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日英映像翻訳者 デビット・ニストさん インタビュー 後編
Finding your own voice. 自分ならではスタイルを見つけよう

日本映像翻訳アカデミー(JVTA)では、日英映像翻訳基礎コース10月期開講に向け、現在無料体験レッスン+オリエンテーションを開催しています。日英翻訳には興味があるものの、ハードルが高いと迷っていませんか?

前回は日英映像翻訳コースと英語クリエイティブ・ライティングコースの講義を担当されるデビット・ニストさんに人生を変えた日本の映画や、映像翻訳の講義の様子、スポッティングの重要性などについてお話を伺いました。

前編はこちら
http://www.jvtacademy.com/news/?id=452

今回はコピーライトの講義の様子や、ジャンルごとの文章の書き分け、洗練された文章を書くための秘訣などを教えて頂きます。


日本語から英語にする際に難しいと感じるのはどんな点でしょうか?



英語は説明の言葉、日本語は感情の言葉だと思います。例えば英語はストレートですが、日本語は何かを断る時、「no」と言わずに「ちょっと」と濁したりしますよね。このあいまいなニュアンスをどう英語にするのか、いつも本当に悩みます。「よろしく」にしても「say hello to someone」なのか、「I will make efforts.」なのか、その意味は話者の感情によって全く変わってきてしまう。制作者の意図をきちんと伝えるためには常にストーリーについて考えることが大切なのです。

また、一人称や2人称にも悩まされます。例えば「君というな、お前と言え」、これを英語にするのは不可能なわけです。敬語にも同じことが言えます。こうした表現を物語にそって有効に伝えるためには、マニュアル通りにはできませんから本当に難しいですね。

コピーライトの講義について教えて下さい。



この講義ではある映画のシノプシスを作り、それを元にストーリーの構成などについて議論していきます。この映画は現在と過去の両方が交錯する物語で一見複雑ですが、基本にあるのはシンプルで強いテーマです。これをどのように効果的に観客に伝えるのかを考えていくのが目的です。

構成を練ったら、自分がはじめに書いたシノプシスに戻って、もう一度流れを見直していきます。議論をした後は明らかに視点が変わり、面白い内容になっていくのが分かりますね。

洗練された英文を書くための秘訣は何ですか?



始めからいいアイデアが浮かぶ人はいません。まずは目の前の白紙を埋めていくことですね。ライターは誰でも白紙には恐怖感を覚えるでしょう(笑)。でも白紙を前に悩んでいるだけでは何も進みません。とにかく、なんでもいいからどんどん書いてみること。そしてそれをリライトする作業を繰り返すことでしか、いい文章は生まれないと私は思います。

例えば、act one、act two、act threeという3つの構成のある作品を手がけたとしましょう。はじめは悩みながら書き進めてきても、act threeの頃には自分自身もノッてきてすらすらといい案が出てくるでしょう。しかし、そこからact one戻って見直すと結局は90パーセント、act twoも70パーセントは書き直してしまうわけです。すると最終的にact threeも手をいれることになる(笑)。こんな過程を繰り返してやっと1つの作品が完成するのです。実は私にも以前書いた小説を数年後に手を入れて書き直そうとした経験があります。しかし、あまりにも当時の自分と感覚が変わっていて、もはや手を入れることをあきらめざるを得ませんでした。ものを書くということは、まるでその時々のスナップショットを残しているようなイメージに近いかもしれません。時には、もう当時の気持ちに戻ることができないこともあるんですね。

私はよくこんなアドバイスをします。

Finding your own voice.

大切なのは、自分の声や言葉遣い、スタイルを見つけること。人の真似ではなく、自分ならではスタイルは何なのかを見つけて下さい。“文体を見るだけで作家が分かる”とよく言われますが、そんな自分なりの個性を探してみて下さい。

また、ライターは書き手としての自分の強みや弱点を徹底的に知るべきですね。その上でその課題をどう克服するかを考えていけば、必ずいい言葉が生み出せるようになると思いますよ。

小説や脚本の執筆から、専門性の高いIT関連の翻訳まで幅広い分野を手がけていらっしゃいますが、ジャンルごとの言葉の書き分け方について教えて下さい。



小説は主人公の気持ちや思考などの内的なプロセスをページに綴る作業で、主に過去形を使います。

映画の脚本ではキャラクターの気持ちは書かずに、映像で語らなくてはならない。ト書きや台詞などすべてを駆使して、映像から受けるイメージを作るために言葉を組み立てる作業といったところでしょうか。

広告の場合は、とにかくビジュアルを喚起する説明が必要で、その言葉からどんなイメージが広がるかを考えることが重要となります。広告の言葉を担当していて実感するのは、4ページのPR文より、1行のキャッチコピー(tagline)のほうが難しいということ。短い言葉に集約するためにはその何倍もの情報を入手し、効果的なものだけを残すために精査していく必要があります。その時の取捨選択の判断は全体のストーリーを把握していなければ適切に行えません。このようにして短い言葉に多くの想いが込められていくのです。

“日英翻訳は、日本人には難しく敷居が高い”というイメージがどうしても強いと思います。「興味があるが迷っている」という皆さんにアドバイスをお願いします。



大切なのは、まず自分の書いたものを人に見せる機会をもつこと。そして、それに対するフィードバックを素直に受け入れてリライトを繰り返していくことだと思います。

日本人は英訳をすることに不安を感じていると思います。しかし、アメリカ人の私からすると、日本人だからこそ、日本の作品のストーリーを深く読み解けるというメリットもあると思いますよ。実際、私も受講生の斬新な英語表現には毎回驚かされています。英語ネイティブは、英語についての“常識”があるだけに決まりきった表現しか出てこない。しかし、ネイティブではないからこそ、自分なりに言葉と格闘した末にひねりだせる言葉もあるのです。受講生が提出した課題の中には、英語表現そのものはつたなくても、ストーリーに説得力があり、クラス全員があっと驚くような素晴らしい作品もありますよ。

私はあえて、「恐ろしいことにこそ、挑戦すべき」とアドバイスしたいですね。以前、鉄棒や鞍馬、つり革など器械体操の指導をしていましたが、その怖さを乗り越えてできるようになった時の成長は大きい。始めから完璧な文章を書ける人などいません。興味のある方は恐れずに是非、トライして欲しいですね。

日英映像翻訳の特設ページには
デビットさんのメッセージを動画でUPしています。
是非、チェックしてみてください!
http://jvtacademy.com/lp/


日英映像翻訳科 総合コース
http://www.jvtacademy.com/chair/course4.php

英語表現力強化(英語クリエイティブ・ライティング)コース
http://www.jvtacademy.com/chair/course5.php
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