石ノ森章太郎が生んだ昭和のヒーロー、仮面ライダーとサイボーグ009。特撮と、漫画・アニメという違いはあるが、デザイン上の共通点がある。それは、両者とも首にマフラーを巻いていることだ。

もちろん、マフラー姿のヒーローは彼らがパイオニアというわけではない。テレビヒーローの元祖とも言われる月光仮面(『月光仮面』1958~59年)は、ベルトの位置より下に来るほど長いマフラーを着けていた。時代劇でも、黒澤明監督の『用心棒』(1961年)に登場した、仲代達矢演ずる新田の卯ノ助は、着物姿にマフラーという出で立ちだった。ただ、ライダーや009がユニークなのは、強く風を感じさせるキャラクターだったという点だ。それは、石ノ森氏によるイラストを見ればわかる。彼らのマフラーは、ほとんどと言っていいほど風に吹かれて翻っているのだ。目には見えない風を、デザインに取り入れるための工夫。それがマフラーだったのではないだろうか。

「風」という言葉には、どこか胸に迫る響きがある。爽やかさや軽やかさといったイメージもあるが、ある種の哀愁も伴う。多くの歌のモチーフになっているのも、そのためだろう。代表的なのが、亡き人が風になって空を吹き渡るという『千の風になって』だ。個人的には、中学時代に校内合唱コンクールで歌った思い出の一曲、『風』(はしだのりひことシューベルツ)が忘れられない。旅人が、故郷を想い振り返っても、「そこにはただ風が吹いているだけ」という歌詞を聞くと、得も言われぬ寂しさが胸に広がる。

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JVTA修了生コラム
明けの明星が輝く空に
by 田近裕志(JVTA修了生)

改めて知る特撮もの・ヒーローものの奥深さ。子供番組に隠された、作り手の思いを探る

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