発見!今週のキラリ☆

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vol.150 「誰もが誰かのサンタクロースに」 by 丸山雄一郎


12月のテーマ:サンタクロース

クリスマスシーズンが近づくと誰もが頭を悩ますクリスマスプレゼント。相手に喜んで欲しいからこそ、何を贈るかには迷うし、そんな時間も楽しい。でも反面、今年もお金がかかるな~と思ったり、ただでさえ忙しい時期に買い物に行く時間を作るのは面倒だと思う人もいるだろう。

先日、友人たちと食事をしたときもクリスマスプレゼントの話題になった。カミさんや夫、子ども、取引先の上司、頑張っている部下などなど、職業や立場によって贈る相手の数やプレゼントの中身が大きく違っていることも面白かったが、大なり小なりみんなの悩みの種になっていることが分かった。いっそ手数料は払うから、贈る相手のリストと予算を伝えて、一切合財を引き受けてくれるサンタクロース株式会社みたいなものがあるといいなという結論になった。
そんな話をしながら、僕自身も何をプレゼントしようか考えていると、1ヵ月ほど前に行った日本語表現の勉強会のテーマを思い出した。この期の受講生は優秀な方が多く、翻訳者として活躍している人が多いので、勉強会の課題にはあえて翻訳物を選ばず、講義のときと同じように決められたテーマの原稿を書いてくるというスタイルをとっている。このときのテーマは「自信を持って人に勧められるもの」。自分が普段から使っていて、"これは絶対にいい"というものを600W(ワード)で読み手に伝わる原稿に仕上げるというものだった。50代の女性参加者のお勧めは「耳栓」。いびきのうるさい夫を持つ女性には必需品で、その方はもちろんお友達の女性もほとんどが愛用しているそうだ。もっと高性能なものが欲しいというお友達からの要望もあるらしく、今度はプロのレーシングドライバーやレースのスタッフたちが使用しているというプロ用の製品をご自身で試してみると書いてあった。同じく50代の女性の方のお勧めは「お掃除ロボット」。自分で掃除するよりも家がキレイになるし、掃除機に声をかければ返事もするという高性能ぶりで、使えば使うほど愛着が湧き、いまではなくてはならない存在になっているとか。ますます高齢化が進む日本にはぴったりの商品だとも書いてあった。20代の女性は「袖付きのちゃんちゃんこ」。本人は雪国の出身ではないのだが、実家では昔から家族全員が愛用していて、上京して一人暮らしをしている現在も、毎日着ているそうだ。フリースのようないかにも着ているというか、"締め付けられ感"がないのがいいらしい。20代が昭和を感じさせるものを勧めていて、50代が流行の製品というのがおかしくて、勉強会自体はかなり盛り上がった。3人が勧めてくれた商品を送り物として考えてみると、年齢だけで贈り物を決めてしまうと失敗する可能性があるという証明だろう。

振り返ってみれば、子供のころはともかく、物心がついてからクリスマスプレゼントに何をもらったのかなんてあまり覚えていない。高価なものをあったし、いま欲しいものをこちらからリクエストしたこともあったが、薄情なことに中身は思い出せないのだ。でも不思議と送ってくれた人の顔だけは覚えているし、少なくともうれしかったという思い出だけはある。そう考えると、クリスマスプレゼントの中身なんて、きっと何でもいいのだろう。それより贈ってくれた人の「いつもありがとう」や「離れていても気にしているよ」や「大事に思っているからね」というメッセージが伝わることが大事なのだ。そんな気持ちだけは、薄情な僕のような人間にもずっと残るし、そんな気持ちを受け取った子どもたちは、大きくなっても、きっと自分の大事な人に同じようにしていくだろう。
総選挙が終わって、この国の未来がどうなっていくのかはまだ誰にも分からないし、誰もが不安だらけだ。でもクリスマスにプレゼントを「贈りたい」と思うような大人が多い社会なら、きっと大きく間違った方向にはいかないと僕自身は信じている。
「誰もが誰かのサンタクロース」なんてちょっと恥ずかしい言葉だけれど、ちょっと素敵だなとも思う。

Merry Christmas & Happy New Year!
みなさんにとって2013年がいい年であるようにJVTAのスタッフ、講師一同は心から願っています。また来年、みなさんと学校やこのページで会えることを楽しみにしています。
最後まで読んでいただきありがとうございました!