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vol.81 「光の探し方」 by 藤田彩乃


5月のテーマ:光

光は闇を美しく魅せる。舞台の照明や夜にライトアップされた建物など、私は光を美しく演出したものが好きだ。松明や薪で明かりを取る野外劇場も、その幻想的な雰囲気が気に入っている。昔は特に好きではなかった夜景だが、今は妙に見とれてしまう。特にロサンゼルスのダウンタウンの夜景はお気に入りで、フリーウェイでは、ついついよそ見をしてしまいそうになる。他にも夜空に浮かぶ月、キャンドルの光など、私は暗がりに映える光がどうも好きらしい。

劇場を建設するにあたって一番重要かつ難しいのは、常に真っ暗闇を作れる空間にすることだと言う。激しく燃え輝く星も夜にならないと姿が見えないように、光を操るにはまず闇がないといけない。写真にしろ絵画にしろ、明るいだけの空間を描いたものより、陰影があるほうが作品に深みが出る。影があるからこそ、光は存在でき、際立つことができるのだ。

山の中など、大自然で夜空を見上げると、あまりの星の数の多さにビックリする。宝石をちりばめたような星空があまりに美しくて、その無数の星に吸い込まれそうになる。しかも今、私が見ている光は、宇宙の彼方で何万年も前に発せられた光だと思うと、自分が本当にちっぽけに思えてきて、妙に感傷的になったりして、いろんな思いが湧いてくる。

暗闇に行くと無数に存在する星だが、ネオンが輝く都会に星はない。正確に言えば、星はどこかに存在しているのだろうが、空を見上げてもほとんど見えない。山中から都会に近づくに連れて夜空からは星がだんだん消えて行く。普段はいろんな明かりに惑わされ、目の前にある星に気づかないことが多い。たくさんの美しい星を見逃しているという事実にすら気づかず、星がないということを嘆きながら毎日が過ぎていく。でも余計なものを取っ払って真っ暗闇に身をおくと、普段は見えない光が見える。

「いつも太陽の光に顔を向けていれば、影を見ることはない」とヘレン・ケラーは言った。もちろん、常に明るい方向だけを見ているのもいいと思う。現に私はひまわりみたいに、太陽のほうばかり見ている人間だ。でも、影にいるからこそ見える光もあるような気がする。影にいることは必ずしも悪いことではなく、これから先に光をより多く感じるために必要なことなのかもしれない。たまには不安になったり、落ち込んだりしてもいい。その分、小さな幸せに感謝できる。些細なことに喜びを見出せる。

傷つくことによって人の痛みが分かり人にやさしくなれるように、闇を知ってるからこそ、そこに差し込んだ光に感謝し、結果として周りをやさしく深く照らすことができるようになるのもしれない。光にはもちろん、それを引き立てる闇にも敏感でありたいと思う。そして、誰かが暗闇に迷い込んだら、そっとやさしくあたたかく周りを照らしてあげられる存在になりたい。