気ままに映画評

« シリーズの中継ぎ!? でもやっぱり面白い!『バイオハザードⅤ:リトリビューション』 | 気ままに映画評 トップへ

ジェームズ・ボンド映画の新たな幕開けとなる『007 スカイフォール』

Text by 鈴木純一

007.JPG2012年は、ジェームズ・ボンドの映画『007』シリーズ50周年となる"ボンド・イヤー"。その50周年を記念する最新作『スカイフォール』を一足早く、ジャパン・プレミアで観てきました。これまでのシリーズ作同様、見どころ満載ですが、今回はその中から僕が注目するポイントを3つ挙げてみました。

◆ポイントその1:ボンドを人間として描くリアルなドラマに
今回の『007』では、イギリスの諜報機関MI6に所属するスパイのリストが盗まれてしまう。そのリストを取り返そうとするボンドだが、奪還作戦は失敗に終わる。ボンドと上司のM(ジュディ・デンチ)はその責任を負うこととなり、「現代にスパイが存在する理由があるのか?」という問いを突き付けられるのだ。ボンドやMの苦悩する姿を描く人間ドラマとして、深みのある物語となっている。

◆ポイントその2:今回の敵は元MI6のスパイ!
本作でボンドと対決するシルヴァは、かつてMI6に所属していた優秀なスパイだった。しかし悪の道に堕ち、Mにスパイとしての存在を抹消されてしまう。Mへの復讐に燃えるシルヴァを演じるのは、『ノーカントリー』でアカデミー主演男優賞を受賞したハビエル・バルデム。スパイからテロリストに変貌した男を、狂気を漂わす演技で見事に演じています。

◆ポイントその3:原点への復帰、そして新たなる展開へ
本作はトルコや中国、マカオがロケ地となっているが、主な舞台はイギリスだ。これにより、ボンドの本拠地であり、原点でもあるイギリス色が強く打ち出されることになった。また、ロケ地だけではなく、他にも『007』の原点に戻ろうとする様子が感じられる。まず、かつてのボンド映画には登場していた秘密兵器担当のQが、グレイグ版ボンドでもついに姿を見せる。これまではデズモンド・リュウェリンやジョン・クリーズなど、年配の俳優が演じてきた役柄だが、今回のQは若手俳優ベン・ウィショー。他にもボンド映画でおなじみのキャラが出てくるが、それは観てのお楽しみ!そして『007/ゴールドフィンガー』などに出てきたボンドカー、アストン・マーチンDB5も再び登場するなど、シリーズファンにはうれしい見どころとなるだろう。

『スカイフォール』はボンド映画への原点に戻り、そして新たなシリーズの幕開けとなる作品になった。次回作は2014年に公開予定というが、早くも続きが観たくなってくる。