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vol.87 「真夏の生ゴミの話」 by 藤田奈緒


7月のテーマ:怖い話

先日、ある番組の字幕チェックをしていて知った驚愕の事実。ハエという生き物はなんと人間に寄生することがあるらしい。鳥の研究のためにパナマを訪れた男性が、背中にハエの卵を産みつけられ、そのまま背中の中でウジが成長を続けているという。ウジがうごめくたびに男性の背中に激痛が走る。あまりの痛みに耐えかねた男性は、友人に頼んでウジを1匹ずつピンセットで取り除いてもらうのだが、彼女は信じられない光景を目にすることになる。背中じゅうにボコボコと空いた大きな穴。そこからウジ虫がお尻を出し、白くグニュグニュとした体は、引っ張っても引っ張ってもまるで終わりがないかのように長く伸びていく...。

見るもおぞましいこの映像をチェックしながら、私は10年以上も前の真夏の出来事を思い出した。
事件は私が東京で1人暮らしをスタートし、初めて迎えた夏に起きた。

その夏、私は夏休みを利用して、友人と自動車免許を取るために新潟にしばらく滞在することになっていた。3週間ほど家を空けるので、ひととおりの家事を終えゴミをまとめていたところで、思いのほか電車の時間が迫っていることに気づいた。新潟へ持っていく大荷物を下まで運ぶ時間を考えると、ゴミの山を捨てにいっている余裕などない。何の躊躇もなく、私はゴミをそのままにして家を出ることを決めた。

新潟での辛くも楽しい合宿期間が過ぎ、3週間後、私は東京の自宅へ戻ってきた。ドアを開けると、かすかに生臭いにおいが漂ってくる。(あっ... そういえば生ゴミもそのままにして家を出たんだった! 早く捨てちゃわないとね) なんてことを思いながら台所の流しに近づくと、床に白いつぶがぱらぱらと散らばっている。(あれっ、私、白ゴマこぼしたんだっけ?)
かき集めようと床にヒザをついた次の瞬間、私はあまりの恐怖に仰け反った。小さなつぶ、1つ1つがゴニョゴニョと動き回っていたのだ。白ゴマの正体はコバエの幼虫だったのである。

その夏以降、私は生ゴミにかんして敏感になった。こまめに家の外に捨てるか、そうでない場合は必ずゴミ袋の口をこれでもかというほどギュッと縛ることにしている。それでもコバエは発生する時はするのだが...。

そういえば数年前、同僚にこの話をしたところ、彼はコバエ発生を避けるため、果物を食べたら皮を冷蔵庫に保存していると言っていた。彼は今でもそれを続けているのだろうか? 今年は特に猛暑続きなので、新たな対策を練り出しているのであれば、ぜひ教えていただきたいと思う。