気ままに映画評

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「ブーリン家の姉妹」 by 野村ゆみ子(2006年10月期実践コース修了生)

地位か幸せか、欲しいものを手に入れた姉妹の話


私がこの作品のヒロインの1人、アン・ブーリンを知ったきっかけは、ある1枚の絵でした。題名は「ロンドン塔のアン・ブーリン」。
その絶望に満ちた虚ろな目が印象に残っています。確か、王に疎まれ、斬首されたと解説が添えられていました。
今回、この作品の公開を知って、あの虚ろな目が頭をよぎりました。あのアン・ブーリンの映画。斬首されるまでに疎まれた王妃。そこまで疎まれるなんて、一体、どんな女性だったのだろう。今回の作品はアンの物語だと思っていました。
しかし見るにつれ、アンの妹メアリーの深い愛に引き込まれるのです。アンのために王妃の座を追われたキャサリン王妃の気高さに感動するのです。そしてまた、国王ヘンリー8世とブーリン家の男どもの情けなさにある意味泣けるのです。
愛情深い妹メアリーは最終的に幸せを手にいれ、姉のアンは処刑台で人生を終えます。
国王を意のままに動かし、王妃の地位に上り詰めたアン・ブーリン。駆け引きだけで手に入れたものは失うのも早いということでしょうか。
国民から愛されたキャサリン王妃を追いやったことから国民に嫌われ、魔女と呼ばれ、夫の命令により処刑された悲劇の王妃、アン・ブーリン。しかし現在のイギリスでは彼女の人気が高いというのが興味深いところです。
娘が出世の道具だった時代、自らの才覚だけを武器に、一国の王妃にまでのし上がったアンのその手腕と度胸が、現代の女性たちの心に訴えかけるのかも知れません。
勝気で自信たっぷりなナタリー・ポートマン演じるアンに、女の強さと同時に哀れみを感じる作品です。