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Vol.39 「またいずれどこかで太陽でない光が映像翻訳者を照らし...」 by 石井清猛


8月のテーマ:太陽

LA支社へ向かう成田エクスプレスの車内。窓越しに外界の光を浴びながら、ふと
こんな話を思い出します。

"洞窟の入り口で外界に背を向けたまま囚われの身となっていた人々。
彼らにとっては洞窟の奥の薄暗い壁に映る影の動きが世界のすべてだったという"

太陽に照らされた外界に目を向けることを許されず壁を見つめ続ける人々と、その
壁に映し出される影絵。両者の関係は、世界の"写し"にばかり気を取られて物事
の本質に触れることのない、ある種普遍的な人間のあり方を思わせます。
また一方で、この喩えは映画館でスクリーンを見つめる観客の姿をほうふつとさせ
るものです。つまり、人間を映像に向かわせる欲望そのものを示唆していると受け
取ることもできるのです。

昼といわず夜といわず発光するLCDスクリーンに向かい映像を見続けながら、た
まに私はこの喩え話を思い出し、ある同じ疑問を繰り返します。

「目の前のこの映像は果たして、世界の単なるコピーなのか?」

答えにたどり着く知力も体力もない私にできるのは、ただ同じ疑問を繰り返すだけ
なのですが、ひとつだけ、知っていることがあります。それはこの目の前の映像
は決して"影"ではなく、私を照らす"光"であるということ。
LCDや有機ELの原理は知らなくても、分かることですね。

そう、今日もどこかできっと、太陽ではない光が私たちの仲間を照らしているはずです。