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Vol.162 『グーニーズ』 by杉田洋子


9月のテーマ:地図

地図といえば、やっぱり"宝の地図"ということで、古い上にベタな選択でちょっと照れくさいけれど、『グーニーズ』。

確か小学生の頃、映画館ではなく家で観たと記憶している。あまりにワクワクして、何度も何度も繰り返し観た。今でこそアドベンチャーとかファンタジーめいたものは自ら進んでは観ないが、そういえば子供のころはこういった夢のある冒険ものに心ひかれた。本作には、洞窟、海、海賊、悪党、宝探しなど子供を夢中にさせる要素がてんこもりだ。(宝探しの動機が、ゴルフ場建設のための立ち退きを防ぐためというのが、妙に大人の事情だが...)

『グーニーズ』以降にも、私の子供心をくすぐったイメージやストーリーはいろいろあるが、そういう時に感じるワクワク感は、この映画で体験したワクワク感に起因していたのでは...と思うものも多い。子供が悪い大人を撃退するという、『ホーム・アローン』的要素とか、"怖い母親とドジな息子たちによる盗賊"という、『天空の城ラピュタ』のドーラ一家的な要素とか...。(ちなみに『天空の城ラピュタ』が公開されたのは、『グーニーズ』の翌年の1986年)私は"ハリー・ポッター世代"ではないので、どちらかというと学級文庫にあった"ズッコケ三人組"の方がむしろ親しみがあるが、子供たちが協力して何かに挑むというストーリーには、同世代の子供たちの冒険心をわしづかみにする力がある。

『グーニーズ』には忘れられないショットがいくつもあるが、なかでも憧れだったのは、終盤に出てくる洞窟内のウォータースライダーみたいなやつだ。今となっては、スピードが怖いとか、洞窟には巨大な昆虫や、有害なガスなどがいろいろ出て危ないとか、余計なことばかりが頭をよぎるが、主人公たちが別々の穴から一斉に吐き出され、見上げるとそこには巨大な海賊船が...というシーンはまさに圧巻であった。

本作の製作総指揮を務めるスピルバーグは、ディズニーランドの"カリブの海賊"に着想を得たそうだが、先に『グーニーズ』を観た私としては、このシーンが心に刻み込まれていたからこそ、"カリブの海賊"のアトラクションを初めて体験した時の感激が倍増したと思っている。さらに世界や映画への純粋な憧れを抱かせてくれたこの映画は、今こうして映像翻訳の道を歩んでいる漠然としたきっかけにもなっているのかもしれない。

『グーニーズ』のDVDには、大人になった彼らが集結して、ぶっちゃけトーク満載の解説をするという特典映像が入っているらしいのでぜひ観てみたい(ような、夢を壊したくないような...)。

ところで、私はなんといってもデータ役のキー・ホイ・クァンが好きだった。『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』で再会した時にはかなり興奮した記憶がある。やっぱり昔からしょうゆ顔が好きだったのかもしれない。

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『グーニーズ』
監督:リチャード・ドナー
出演:ショーン・アスティン、ジェフ・B・コーエン、コリー・フェルドマン、
キー・ホイ・クァン
製作国:アメリカ
製作年:1985年
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