今週の1本

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vol.98 『Happy Holiday』 by 浅野一郎


1月のテーマ:一番

明けましておめでとうございます。
受講生・修了生の皆さん、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回のテーマは"一番" 月並みだが、昨年僕が担当した素材で、一番心に残った素材「Happy Holiday」を紹介する。といっても、このタイトルをAll Cinemaや、IMDBで検索しても絶対にヒットすることはない。なぜなら、これは映画やドラマではなく、とある世界的企業のVP(ビデオプレゼンテーション)だからだ。

内容はタイトルからも分かるとおり、"今年1年ありがとう。素敵なクリスマスを!"という趣旨のものなのだが、ビデオには世界中の同社の従業員が登場し、英語を中心にして自国の言語で、自社の社会貢献度や接客態度の素晴らしさ、世界的ブランドとしての誇りなどを語っていく構成である。

毎年、クリスマスシーズンになると、同社の会長が世界の自社店舗の従業員に対して、時候の挨拶も交え、お祝いのメッセージを送ることが慣例化しているそうで、ここ数年、
MTCでは、その日本語字幕版の制作を担当させていただいており、修了生に翻訳をお願いしている。

英語をメイン言語として作られたビデオに日本語字幕を付けることで、日本にいる800人以上の、日本語をネイティブ言語とする従業員に対して、会長や他の国の従業員の考えていることや、言いたいことを伝達することが可能になったのだ。

もちろん、それが字幕(あるいは吹き替え)の役割で、当たり前すぎるほど当たり前なのだが、ビデオを見た従業員が会長の言葉に感動したり、他国の店舗の従業員のコメントを、これからの業務の参考にしたり、どれくらいの人に影響を与えたのだろう? と考えると、映像翻訳の持つパワーに胸が熱くなり、字幕原稿を作成した修了生のスキルに改めてリスペクトの念が涌く。

早く皆さんにも、こんな思いを味わってもらいたい。
こんな思いを共有できる受講生・修了生と1人でも多く出会う
ことが今年の目標だ。