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vol.115  「母校の祭り、今昔」 by 杉田洋子


8月のテーマ:お祭り

浴衣を来た女性の姿が目に涼しい今日この頃。
私も負けじと、近所のお寺の縁日で、野菜を買ったり、無料血圧測定をしたり、ぶよぶよの焼きそばを食べたりして雰囲気を楽しんでいる。次回は、包丁研ぎをしてもらおうかともくろんでいるところだ。(※比較的、年齢層が高い住宅地です)

そんな日本らしい祭り(?)はもちろん大好きだが、私がこれまでで一番深くかかわった祭りと言えば、異国情緒あふれる大学の学祭だった。
母校の東京外国語大学は、学祭にかなり力を入れている大学と言っていいだろう。
何しろ期間が5日間もある。
26言語の学科がそれぞれゆかりの国の料理や酒をふるまう模擬店や、各言語による語劇。ベリーダンスにフラメンコに...もはやミニ万博状態だ。
私はといえば、ブラジル音楽のサークルに所属しており、連日ライブをしたり見たりで
小屋に入り浸っていた。

折しも私が入学した年の秋には、キャンパス移転というビッグイベントがあった。
元のキャンパスはボロボロで、移転したとたんに猫とカラスの巣窟と化したが、
先輩たちは、"あの頃はよかった"、と口々にこぼしていた。
"あの頃の学祭の熱気は、こんなものじゃなかった"、と。

確かにすごい熱気だったのだろう。
私は旧キャンパスでの学祭を経験していないが、普段敷地でバーベキューひとつするにしても、きれいなキャンパスに移ってからは厳しく取り締まられた(当たり前か...)。

さらにその後、学校が法人化すると規制に拍車がかかる。
音を出せる時間も、1店舗が出せるお酒や料理の種類も制限されるようになって
いった。ライブ用の小屋を建てるにも、消防法やら何やらをクリアしなければならない
これまでと違い、何か起きればすべて学校の責任になるのだから、当然と言えば当然だろう。

その昔は、サークルでも朝の4時までサンバを歌い続けたという。
祭りの解放感(あまりハメを外しすぎてはいけませんが...)という点で言えば窮屈な感じは否めない。

次々と追加される新たなルールに戸惑う中、ついには祭りの期間を5日間から3日間にするという話が飛び出した。これにはさすがに多くの学生たちが反対した。
もちろん、私の所属したサークルは、この祭りに懸けているのだから大反対だった。中にはこの祭り中に海外旅行に行くことを楽しみにしている人々もいたが、彼らにとっても死活問題だっただろう。
"5日間なければ外語祭じゃない!"
学生たちの必死の反対で、日程の縮小は免れた。

こんな風に、何事にも守り続けるべき要素はあるのだろう。
大切なものを見失い、要となる魅力が失われてしまったら、祭りも途端に色あせてしまうかもしれない。

一方で、"昔はよかった""うらやましいな""私たちはツイてない"
はいくらでも言える。変化が起きた以上、適応し、改革していくが勝ちなのだ。
今でもほぼ毎年学祭には行っているが、現役の学生たちは規制を新たな糧やサービスに変え、祭りを盛り上げている。今だって十分魅力的で、そそられる祭りである。
あの祭りで飲む世界各国の昼ビールは、いつだって格別だ。

世界各国の衣・食・語がお手軽に味わえる外語祭。
まだまだ先(11月)ですが、未体験の方はぜひ一度足を運んでみてください!
何しろ5日間もあるのですから...。