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vol.122 『ヒューゴの不思議な発明』 by藤田彩乃


1月のテーマ:リセット

1930年代のフランス、パリ。父親を家事で失った孤児ヒューゴは、独りで駅の時計台で、時計の修理やねじ巻きをして隠れ住んでいた。食べ物を店から盗んでは駅の警備員に追いかけられる毎日。友達は時計技師だった父親の残した壊れた機械人形だけだった。そんなある日、ヒューゴは駅内の玩具店からおもちゃを盗もうとして店の主人のジョルジュにつかまってしまう。それをきっかけにヒューゴは、機械人形を修理するのに必要なハート型の鍵を持つ少女逃げる途中でイザベルに出会う。冒険に憧れる活発なイザベルはヒューゴの力になろうとし、2人は人形に秘められた謎を解明すべく奮闘する。そして徐々に、ジョルジュの葬り去られた過去と偉大なる功績が明らかになっていく・・・。

世界各国でベストセラーとなったブライアン・セルズニックの冒険ファンタジー小説「ユゴーの不思議な発明」を、マーティン・スコセッシ監督が3Dで映画化。マーティン・スコセッシ、12年ぶりのレオナルド・ディカプリオ抜きの作品、そして初めての子供向け作品だ。今週末1月15日の第69回ゴールデン・グローブ賞においては、主要3部門(作品賞/ドラマ部門・監督賞・音楽賞)にノミネートされており、観客はもちろん評論家からも高い評価を受けている。

見所は3Dならではの映像美。3Dの利点を最大限に利用したまるで夢を見ているかのような素晴らしい風景描写に圧倒される。これは絶対に3Dで見るべき作品だろう。またヒューゴの目から描かれた心温まるストーリーも魅力的だ。登場人物は、孤児院で厳しく育てられ笑顔を失った警備員や、苦しい挫折を忘れようと無理をするジョルジュなど、つらい過去を抱える者が多い。しかし、最後にはすべてをリセットし、皆が笑顔で新しい人生を歩む。そんな姿に目頭が熱くなるはず。そしてエンディングでは映画の素晴らしさを再確認すること間違いなし。映画好きは必見だ。

マーティン・スコセッシの、映画への愛溢れる作品。一見、子供向け映画のようだが、大人も楽しめるはず。日本公開は2012年3月9日。お楽しみに。

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「ヒューゴの不思議な発明」
出演:ベン・キングズレー、ジュード・ロウ、
    エイサ・バターフィールド、クロエ・モレッツ
監督:マーティン・スコセッシ
原作:ブライアン・セルズニック
原題:Hugo
製作国:アメリカ
製作年:2011年
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