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デビスカップ試合会場で通訳・翻訳を担当
映像翻訳Web講座受講生 飛田奈々さんインタビュー【前編】
2月9日から12日、兵庫県のブルボンビーンズドームで男子テニス国別対抗戦デビスカップが開催されました。この試合会場で、「映像翻訳Web講座」の受講生、飛田奈々さんが通訳と翻訳作業を担当。飛田さんは、日ごろから通訳ガイドのほか、テーマパーク内での通訳業務や翻訳業務など、英語力を活かした仕事に携わっています。そこで今回はデビスカップでの体験や通常の通訳ガイドの業務、Web講座で学ぶメリット、留学への想いなどについて飛田さんにお話を伺いました。

★デビスカップでの具体的な作業について教えてください。


大会開始の前日、対戦相手国を決める抽選後に行われたクロアチアチームの記者会見映像の翻訳を担当しました。監督1名、選手4名のコメントで映像の長さ(尺)にして15分?20分くらいの素材の音声を聴き起こして日本語のベタ訳を作るという作業。現場にはWOWOWが中継するグランドスラムに帯同したこともある専属の日本人の通訳者の方がいて、「(こういう作業が)初めてだったらやってみる?」と声をかけてくれたのです。私が約3時間で仕上げたベタ訳をその後、彼女がチェックする形で原稿を作成しました。


勉強になったのは、「このような現場では、文章を短く切って英語の順番に合わせて頭から訳すのがベスト」というアドバイスです。長いインタビュー映像を翻訳しても、放送ではどの部分が流れるか分かりません。ですから、翻訳者には、インタビューの一部分だけを取り出しても、放送用として編集しやすいように原稿を作る配慮が必要なのだそうです。全体からざっくりと意訳するのではなく、できるだけその選手が言った通りに順を追って訳すというスキルは逐次通訳にも通じる手法でした。

また、「インタビューの通訳や翻訳では選手の気持ちをきちんと伝えてあげるのが理想」という姿勢も学びました。例えば、クロアチアにとって日本はアウェイであり、“winner”になって母国に勝利を持って帰りたいという想いが強い。ただ、「勝ちたい」と訳すだけではなく、彼らの強い意気込みや気持ちを汲み取った伝え方が大切なのだと教えて頂きました。今回ベテラン通訳者の方から頂いた現場ならではアドバイスは、強く印象に残っています。

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◆株式会社 WOWOW 番組プロデューサーに今年のデビスカップについて伺いました!◆

錦織圭選手の活躍などもあり、今年のデビスカップは大きな注目を集めました。錦織選手は昨年10月に日本人男子選手では史上最高となる世界ランキング30位となり、その後も今年の全豪オープンでベスト8に進出するなど目覚ましい飛躍を遂げています(2012年3月19日付のランキングで16位まで更新)。彼の活躍で男子テニスに新たに興味を持った人もたくさんいると思います。今回錦織選手も出場したデビスカップは、普段は個人戦を戦うテニス選手にとって唯一の団体戦の場。日本は27年ぶりにワールドグループという最上位のトーナメントに参加しましたが、惜しくも1回戦で強豪クロアチアに負けてしまいました。しかし錦織選手は22歳とまだまだ若い選手です。彼が今後どこまで昇り詰めるのかが非常に楽しみでもあり、世間の期待も大きくなっていると思います。今後も彼の活躍から目が離せませんね。

今回、飛田さんにお願いしたのは「チャレンジシステム」の際の技術スタッフと放送スタッフ間の通訳です。

※チャレンジシステムとは
いわゆるビデオ判定のこと。試合中に発生する“微妙な判定”に対し、選手が映像データを基にボールのイン、アウトについて判定の確認をできる権利で、1セットにつき3回までリクエストすることが出来る。ホークアイ社がもつ映像データを処理するシステムがあり、コートの周りに10台のカメラをセッティングし、ボールがどのような軌道を描いたのかを解析している。

我々放送スタッフは中継車から、ホークアイの外国人技術スタッフと一緒にいる飛田さんにインカムを通じてホークアイによる検証画像や、放送に差し込みたいあらゆる映像の有無について尋ねます。飛田さんにお願いしたのはホークアイとの連携役。こちらの希望を技術スタッフに正確に伝え、映像のスタンバイが出来たタイミングを放送スタッフに的確に伝えること。スポーツの現場ではその場になってみないと試合の展開が読めず、当初予定していたことが変わったりする中で迅速な対応を求めることが多々ありましたが、飛田さんには臨機応変に対応していただきました。

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★大会開催中3日間の現場の様子はいかがでしたか?


デビスカップ開催中の3日間は、試合会場の客席に設けられたスペースでインカムを装着し、チャレンジシステムを運営するホークアイという会社の外国人技術スタッフ5人と待機していました。私の役目は、ホークアイとWOWOWの連携役。中継車にいるWOWOW放送スタッフから入る、「この試合でのサーブのコースの統計データが欲しい」「両チームのレシーブのコースのパーセンテージが知りたい」などの要請をホークアイの技術スタッフに伝えることでした。伝達後、技術スタッフがデータを検索しスタンバイが完了すると、今度は放送の画面に切り替えるタイミングを放送スタッフに伝えます。また、チャレンジシステムに対応するための通訳も重要な役目でした。私たちは会場にいながらも目の前にはPCなどの様々な画面があるため、実はコートの様子が良く見えず、選手の動きは小さなモニターで見ているだけ。いつどのタイミングでチャレンジの申し立てがあるか分からないので、試合の間中、ずっと気を抜けませんでした。初日の試合は4時間くらいでしたが、まだ慣れていないこともあり、緊張の連続でしたね。3日目くらいになると、スタッフの皆さんともコミュニケーションが取れてきてコツもつかめ、かなり気が楽になりました。両者が話している内容を伝えるのはそれほど難しくはないのですが、このシステムはひとつの“駆け引き”でもある上に、生放送中の作業ですから、とにかくタイミングが大切。その場で必要とされる情報を一つずつ的確に伝えていく臨機応変さが求められる現場でした。

後編では、通訳ガイドのお仕事や映像翻訳を通信講座で学んだ理由や留学への想いなどについて飛田さんにさらにお話を伺います。


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