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Vol.182  自問自答の「holiday」 by斉藤良太


5月のテーマ:休み(holiday)

音楽をはじめアートを趣味とする人達が社会人になると、「趣味」にかける時間は必然的に短くなっていく。現在では「GarageBand」に代表される音楽制作アプリもあり、スマホでいつでもどこでも気軽に曲が作れる道具は揃っている。しかし、さすがに音楽にかける"時間"というアプリは購入出来ない。私のように音楽を趣味にしている人間にとって「holiday」とは日常から離れ、クリエイティブな趣味にかける時間を得る事が出来るかけがえの無い時間かもしれない。

ところが、いざPCの前に座り音楽制作ソフトを立ち上げても、なかなか曲が天から降ってはこない。そこで私の場合は大抵、日常ためていたアイデアを何とか「楽曲」へと具体化させるという作業になってくる。バラバラのパズルのピースを一つひとつ根気よく組んでいくというイメージになるが、全てのピースがいつも揃っている訳ではない。欠けているピースはその場で何とか揃えて行くしかないが、その形が分かっている場合もあれば、形も色も分からない場合もある。

結果、趣味のはずの音楽制作は「holiday(休み)」とは真逆になるような「生みの苦しみ」が大半を占める作業になってしまう。誰かがもしその様子を見たら、わざわざ休みにPCの前で何をやっているのか理解不能だろう。さらに、便利な音楽制作ソフトのおかげで、アイディアのピースはほぼ無限に録りためておく事が出来るので「生みの苦しみ」に組み合わせるピースを「選択する苦しみ」が加わり、ほぼ「苦行」という状態になってしまう。

しかし、そのおかげで私の「holiday」は、自分がなぜ音楽を続けているのかと自問自答する期間になっている。そしてその自問自答を楽しんでいる自分がいる事に気づくのだ。これからも自問自答する「holiday」の数だけ、PCに保管される楽曲の数も増え続けるだろう。私は保管された楽曲のリストを見る度に、それぞれの「holiday」をきっと懐かしく思い出すに違いない。

残念ながら今年のゴールデンウイークは私用で趣味にかける時間はなかった。今後「holiday」の度に楽曲がどれだけ増えていくのか、そこで私はどんなことを表現していくのか。気になりつつも「holiday」から日常へ戻ろうと思う。