今週の1本

« Vol.8 『ダークマン』 by 石井 清猛 | 今週の1本 トップへ | Vol.10 『ドリームガールズ』 by 柳原 須美子 »

Vol.9 『ノース・ショア』 by 浅野 一郎

皆さんも、一度は映画の主人公に憧れたことがあるのではないでしょうか?私も子供の頃、『タワーリング・インフェルノ』を観て消防士に、『ダーティ・ハリー』や『ブリット』を観て警官に憧れたものです。そんな中、実際に、私に憧れを実現させるための行動を起こさせたのが『ノース・ショア』です。

『ノース・ショア』はノース・ショアでサーフィンすることを夢見て、アリゾナからハワイに単身乗り込んだ青年が真の愛を知り、真のサーファー(ソウル・サーファー)へと成長する物語。映画の舞台となっているノース・ショアは、ハワイ州オアフ島にある、言わずと知れたサーフィンのメッカ。サンセット、ワイメア、パイプラインなどのポイントが有名です。シーズンになると20フィート(約6メートル!)の波が押し寄せ、世界中のビッグウェーブ・サーファーを魅了します。

私はこの映画を観たのがきっかけで、サーファーになりました。いつか、映画の主人公のようにビッグ・ウェーブに乗れるようになりたいと思いながら、夏場は特に、学校をサボって毎日のようにサーフィンばかりしていました...。夜中の2時に友達と合流。日の出までビーチで時間をつぶし、東の空に陽が昇ると同時に海に入り、そのまま正午までサーフィン三昧。まさに青春まっしぐら。人生で一番楽しかった時期かもしれません。

というわけで、『ノース・ショア』は、ある意味で私の人生を変えた映画です。今でも毎年、夏になるとビデオを観て、当時の生活を思い出します。今年もそろそろ、押入れの奥からビデオを引っ張り出す時期ですね。

ところで、私がこの映画を忘れられない理由がもう一つ。それは"字幕"のおかしさです。映画が公開されたのは1987年。当時の翻訳者は若者向けの青春映画だから、という理由で"ナウい"言葉をチョイスしたのだと思いますが、"それ イマいじゃん"、"アイツ とっぽいぜ"などの"死語"が連発されるのです。今、この作品を観ると苦笑を禁じえません。

翻訳者を目指す皆さんは、20年後に作品を観た視聴者に笑われないような言葉使い、誰が観ても分かる言葉選びを心がけてくださいね。


────────────────────────
『ノース・ショア』
出演: マット・アドラー 、グレゴリー・ハリソン、ニア・ピープルス、ジョン・フィルビン ほか
監督: ウィリアム・フェルプス
製作年: 1987年
製作国: アメリカ
────────────────────────