あのドレス。靴代だけで私の家が買えるわ」
あ、私も似たようなこと言ってるなあ。

<番外編>
【お世辞系】
これは女性へのお世辞大国、キューバで実際に使われている文句です。お世辞Piropo(ピローポ)マニアの友人が集めたネタから1つ拝借。せっかくなのでスペイン語も併記で。
"De donde saliste muneca, del museo de Bellas Artes?"
"Where did you come from, doll? From the Art Museum?"
「どこから来たんだい、お人形さん。もしかして美術館?」
クラッ...。

いかがでしたか?<ネガティブ編>は猛暑対策にも有効ですよ。さて、まだまだラテン流大げさフレーズを満喫したりないあなたには...

ラテンアメリカ美女の三大産地コロンビア発!

「アンドレア~愛と略奪の炎~」

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"結局ただの番宣じゃないかよ!"と突っ込まれそうですが、私の生活の80パーセントはテレノベラを中心に回っているのです。いやいや、これは大げさじゃなく...☆