気ままに映画評

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2011年7月 アーカイブ

『ザ・キング・オブ・ファイターズ』
トークショー潜入レポート&映画レビュー

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7月9日(土)、六本木ヒルズのTOHOシネマズにて映画『ザ・キング・オブ・ファイターズ』の上映会が開催された。当日は猛暑にも関わらず、大盛況。たくさんの観客がヒルズに訪れた。この日は映画の上映前に吹き替えを担当した声優の小清水亜美さん、杉田智和さん、手塚ヒロミチさんの3人が壇上に登場してのトークショーも行われた。このトークショー及び上映会にJVTAの修了生ライターの鈴木純一さんが参加。当日の様子をレポートする。
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                                        Reported by 鈴木純一

■モデル並みのスタイリッシュな声優陣による
トークショーは笑いが盛りだくさん

ko-1.JPGトークショーが始まると、3人の声優陣が順に登壇。すると、まずそのオシャレさに驚いた。「この人たちはモデルですか?」と思うほど、なんともスタイリッシュな3人なのだ。手塚さんは、オシャレ眼鏡をかけ、男性用ファッション雑誌に出てきそうなパーマのかかったアシンメトリーな髪形に原宿や代官山で見かけそうな服装に身を包んでいる。紅一点の小清水さんはスラリとのびた足を大胆に見せて、これから「パリコレ」に参加してきます、とでも言うような雰囲気。髪もアップにしていて、夏らしい。最後に杉田さんだが、ボーダーシャツに薄いデニム、リストバンドなど、同じく格好良さ満点なのだ。

最近の声優さんはこんなにオシャレなのかぁ、と驚きつつも、様子を見守っていると更に驚かされることに。この3人、オシャレなだけじゃなくトークが上手いのだ。ちょっとした会話の間で杉田さんが「(映画の主人公の)舞は陰のある男に惹かれる偏愛な役柄だから、(声を担当する)小清水さんにピッタリだよね」などと言うと、小清水さんはすかさず「なに~?」と突っ込む。絶妙な3人の掛け合いが、3人のスタイリッシュな感じを更に洗練された雰囲気に見せていた。

ko-2.JPG本作の見どころとして杉田さんは「テリーさんが浮浪者を殴って帽子を被るシーン」とコメント。テリーさんって誰ですか?と疑問が湧いたが、映画を観たら分かりました。テリーさんはCIA捜査官として登場する人ですが、このシーンについては映画を観てください。
手塚さんは「収録ではゲーム『ザ・キング・オブ・ファイターズ』が好きな出演者やスタッフたちがいたので、それで絆が深まった」とゲームでつながった現場の様子について話していた。小清水さんは「映画はゲームとは設定が異なっている。そしてギャグがちりばめられている。映画ではゲームのキャラ、アンディーが登場していないので、パート2が製作されると思う」と話していた。確かに笑えるシーンはあった。例えばゲームでは日本人の設定である草薙京が、映画では明らかにアメリカ人だろ!な俳優ショーン・ファリスが演じていたのはギャグなのか分からないが、笑えました。最後に手塚さんの「見どころがいっぱいある映画です。ぜひ多くの人たちに観てほしい」という締めのコメントでトークショーは終わった。


■3人の役者のアクションがキラリと光る
本格派の格闘映画!

ko-3.JPG『ザ・キング・オブ・ファイターズ』は有名な格闘ゲームの映画化だが、格闘といえばアクション。アクション映画好きから観た本作の見どころとして、3人の俳優に注目したい。まずは不知火舞(しらぬいまい)を演じたマギー・Q。彼女はモデルだったが、香港に渡って『ジェネックスコップ2』に出演する。この映画でジャッキー・チェンに見出されて『レディ・ウェポン』で主演し、その後はハリウッドでジャッキー主演の『ラッシュアワー2』『80デイズ』に出演。さらにトム・クルーズ主演の『Mi:Ⅲ』ではスパイメンバーの1人を演じ、さらにドラマ『ニキータ』では主役のニキータを演じている。ジャッキー仕込みのアクションとモデル出身の美貌を備えた俳優として注目の存在である。

そしてルガール役のレイ・パーク。彼は幼少時からカンフーを習い、スタントマンとしてキャリアをスタートした。本来なら顔が出ない裏方であるスタントマンだったレイが俳優として注目されたのは、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』で演じたダース・モールだ。以降は『X-メン』『G.I.ジョー』など数々の映画で活躍している。

そして最後に、八神庵(やがみいおり)に扮するウィル・ユン・リーだ。彼は『エレクトラ』で剣術アクションを披露していたが、父親がテコンドーの師範で、自身もテコンドーを学んでいるという武術の人である。

この3人に共通するのは"アクションができる人たち"である点だ。この映画のために俳優にアクションの特訓を積ませました!より、もともと動ける人たちを起用することでアクションに激しさとリアルさが増しているのである。

さらに監督は香港映画界の才人ゴードン・チャン。ゴードンはブルース・リー主演の傑作『ドラゴン 怒りの鉄拳』のリメイク『フィスト・オブ・レジェンド/怒りの鉄拳』を監督しているが、他にもジャッキー・チェン主演の『メダリオン』など、アクション映画を得意とする監督である。
『ザ・キング・オブ・ファイターズ』は香港のアクション映画監督と、香港映画でアクション修行した女優がハリウッドでコラボレーションを遂げたアクション映画となったのである。これだけでも十分観る価値はある。

もう1点、日本映像翻訳アカデミー的な見どころを指摘するなら、ウィル・ユン・リーはMTCのディレクター石井清猛さんに似ている......と個人的に思う。この点でも注目して観ていただきたい作品だ(笑)。

最強のアクション『導火線(FLASH PONT)』で
心の導火線に火をつけろ!

                                              Text by 鈴木 純一


B5チラシ-1-01.jpg中国では"宇宙最強"と呼ばれるほどの人気を博しているアクション俳優ドニー・イェン。しかし日本では2007年の『かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート』以降、ドニーの映画が劇場で上映されていない。このままでは日本はドニー後進国になってしまう!と思っていたら、今年になって『イップ・マン 序章』『イップ・マン 葉問』『孫文の義士団』『処刑剣』とドニー映画が立て続けに日本で公開される。そしてDVD『導火線 FLASH PONT』が6月にリリースされる。この『導火線』をスクリーンで観たいというファンの声と、映画を上映したいという映画館の思いが実を結び、奇跡の上映が実現した。スクリーンで観る機会を逃してはならぬと、シネマート六本木に行ってきました!

映画はドニー演じるマー刑事が「悪党を捕まえるのが警官の任務」と言うシーンから始まる。マーは毎月40人の犯罪者に重傷を負わせるという、正義のためなら暴力もためらわない男だ。

このマー刑事が追っているのはベトナム人のアーチャー、トニー、タイガーの凶悪3兄弟。前半は、3兄弟の組織に潜入した刑事ウィルソン(ルイス・クー)のおとり捜査が描かれるが、ウィルソンが兄弟に瀕死の重傷を負わされ、ついにドニーの怒りの導火線に火がついた!中盤以降はドニーの怒りの鉄拳が炸裂して、一気に熱い展開になっていく。

3兄弟とのバトルは、食堂でのタイガーとの戦いで始まる。『導火線』では総合格闘技を取り入れたアクションが登場するが、柔道、関節技、寝技などを取り入れた映画は珍しいのではないだろうか。しかもマーとタイガーはビシバシと本気でパンチとキックの応酬、さらにマーが素早い動きでタイガーのバックを取って、アスファルトの上でバック・ドロップ!危険すぎてあり得ないですよ。タイガー役のシン・ユーは、この映画の撮影中に耳の鼓膜が破れたというが、それも納得できる激しさである。

B5チラシ-裏面カラー.jpgそして、クライマックスはドニー対トニー(コリン・チョウ)のバトルである。これは本当にすごいです。コリン・チョウは『マトリックス』シリーズなどに出演し、現在ハリウッドで活躍しているが、『導火線』で7年ぶりに香港映画に帰ってきた。ハリウッド映画と比べて『導火線』の撮影はかなり厳しかったので、コリンは「もう香港映画には出演したくない」と言ったほどだ。ドニーとコリンが力の限りを尽くして戦うシーンは、映画で表現できる肉体アクションの限界に到達したと言っても過言ではない。観ている自分も熱くなって、心の導火線に火がつきました。

シネマート六本木での上映は7月16日~22日(好評のため24日まで延長した)の期間限定だったが、でも大丈夫!『導火線』はDVDで観ることができる。ちなみに、このDVDは日本映像翻訳アカデミー(JVTA)の修了生が制作に携わっているので、その点も注目だ。そして『イップ・マン 序章』『イップ・マン 葉問』もDVDで観られます。ドニーの新作『レジェンド・オブ・フィスト -怒りの鉄拳-』も9月公開が決まったので、この機会にぜひドニーの最強アクションを堪能していただきたい。