「メディア・アクセシビリティ」という言葉をご存じでしょうか。
これは、誰もが等しくメディアの情報にアクセスできるようにするための取り組みです。その代表的な例として、今「映像のバリアフリー化」への注目が急速に高まっています。
映像のバリアフリー化とは
「映像のバリアフリー化」とは、情報のユニバーサルデザイン化の一環で、身体的なハンディキャップがある方や高齢者、日本語学習者、また多様化する視聴スタイルに対応するために、映像のアクセシビリティ(見やすさ・伝わりやすさ)を高める活動および施策を指します。
例えば日本では、外国語で作られた映画やドラマを観るときに日本語字幕や吹き替えを付けることが必須となります。一方、日本語のアニメやドラマなどを海外で上映したり配信したりする場合は、英語や多言語の字幕や吹き替えが必要になります。それと同じように見えない、見えにくい人のためには「音声ガイド」、聞こえない、聞こえにくい人のためには「字幕ガイド」(バリアフリー字幕)というツールがあります。
映像のバリアフリー化を実現する2つのツール
・字幕ガイド(バリアフリー字幕、クローズドキャプション、SDH)
実は日本語の作品にも、日本語の字幕が付けられているのをご存じでしょうか。これは耳が聞こえない、聞こえにくい方が映像を楽しむために付与されたもので、「字幕ガイド」や「バリアフリー字幕」、あるいはテレビや動画配信サイトで「CC」と表記される「クローズドキャプション」などと呼ばれています。登場人物のセリフはもちろん、話者の名前や音の情報(足音、ノック、拍手など)などを文字で表記するのが特長です。テレビのリモコンやPC、スマートフォンで字幕をオンにすると表示されます。
音を出せない電車で流れている映像や、飲食店に設置されたテレビなどでも利用されています。また、難聴になった高齢者にも便利なツールです。動画配信サイトで多言語の字幕を選択するように、昨今字幕ガイドは、より身近で誰もが楽しめるツールとなっています。
・音声ガイド
見えない、見えにくい人のために付与されているのが「音声ガイド」です。耳で聴くことで作品を楽しめるように、映像に映っている情景や動きを、ナレーション(音声)で補足して伝えます。場面の転換(場所や時間)、情景、人物の動きや表情などを伝わる言葉にして音声として読み上げるのが特長です。字幕は主にすでにあるセリフを文字化するのに対して、音声ガイドはセリフや音の合間に映像に映る情報を言葉にして補足します。テレビの放送では「解説放送」と表示され、リモコンで「副音声」にすると聞くことができます。料理など家事をしながら映像コンテンツを楽しみたい時などすべての人にとって便利なツールです。
バリアフリー化が加速する理由
現在映画館では、スマートフォンやタブレット端末で音声ガイドを聞けるアプリや映画館でレンタルする字幕メガネなどといった機器の普及により、大手の配給会社の主な新作映画がバリアフリー化に対応しています。また動画配信サイトでも多言語の字幕を選べるようにクローズドキャプション(CC)を、吹き替えを選ぶように音声ガイドを付けてみることができる作品が増えています。
その背景にあるのが、日本の法改正です。
2024年4月(障害者差別解消法の改正): 民間企業でも障害のある方への「合理的配慮(日常生活の障壁を取り除くこと)」が義務化されました。 2022年5月(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法): 国や自治体に対し、情報にアクセスするための機器の普及や体制整備が義務付けられました。
これらにより、現在では企業にとっても映像のバリアフリー化は「あればいいもの」ではなく「対応すべき急務」となっています。
映像のバリアフリー化を担うプロが求められている
急増する映像のバリアフリー化を担うプロが求められるなか、私たちJVTAのミッションは、映像のバリアフリー化の普及とそれを推進するために欠かせない高いスキルを持った優秀な人材を育成することです。「言葉のプロ」として映像翻訳者とも親和性が高いことから、2011年から「バリアフリー字幕」と「音声ガイド」を制作するスキルを指導する講座を開講し、多くの修了生がプロの「字幕ガイドライター」や、音声ガイドの原稿を作る「音声ガイドディスクライバー」として活躍しています。
◆映像のバリアフリー化の取材や修了生の活躍はこちら
視聴者を慮る言葉選びーAIには不可能な領域
映像翻訳がただ言語を置き換えるだけではないように、バリアフリー化も常に視聴者を慮り、「本当にこの表現でこの作品の本質が伝わるのか」を常に考えながら最適な言葉を選ぶスキルが求められます。作品の背景にあるテーマや作品全体の流れ、作品の内容に合ったトーンなどを見極めることは、AIですべてをカバーすることは不可能といえるでしょう。
映像のバリアフリー化を担うプロになるには
JVTAでは映像のバリアフリー化のプロを養成する2つのコースを開講。実際の仕事を想定した実践的な内容を学ぶことができます。修了後は成績表を元に個別面談を行い、成績優秀者には仕事を発注し、プロデビューをサポートします。
・「字幕ガイドコース」
話者名の表記における配慮、セリフ以外の「音情報」の伝え方の演習など、実践的なスキルを習得することができます。プロの字幕ガイドライターを目指します。
・「音声ガイドコース」
シーンの状況を伝える「場面転換」、登場人物の動きや表情の伝え方、情景描写、セリフとのコンビネーションなどを学んでいきます。プロの音声ガイドディスクライバーを目指します。
いずれも、言葉のプロとしてのスキルを活かして「仕事の幅を広げたい」「社会的に意義のある仕事をしたい」という方にぜひおすすめしたいコースです。
◆メディア・アクセシビリティ科の詳細はこちら
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