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LAを悪党から守るのはスキだらけの"ゆるキャラ"ヒーロー!?
映画『グリーン・ホーネット』

                                                 Text by M.Saito

グリーンホーネット2.jpg去る1月20日、都内で3D映画『グリーン・ホーネット』のジャパン・プレミアが行われた。寒風吹きすさぶ会場に集ったのは約1200人もの熱心なファン。映画の題名にちなみ、レッド・カーペットならぬ "グリーン"カーペットを通って監督のミシェル・ゴンドリー、続いて主演のセス・ローゲンとジェイ・チョウが登場。ステージでは日本でのヒットを祈願し、グリーン色をした餅つきが行われる。更には3D上映にあやかって配られたおもちゃのグリーンのメガネを身に付けた一同の前には、映画で活躍する"ブラック・ビューティー"号が壁を突き破り、白煙をあげて登場。その他、ゲストに女優の篠原涼子や昨年末のM1グランプリで準優勝となったスリムクラブが登場するなど、華やかなイベントとなった。

映画の主人公は新聞社の二代目社長、ブリット。創業者の父がハチに刺され急逝したことをきっかけに、自らを"グリーン・ホーネット(緑のハチ)"と名乗り、これまでの放蕩生活を改めロサンゼルスから悪を一掃する活動に乗り出す。父の運転手だったアジア人で武芸の達人、カトーを相棒に愛車ブラック・ビューティーを駆り夜ごとロスの街で暗躍する。

テンポよく進むストーリーの中で際立っていたのはブリットとカトーが織りなす絶妙なコンビネーションだ。セス・ローゲン演じるブリットは根がピュアだが、ボンボン育ちのワガママで何かとツメが甘い。グリーン・ホーネットの活躍も実の所すべてカトーのおかげなのだが、自らの手柄にしようとする。自分では何もできないダメダメ男だが、どこか憎めない。一方、そんなブリットをスマートにフォローするカトーはクールな切れ者。強くて、頭が良くて、優しい......と三拍子揃えば、マドンナ役で登場するキャメロン・ディアスも思わずなびくが、ブリットはそれがまた気にいらないのだった。

TVシリーズではかの有名なブルース・リーが演じていたカトー役。台湾出身のミュージシャン/俳優のジェイ・チョウにとっては当たり役とも言えるだろう。劇中、天才発明家でもあるカトーが自作のマシンで手際良くいれるカプチーノが何度か登場するが、このカプチーノの美味しそうなことといったら!3D効果も手伝ってか、スクリーンから香りがこぼれてきそうなほどだった。

個人的に笑ったのは、ブリットとカトーの口論から始まる大喧嘩のシーン。カトーに嫉妬するブリットが、自分こそがヒーローだと主張するのだが、ここでのブリットのセリフにも彼のヘナチョコぶりが絶妙に表現されている。


「俺とお前はそもそも格が違う。ヒーローと運転手だ!」
「インディとショーティー("兄弟"の意)だ!」
「サイモン&ガーファンクルだ!」
「スクーピー&ドゥ」


恐らく、ブリットが言いたかったのは最初のセリフだけ。あとは言葉の響きだけでちっとも脈絡がない。「スクーピー&ドゥ」なんて、ナンセンスな所がバカバカしくて笑える。ブリットの子供っぽいキャラやゆるさが全面に出ている。結局、ブリットはストリートで鍛えた武道の達人カトーにさりげなく手加減されながらも一方的にボコボコに殴られることになる。でもカトーには1つだけ、ブリットには到底かなわない弱点もあったのだ・・・。

最後は、どたばたアクションの末に分解寸前のブラック・ビューティー号から"脱出シート"で飛び出した2人。この"脱出シート"は、実はブリットのアイディアをカトーがこっそり実現したもの。子供っぽい"ゆる"キャラヒーローでも、こんな風に密かに役に立っていたりするのだ。こんな2人の関係性があるからこそ、ロスの夜空をパラシュートで降りてくるブリットとカトーの後姿も、まるで幼い子供たちがブランコに乗っているかのように見えてしまうのである(笑)。

現在、公開中の3D映画『グリーン・ホーネット』。絶妙なコンビネーションの中に見える2人の友情に注目して観てほしい。